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厨二病だった俺が生き抜くため。  作者: Lotusroot/みねぱい
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2、現実は幸せなスピードではない。

次に俺が起きたのはふわふわとした布団の上だった。

周りを見渡してみると、漆喰っぽい感じの壁だ。きっと豪邸だろう。にしても家具の一つ一つがでかい。椅子なんか足プランプランしそうだ。

その中で俺が目をつけたのは本棚だ。

背表紙を見た時には目を疑った。だって、ねぇ?どの国でも使われないような文字を見たら「あっ、やばいな」とか思うよね?

とにかくここは日本ではなさそうだ。少なくともここに住む人は日本人どころか与り知る国の人間ではなさそうだしな。

となると俺は逃げ出すべきだろう。しかしドアノブに手が届かない。ここの家主はバカだろ、、、

仕方ないので布団を盾に隠れることにした。ここの家主も訪れるはずだ。


しばらくすると、ドアが開いた。入ってきたのは80歳くらいのおじいさんである。だかそんな事はどうだっていい。

なんでかって?そりゃあ、、、

目の前には俺の1.5倍くらいのサイズの腰の曲がったおじいさんが居た。

あっ、おじいさんこっちきた。終わったわ。

おじいさんなんか言ってますね。聞き取れませんけどね。あっ、おじいさん笑顔だ。すごいスマイルだね、嬉しそうだね。さぞかし俺の美貌に惚れたんだろうな。俺は相手の精神を操作することができるからな。

おー、おじいさん俺持ち上げたよ。力持ちやね。俺50キロくらいあるんだけど余裕そうだね。この国はムキムキ共和国とかかな?

そんなふざけた事を考えてる間もおじいさんは笑顔だった。2分くらい俺見てニヤニヤしたら満足したのか出て行った。と思ったら入ってきた。なにやってんのじいちゃん、、、

手にはお椀。どうやらご飯を持ってきてくれたらしい。おじいさんセンキュー。

お椀の中には野菜を片栗粉で炒めたような料理が入っている。毒だったら困るからな。全力で食うのを拒否しよう。

俺はとにかく部屋を走り回った。おじいさんは一生懸命追いかけてたが諦めて行ってしまった。危機は回避した!お腹減ったけどね。


あっ、おじいさんガタイが良い人連れてきたよ。これは逃げられないね。

必死に打開策を考えるが思いつかないからとりあえず走って逃げる。ガタイが良いお兄さんは一瞬、というか3秒くらい呆然として、俺を追いかけだした。

結果?即死だよ。兄ちゃん速すぎ。

兄ちゃんに抑えられた状態で俺は毒入り(仮定)野菜炒めを口にした。

、、、じいちゃんごめん。無茶苦茶美味いわ。疑ってまじごめん。

お椀の中身は全て美味しくいただきました。じいちゃんは俺に飯を食わせて満足したのか部屋を出て行った。兄ちゃんはタンスから子供が遊びそうな鈴を俺に渡してきた。

鳴らす。これは綺麗な音だ。惚れ込みそうだね。兄ちゃんも嬉しそうになんか言ってるよ。聞き取れませんけどね。

ちなみに兄ちゃんは俺の2.1倍くらいある。

ムキムキ巨人共和国かな?

言葉が通じると思ってるのかずっと話し続けてる。わかんねぇよ。

俺は首を傾げ、理解できない事をアピールする。

お、兄ちゃん分かった?なんか言ってから本棚の方に向かってリズミカルに何か呟くと本棚の隣から本が出てきた。本棚意味ねぇじゃん。誰だよこれ作ったの。

兄ちゃんは俺の前にそれを置いた。

あー、分かった。これ「あいうえお」だ。

兄ちゃんは一つ一つに指をさし発音している。言葉を教えてくれるっぽい。

リピートアフターミー、「あ」

お、兄ちゃん超喜んでる。ムキムキな兄ちゃんがここまで喜んでるとシュールだね。

満足したのか絵本を何冊か置いて行ってしまった。異常に眠いな、、、ここの人たちは優しいと信じてるから頼むよ。じゃあおやすみなさい。次に起きた時には女の人が目の前にいた。非常に驚いた。なんたって目の前だから。

すると変な想像をしてしまった。

彼女の頭部が粉砕されて中から脳だったものや骨、視神経が繋がった目玉が出てくる。

思わず吐いた。それも女の人の顔にぶっかけた。思わず土下座したね。それも床に頭を連続で叩きつけて。すると女の人は慌てて部屋の外へ駆け出していった。本当に申し訳ない。どうやって償おう、、、

