49 もう帰るの?
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生まれて初めて銭湯に入った次の日の朝は早かった。いつも起きる時間よりもだいぶ早い時間に唐突に目が覚めた。周りを見渡しても無人、つまり特に誰かが自分を起こした訳ではなさそうだ。不思議なこともあるのだなと思い、再び就寝しようとするもなかなか寝付けない。仕方ないから、寝ることは諦めて時間を潰すことにした。
「散歩でもしますか」
特に深い意味はないが散歩に行きたくなってしまった。まるでお年寄りのような発想だが、イナセはまだ生まれてから一年も経っていない。どうか爺さんとは言わないで欲しいものだ。
思い立ったら吉とすぐに運動のしやすいポロシャツに着替えて、初日にイナセに襲いかかってきたデストロイヤードアーのドアノブに手を掛けて、まだ寝ている三人が起きないように慎重にドアノブを回す。そしてドアを開くと朝の爽やかな空気が部屋の中に流れ込んで来た。そして桃髪を編み込んだ美少女がドアの前ににっこりと微笑みながら待ち伏せしていた。嗚呼、なんと爽やかな早朝だろうか。
「ってーー……なんで校長先生が僕達の部屋の前で待ち伏せてるんですか⁉︎」
「うん。偶然通りかかっただけだから」
「しれっと嘘つくのやめません?」
これは流石に嘘だろう。体の向きが完全にドアの方向を向いていたしドアを開けた時には静止していた。明らかに出待ち状態であったのだ。やはりこの校長は重度のロリコンなどと揶揄されるだけあってアフレシアやフレイヤ、そしてフェネリアを夜這いしに来たのだろうか。
「あのー、イナセたーん?なんで険しい顔をしながら私と距離をとろうとしているのかなぁ?」
「不潔なので」
「即答⁉︎」
彼女は後ろに飛び退いて大袈裟に驚きを表すリアクションをとる。こういう、全ての反応に死力を尽くす人は人生で無駄なエネルギーを浪費しているのだなとつくづく思う。
「ま、まあそんな厳しい顔をしないでよイナセ君。今は君に用があってここに来たんだよ」
「僕に、ですか?」
「うん、その通り。イナセたんは散歩をするために外へ出るんでしょ?だったら歩きながらその話をするよ」
また呼び方が戻ってるなという不満を心の奥に押し込めて、フーリエの話を聞くために歩き出す。するとフーリエが急いでちょこちょこと早歩きでついて来ようとしたが、イナセの歩くペースが速すぎたようで、結局魔法で宙に浮遊しながらついてくるという形になった。流石は魔法学校の校長、といったところであろうか。
「それで、話とはなんでしょう?」
「ああ。今日実はアノイスガルに戻るんだけど、良かったらイナセたん達も一緒に来ない?」
「は?」
思わず間抜けな声が出てしまった。
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