3 悲劇惨劇、喜劇
僕は次の日、誰かの悲鳴で目が覚めた。
「ぎゃあああ!やめっ、ゔああ!」
「あはははあはあはあはあはあはあは!」
断末魔とともに何かが切り裂かれる様な音を僕は聞いた。
「これで全員か……弱かったなあ」
「んん?なんかまだクソ幽霊種の気配がするなあ」
気付いたら僕は声の主の前に立っていた。
母さん達を殺したのはまだ幼い女の子だった。
普通はこの少女に可愛らしいと印象を持つはずなのだがこの時、僕は恐怖しか感じることができなかった。
それもそのはず、彼女は血塗れの剣を持っていて彼女の横には、先程まではミーヤンであったであろう肉塊が、大量の血の絨毯の上に転がっているのだ。
次第に僕の足は震え始める。
「ほう、まだ生き残りがいたとは……」
「なんで母さん……ミーヤンを…………」
「そりゃあ…………モンスターだから?」
「僕はっ!貴方を許しません!!よくも母さんを!」
その時、頭の中に無機質な声が響いた。
『幽霊種固有スキル、憑依を使用しますか?』
なんだそれ?
『このスキルは使用相手に憑依をし、体を乗っ取ることができます。しかし、一度しか使用できないスキルなので、もう二度と元の体に戻れません。それと、このスキルを使って相手の体を乗っ取ると、生殖器官がなくなり、子孫を残すことができなくなります。最後に、イナセ様はアルビノ個体なのでこのスキルを使って対象に憑依すると、髪色と目の色は元のイナセ様と同じ仕様になります。この点を踏まえてこのスキルを使用しますか?』
使います。使ってこいつをこの世から駆逐しなければ。
刹那、体に雷を受けたかのような衝撃が走った。
「う、うううん…………」
恐る恐る目を開く。
すると、あの少女はもうこの場にはいなくなっていた。
「逃げられた、のかな?」
しかし、僕の予想は間違っていたのだ。
ふと近くにあった池を覗き込むと、そこに映ったのは白い髪、赤い目の血だらけの少女であった。
「本当に、憑依できたんだ…………」
『ーーイナセ様は幽霊種から半霊種に変化しました』
ーー僕は、半霊種になった