ちなみに女の人はテンプレメイド服を着ていた。背は1.7倍くらいかな?相変わらず巨人ばかりだ。


5分くらい経った頃。ドアが吹き飛んだ。マジで。ドアが粉砕されて飛んだの。そりゃ泣きわめくよ。漏らすのだって仕方ないじゃないか。

部屋に四人入ってきた。おじいさん、お兄さん、女の人と、白衣を着たおじさん。すごくダンディズムだ。女の人が憔悴して表情で白衣の人に話しかけている。お兄さんおじいさんはなんか慌ててるね。あっ、お兄さん扉の破片に小指ぶつけた。痛そ。

すると白衣のおじさんは近づいてきて、俺のおでこに手を当てた。目を瞑り何かを呟いている。てか手でかいな。おでこを埋め尽くして尚半分くらいあるんだけど。

すると白衣のおじさんの手から光が漏れた。音もなくただの光である。ただ、何故か安心するような感覚だった。

あれ?でも白衣のおじさん首横に振ってるよ?俺不治の病?はっ!まさか「空間変質」がバレたか?まぁあれは妄想だが。

あ、でも白衣のおじさんが笑いながら話すとみんなホッとしたような笑顔になった。

ここの人たちは笑顔が一番だね。



そういえば、俺がなんでいるのかが1番の謎だった。巨人と言ってもいいくらいの人や、どこの国の言葉かもわからない言語。ただ1つわかっているのはこの人たちは俺に対して敵意はない。ということだ。なぜだ?原点に振り返ったらなぜ俺はここにいる?布団の僅かな温もりと時計の音がのどかな世界を創り出していた。「ははっ、俺もとうとう頭がおかしくなったかな」

一人呟く。俺の思考回路は明らかにいかれてる。本来なら一蹴するはずの考えは排出されずに脳内を暴れまわる。

水?炎?ムカデ?普通の思考ならこんなのはただの絵だ。しかし俺の思考回路はこういう。

「ここは、別の世界である」いやだ、違う。認めたくはない。俺は彼女を殺してしまった罪を償うために日本に戻らなくてはならない。

そうだ、ラノベでよくある「魔力操作」をしてみればいい。あれができれば別の世界で、できなければ外国だ。ははっ、簡単な事じゃないか。漂う魔力的なものを操るんだろ?妄想で毎日やったようなものだ。

空気中に魔力的な何かが浮かんでるように想像する。それを息を吸う事で取り込み、肺から動脈を通り、全身を駆け巡らせるイメージだ。

「なんだ、、、これは?」

力があふれる、というよりは運動エネルギーが外へ駆け出していくような感覚が全身を襲った。

「いやだ、違う、、、」

俺は別の世界へと来てしまったのか?おかしい。こんな考えは違う。たまたまだ。妄想のせいでこうなってる。そうに違いない。

そうだ、魔力的な何かが本当にあるなら「空間変質」も使えるじゃないか。空間を点と点で結ぶイメージでワープするなんてどんなファンタジーにもある話だ。これができるなら諦める。

イメージする。昨日のガス灯の部分をこのベットにつなげるような、、、

「ははっ、やっぱり妄想だ」

何も起きない。良かった。帰れる。

胸をなでおろし、集中していた事でこっていた腕を伸ばす。そして深呼吸をして、再び眠りについた。



この世界のまた根底が揺らいだのはそれから更に二週間ほど経った頃だろうか。

この頃になるとほんのちょっとならば言葉がわかるようになってきた。

そういったときにおじいさんから外へ行こうとの誘いがあった。無論承諾した。ここがどこかを見極めるチャンスである。早ければ早いほどいいのは当然のことだろう。

外の景色は一言で言えば「雑多」だった。馬車や人力車なんかが道を進んでいく。

更に驚くべきは武装した人間やいかにも魔法使いですというような杖を持つものがいる事だ。

「まるで異世界そのものじゃないか、、、」

脱力感を感じ、座り込む。おじいさんがなんか言ってるが、聞き取れない。

更に決定的な証拠がやってくる。

リアカーの中に入っている死体は、地球にあっていい「もの」ではない。うさぎを相撲人まで大きくしたと言えばいいだろうか?そんな肥大化したウサギもどきが俺の前を通り過ぎる。

「ははっ、現実が現実じゃねぇ、、、」

おじいさん、ごめん無理だわ。

這いつくばるように俺は家へと転がり込んだ。

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