ルーン文字解説
というわけで、ルーン魔術の説明を載せましてござる。
あくまでセブスタでの作中内解釈であることを諒とされたし。
■ルーン文字
作中において、主にアスタが使う魔術文字。印刻。
世界観の中において《神の創り出した》文字であるとされ、そこに込められた意味を現実世界に上塗りすることで、様々な魔術的効果を発動させることができる。
なお断っておくが、作中におけるルーン文字の解釈を現実のそれと同一することは避けましょう。
あくまでも独自設定であり、白河は歴史学も言語学も占いも専門とはしておりません。
セブスタでは、主にゲルマン系の24ルーンを採用しておりまする。主に。
だから、実はこれ以外にもルーンが……ごにょごにょ。
1/F【Fehu/フェオ、フェフ】
財産のルーンであり仕事の成功、幸せな家族、富の獲得、モノの貯蓄や家畜を意味している。古来、財産といえば家畜なのである。逆意は浪費。モノを空費するような感じ。
アスタは主に魔力を貯める意図で使用する。敵の攻撃を吸収する結界なんかが作れたりとか。Fee。
また言うまでもなく、フェオの名前の由来。
富とは即ち栄光である。だが欲するならばまずは与えよ。
2/U【Uruz/ウル】
野牛のルーン。挑戦や原始的エネルギーを意味する。勇猛。果敢。力、エネルギーの象徴であり。逆意は失敗。エネルギーの不足や精神的な弱さ、弱気、病弱、過剰な暴力など。
魔術の威力を底上げしたりする。またお手軽魔術の魔弾が使えないアスタにとっては、その代わりになったり。
巨大な角を、強靭な足を持つ、それは猛々しくも勇敢な獣。
3/Th【Thurisaz/ソーン】
巨人のルーン。助言を意味する。瞑想、自己啓発、集中力。また棘や雷神の槌といった意味も持つ。目の前に現れる状況への対処を暗示する。逆意は警告。対処不可能な危機の暗示。
セブスタ便利ルーンのひとつ。棘にもなれば雷にもなる、割と攻撃の要(その割にあまり使わないが)。また集中力を高め、精神安定や索敵のルーンとしても使われる。作中におけるルーン文字解釈のなんでもあり度を高める一因。
鋭き茨に触れれば傷つく。その痛みに耐える者にこそ、巨人の守りは与えられよう。
4/A【Ansuz/アンスール、オス】
主神のルーン。知性を意味する。知識の習得。試験の合格。自己表現。感性を高める。また口の意味も持つ。逆意は偏見であり、情報の錯誤や信頼の低さ、コミュニケーション不足、詐欺を暗示する。
異世界転移の当初、魔法使いによってアスタの額に刻み込まれたルーン。Answer。頭がよくなる(アバウト)。
本来、ここで言う主神とはかの有名なオーディンのことであるわけだが……さて異世界ではどうなっているやら。
神の言葉を聞け。それは叡智の結晶だ。
5/R【Raido/ラド、ライゾ】
車輪のルーン。移動を意味する。旅。逆意は停滞であり、旅先でのトラブルや、物事の停滞を暗示している。
作中では確か(確認してないから「確か」じゃないけど)魔競祭での対ウェリウス戦において使用。「モノを目的地まで運ぶ(移動させる)」ことに特化したルーンであり、転移までは無理でも、ある程度まではワープ的なことのモノマネできる。
戦士ならば旅に出よ。
6/K【Kano/ケン、ケナズ】
火のルーン。松明。燃え盛る炎。あるいは純粋で大きなエネルギー、情熱。攻撃。明かり。そして強い意志や明るい未来、希望を意味する。逆意はそのまま情熱の冷め。別れであり、計画の停滞。鎮火や熱冷まし、スタミナの不足や希望を失う暗示。
めっちゃ使う。火をつける、という時点で便利ルーンオブザイヤー受賞。煙草にも着火できるしね。
その輝きを、熱を知らぬ者はいない。
7/G【Gebo/ギューフ、ゲーボ、ギフ、ギュフ】
贈り物のルーン。そして愛のルーン。天賦の才能。ギフト。福祉や社会奉仕、人類愛。
奪うのではなく与えるルーン。
ぶっちゃけ出番はかなり少ないというか、使いどころが見当たらない。どっかで使った気もするけど。
自身の魔力を他者に分け与えたりすることできる。おそらく、全盛期のアスタは割と使ったことだろうと思われる。呪い状態でも使えれば紫煙から支援にジョブチェンジできたのだが、どうやら無理らしい。
恩恵は栄光であり、支援は栄誉である。
8/W【Wunjo/ウィン】
喜び(栄光)のルーン。歓喜。満たされている状態。念願が叶う。成果が実る。幸運である。果実の意味もあるそうな。
占い的には逆位置だと惨め、不運、失敗、欠如、失望とか。そんな感じ。
長い冬があってからの、春が訪れて、人々が喜ぶというようなイメージですかね。魔術的には願かけみたいにしか使えないだろうけれど。いくらアスタでも因果干渉は無理なので。
ここで言う喜びは、つまり精神的な充足であり、実のところ成功しようが失敗しようが本人的に満足ならそれでいいのである。
それは求める者にだけ与えられる。初めから満たされた者に、その光は見えぬのだから。
