表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
厨二病だった俺が生き抜くため。  作者: Lotusroot/みねぱい
6/11

6、3本の矢

目を覚ますと、ふかふかの布団だ。

もやがかかったように頭が動かない。てか身体も動かない。もう一眠りしよう、、、



「あっ、やっと繋がりましたね。」

ふとそんな声が聞こえた。いや、聞こえたというか分かった。頭に響くような感じだ。

「いやー、さっきまで繋げようと思ってたのに繋がらなくて……」

周りを見る。「白」に包まれた空間に、燕尾服を着た男が目に入った。

「なっ……」

「やぁ、覚えててくれてるかな?忘れてたら泣くけどね。」

そういってクククと笑う。

頭が回らないが、それでも、どうしても聞きたいことがあった。

「な、何故、俺を殺したんだ……」

「私、夢として貴方に毎回会いたいのですが、力及ばずいつもは届かないんですよね。」

やれやれと肩をすくめる。

「で、せっかく繋がったから、良い話、普通の話、悪い話の三つを用意しようと思って、用意してきたんです。どれから聞きますか?」

「なんでっ!俺を殺したんだ!

しかも、よくわからないところに飛ばしやがって!」

「別に恨み言を聞きたいわけじゃないんですけれど……

まぁ良いでしょう。教えてあげます。貴方はあの後死ぬんです。」

「……は?」

「あの後、貴方は心ここに在らずといった様子で家へと向かいます。するとですね、家にもいるんですよ。」

「……」

「快楽殺人犯が。」

「……嘘だ……」

「まぁ嘘と思って頂いて良いですよ。そして落ち込んでるついでに悪い話から行きますね。」

わざとらしく咳払いする。

「コホン、貴方……今はユスティンでしたっけ?

ユスティン、貴方は国や組織から狙われます。それも強引な手段で、です」

「……ああ、そうかい。」

「反応薄いですね〜、次!普通の話です。

魔術を使ったあの辺り、雑草が魔力を吸い、魔物化します。放っておくとあのお兄さんが勝手に殺しますが、その時死体を処分してしまいます。

実はあの雑草、魔力を吸ったことで質の良い薬草となっています。これを手に入れればちょっとは楽になるかもですね。」

「……」

「……私は独り言を話しているのでしょうか。

まぁ良いや、ラスト〜いい話〜。

王宮魔術師の話、反故になります。

理由は簡単、強すぎるからですね。

質問はありますか?」

「……俺の夢に出てきた理由は?」

「恐らく魔素を溜め込む器官の魔素がすっからかんになったから、抵抗がなくなったとかだと思います。」

「……夢が覚めるようにするには?」

「私の力が持つまでです。最高で15分くらいまでなら行けます。」

「……最後だ。何故俺に関わる?」

「私の仕事だからです。」

「そうかい。もう終わってくれ。」

「……むちゃくちゃ冷たいですね。泣きそうです。

まぁ、死なない程度に頑張ってください。では。」

そうすると「白」にヒビが入る。ヒビは大きくなり、「白」が割れる。そして俺は目を覚ました。

「あいつには……関わりたくない……」

震える。あいつは未来を見通す力まであるというのか。

俺が生きているうちにあいつを超えなきゃならない。

急がなきゃ、急がなきゃ、死ぬ。飼い殺しだ。

俺は目をこすりながら布団からでようとした。

しかし、それは叶わなかった。何故なら、

「ユスティン!起きたか!」

とお兄さん(名前はエルク)に言われたから。

それともう一つ、手足に力が入らなかった。

そりゃもう、産まれたての小鹿より筋力ないと思う。

「お前さんよく生きてたな。普通あんだけの火災だったら骨すら残らんよ。王宮魔術師レベルの人が速攻で鎮火してくれたおかげで、燃えたのは裏庭の雑草の上の方だけだがな」

正直、どうだっていい。

あの燕尾服は多分あの100倍はやってくる。それも完全にコントロールした状態でだ。

だが、心配してくれているのにそれもダメだろう。

「心配してくれてありがとうございます」

「おいおい、全然ありがとうって顔してないぜ?」

あぁ、やばい。無表情になってたっぽい。

「あの爆発を間近でみたので、怖かったんですよ」

「へぇー、お前自身が起こしたのにか?」

「なっ、なんでそれを?」

「あ、本当にそうなんだ。カマかけただけなんだけど、、、」

くそっ!ハメられた。エルクは見た目によらず知性派っぽいな。

「まぁあのジジ……エリアスが認めてるからそれくらいしても同然かなと。

それよりも……

ユスティン、君はどうやってこの部屋から出たんだ?」

「本棚からジャンプして」

「はぁ?3歳の届く距離じゃねぇけど、まぁ信じてやるよ」

「ありがとうございます」

「だからありがとうっぽい顔しろっての」

どうやら照れてるっぽい。可愛い側面もあるとは、エルク侮れぬ……

そんなくだらない事を考えながら、ベッドの上でゆったりと過ごす。

燕尾服とあった焦燥感は、もう残ってはいなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