5 白いゴリラに嬲り殺されたい
僕は永遠に続くかと思われた森を抜け、山岳地帯に辿り着いた。
森で倒した奇妙な植物は何かに使えるかもと念の為持ってきている。
「ゔう、山道はやっぱりきついな」
三十度以上の傾斜は、幼女の足には大きな負担がかかる。
泥沼をひたすら歩くかのような錯覚を覚える。
ーーその時、
「うわあああああああ!!」
悲鳴が聞こえた。
その悲鳴が僕のあの記憶を鮮明に蘇らせる。
気がつくと足が動いていた。
「早く、しないと!」
先程までの足の疲労は消え失せた僕は一気に坂を駆け上る。
そして、頂上まで駆け上った僕は、怪物に出会った。
「な、何だよ…………こんな大きな…………」
山の頂上には岩よりも大きな怪物がいた。
その近くには噛み砕かれた死体、四肢をもがれた死体、内臓が飛び出た死体………
死体の山が出来上がっていた。
「グラルルルルルルウウ!」
怪物が血走った目玉で僕の方をギロリと睨んできた。
「おい!嬢ちゃんよけろおおおお!」
生き残りの助言に従って咄嗟にしゃがむ。
刹那、刃物のような怪物の爪が僕の頭上を掠めていった。
「あ、あぶなかっーー」
ホッとしたのもつかの間、すぐさま怪物は再度攻撃を仕掛けてくる。
僕は反射的に鞘から剣を引き抜き、怪物の攻撃を防ぐ。
しかし圧倒的質量差の前では歯が立たず、剣もろとも吹き飛ばされる。
「ぐあああああああああああああああ!」
何本か骨が折れた音がした。
体に力が入らず、限界を超えた痛みが僕の精神を蝕んでいく。
だんだんと薄れゆく意識の中、僕の目に映ったのは、僕が戦っている隙に生き残りの何人かがなんとか逃げだせた姿だった。
「よ…………かっ、た」
怪物がこちらに歩み寄ってきて鋭い爪をつけた腕を振り上げる。
そして、僕の体はバラバラになった。
意識がプツリと切れて、次に目覚めると暗闇が広がっていた。