32 握手を交わす、君と
月が漆黒の空を照らす頃、二人の少女が対面していた。一人は感謝と困惑の表情を浮かべて、もう一人は屈託のない笑顔を浮かべて。
「………あなたは誰?なんで私なんかを助けてくれたの?」
「それはねぇ…………えっとぉ…………本当に言わなきゃダメかな?」
ダボダボの服を着た桃毛の少女がそう問うと、彼女より少し年上であろう茶髪の少女が小さく頷く。すると桃毛の少女は少し困った表情で頭をぽりぽり掻いて、悩み出した。そして茶髪の少女に近くに寄るようにと手招きをして、少女が充分近づいてから少女に回答をする。
「…………それはね、君が巨乳系ロリだからだよ」
「きょにゅうけいろり?」
茶髪の少女は聞いたこともない単語に首をかしげる。
「胸の大きい、幼女のことだよ」
その様子を見た桃毛の少女は単語の意味を茶髪の少女に教える。すると茶髪の少女は『そうなんだ』と小さく呟き、しばらくするとまた疑問が浮かんできたようで、首をかしげる。
「あなたもろりでしょ、私よりも。なんで私だったの?」
「ーーなっっ‼︎それを言ったらあかんで…………」
「私、悪いこと言った?それに、なんでろりだったら助けるの?」
「…………………………………」
桃毛の少女はどこまでも純粋な茶髪の少女の疑問を浴びせられて、口から魂のような白い煙のようなものがチロチロと漏れてきている。
「……ん。よくわからないけど、助けてくれてありがとう」
「どういたしましてと言いたいところだけど、まだお互いなまえを知らなかったね。私はフーリエ、こう見えても三百歳の大精霊なんだよ?最近封印されてたけど寝返りをうったら解けたんで適当にフラついてたわけ。あなたは?」
「わ……私はミュウル。性奴隷として闇市に出荷されるところをあなたに助けてもらった」
「ま、これからよろしくねミュウル」
「え?これから⁉︎私、あなたについていくなんt…………」
少女が全て言い終わる前に、二人の少女は握手を交わしていた。
「これからよろしくね?」
「は、はいっ!」




