6 この世で一番憎く、愛おしい彼女との再会
物語を進行させていくと矛盾してしまう点を少々修正しました。
円卓の騎士→私の弟
「僕は…………死んだのか?」
五感が失われていて、何も感じることができない虚空の世界。
さっきまで僕は怪物と戦っていたが、首を捥がれ、四肢を切断された後の記憶が残っていない。
そんな時、彼女の声が聞こえた。
「久しぶりだな。ーー少年」
「あ、貴方は!!」
「アルティーナ=スペルニイ、剣聖だ」
そこにはミーヤンを殺した少女が笑顔で佇んでいた。
「な、何で生きてるんですか!?僕は貴方に憑依して…………」
「こーこーは私の体だぞ?憑依されたとしても魂は残っていてもおかしくないだろう?」
「なっ!」
「それよりも少年、あんな屁っ放り腰の戦い方で悪魔に勝てると思う?」
「…………」
彼女の言う通りだ。
僕の力じゃあの怪物は倒せない。
「そうだ少年、私が力を貸してあげようか?」
「そ、それはどういう…………」
「君は私の指示に従って動くだけでいい。簡単なことだよ」
彼女は僕の背中をポンッと押した。
瞬くと僕は四肢をもがれた状態で血だらけで地面に倒れていた。
そして僕の目の前にはーー
「グラルルルルルルウウ!!!」
怪物が咆哮を大地に轟かせる。
『怖じけるな少年、お前は幽霊種だろ?回復と念じるだけで捥がれた四肢くらい再生できるはずだ』
脳に彼女の声が聞こえた。
彼女の言う通りに回復と念じると、少し体の力が抜けたが四肢が綺麗に生え変わった。
まだーー
「戦える!!」
『少年、まず奴との距離を縮めてから右に回避、からのエクスカリバーで右アキレス腱を斬り裂いてくれ』
言われた通り、まず怪物との距離を縮めるために駆け出す。
距離八メートルあたりで上から怪物の鋭い爪が振りかざされる。
ここでも指示通り、右に回避する。
コンマのタイミングで回避するまでの自分がいた場所が大きなクレーターに変貌する。
そして足元にスライディングで滑り込み、その勢いを殺さずに右脚のアキレス腱を削ぎ落とす。
「グゲエエエエエエエエエエ!!」
怪物が悲鳴をあげて崩れ落ちる。
『よくやった少年、次は奴の体毛に掴まって奴の体を駆け上れ』
「本当にうまくいくんですか!?」
『命が惜しければ黙ってやるんだ少年』
僕は体毛を掴んで崖を登るようにして怪物の頭部を目指す。
少し怪物が暴れたが彼女がエクスカリバーと呼んでいた剣で背中を突くと怪物はすぐにおとなしくなった。
『頭部まで登れたようだな、次に顔に回り込んで両目を目をエクスカリバーで潰せ。そこから先は自由にするがいい』
「両目を潰すってーー」
ーー難易度高くないですかね?
必死に怪物の顔に掴まりながらゆっくりと鼻まで辿り着いた。
そしてエクスカリバーを空高く振り上げてーー
ーー目に突き刺す。
右目が潰れた怪物はかなり抵抗しようと暴れたが、そんな事を気にせずにまたエクスカリバーを振り上げる。
両目を潰された怪物は我武者羅に暴れだしたから、飛び降りて受け身をとる。
「ふぅ、どうだ?」
怪物はしばらくの間ピクピクと蠢いていたが、しばらくすると灰になって崩れた。
だが、鋭い爪だけはその場に残り、異様な雰囲気を醸し出していた。
「かっ、勝ったのか!?」
『危険度9悪魔ーーホワイトゴリランーー討伐…………私程ではないが、私の弟程の実力だな』
危険度?何だそれ?
よく分からない単語をいくつも言われて混乱していると、下から何かがやってくる気配を感じた。
「誰ですか?」
それはさっき逃げたはずの者たちだった。
戦っている途中は気にする余裕もなかったが、彼らの頭の上には兎の耳のようなものが付いていて、大変可愛らしい見た目だ。
「岩影から見ていました。貴方は何者なのですか?」
兎耳達の中でも一際可愛い女の子が尊敬の眼差しで僕の方を見てきた。
「えっと僕は…………」
『少年、イナセ=スペルニイというのはどうだ?君のイナセという名と私の家名、つまり剣聖の家名スペルニイを組み合わせた名だ』
それ、良いですねと心の中で呟き、
「僕の名は…………イナセ=スペルニイです!」