9/H【Hagalaz/ハガル、ヘゲル】
雹のルーン。どうしようもない不運。破滅的規模の天災。予測不可能。
突然のアクシデント。計画の失敗、中断。地震、嵐といった、人間では逆らえない大自然の脅威。
序盤からアスタくんにとって切り札とも言うべき存在であったルーン。氷塊の荒ぶ、吹雪のように強烈な局地的天災を巻き起こす、最大攻撃。アスタにとってはメロのイメージであり、またその対極でもある。
風、水、火、氷の複合元素魔術(みたいなもの)だと言うこともできる。火は入ってないだろ? 温度変化は火の属性制御なので御座るの巻。概念的に《火力》を上げるとも言える。
実は火と水の二重属性を持つアスタには相性がいいため、切り札たり得ている。全盛期はそれこそ一軍を滅ぼす威力だったのだろう。作中で使っている限りでは超絶劣化している。
……裏を返せば、やろうと思えばウェリウスにだって同じことはできるわけだが。ただ元素魔術で同じことをしようとすると効率が悪く、制御の難易度も無駄に上がる。四重属性複合元素魔術を、ただの一文字で再現できるからこそ切り札なのである。
天から注ぐ真白き種子は、破壊をもたらす因子なり。
10/N【Nauthiz/ニイド、ニッド】
必要のルーン。欠乏であり束縛であり苦悩でもある。必要性。=need。
しがらみ。要求。求められるそれは義務なのだ。
もっぱら拘束魔術としてアスタは使用。物理的な活動を止めるのではなく、精神的(=魔力的)な束縛として対象に圧しかかる。まあ別に物理的にも使えるんですけどね。そう、アスタさんなら。
さすアス(ただし)。
強欲はすなわち心を縛る戒めである。
11/I【Isa/イス】
氷のルーン。要するにiceですな。冷えているのです。
四大元素のひとつ。北欧神話の世界の根源。水じゃなくて氷ってのが面白いところ。
停滞、凍結を意味する。遅延。犠牲。また身動きできないがゆえに現状の維持、固定、安定の意味もある。槍を意味することもあるとかないとか。
セブスタ便利ルーンの一角。アスタはかなりよく使う。ナウシズを使わずイサで拘束に変えたり。ハガラズだってイサと重ねることはできるだろう。初出は古く、確かウェリウス戦である。
書きやすいというのも大きい。なぜなら《I》なので、つまり直線で簡単に書けるのだ。まっすぐな部分がわずかでもあるモノを見つければ、とりあえず使える。しゅごい便利。
氷そのものよりも、実のところそこに込められた概念のほうが重要ではあるのだが。
宝石ではなく、硝子ではなく、けれど美しく透き通るそれは、何より冷たいものである。
12/J【Jura/ユラ、ゲル】
収穫のルーン。大地、または一年をいう意味も同時に持つ。
英語で言うところのYearの元ですな。
豊作。日々の糧を得るまでには、長い冬を越え、努力があってこそ稔りを得られる。準備。それが熟すること。コツコツやってこう、っていう。
仕込みですな、要は。アスタの戦い方を、ある意味で象徴しているとも言える。結果には過程があるんだという、そんな意味合い。がんばったぜ→やったぜ。地形そのものに罠を設置しておくとか、あるいは魔力の循環、一定のサイクルを作るときに使われる。要するに、使いどころは割と限定されている。
まあ単純に相手の魔力を収穫よ、みたいなこともアスタならできるわけだが、そういう無理のある解釈では、あまり強い効果は発揮しないので御座る。
それは地上に輝く黄金、命の源。
13/Y【Ehiwaz/ユル、エイフワズ】
防御のルーン。イチイの木を意味する。あと弓。
また死や再生も意味している。復活。などなど割と重要な意味の多い文字。
ただセブスタないではもっぱら《魔術障壁》を作る文字と化す。魔術師ならだいたいみんなが使うわけだが、アスタくんには使えないので仕方ないといえば仕方ないのだが。
それにしたって、生と死、始まりと終わり、その象徴たるエイワズが基本的にただの盾とは。もったいない使い方だ。
大地に根差す赤の魔人は、再生の輝きを纏っている。
14/P【Perth/ペオース、ペオズ】
秘密のルーン。ダイスカップを示し、賭博や偶然の導き、ハプニングなどを意味する。神の手。伝授。
また逆意図して過度な期待や固執に関する戒め。裏切りや損失、秘密の暴露。性的欲求の暴走など。
ぶっちゃけた話、ルーン文字ってのは研究の上でも「なんのことなのかよくわからない文字」ってのが結構あるらしく、「まあ一応こういう意味じゃねえのかなあ」という程度でしかないものも多いとかなんとか。白河自身そこまで詳しいってほどでもないけれど、まあこのパースもそのひとつ。意味不明のルーンなんだけど、たぶんこういう意味じゃねえかなあ、という程度(らしい)。
偶然のチャンス。自分以外のモノに、自分の命運を運否天賦で任せるような。
作中ではもっぱら秘密の意を重視して、情報隠蔽系の魔術としてアスタは使っている模様。
その先を知りたくば、その身を神に委ねるがいい。
15/Z【algiz/エオロー、アルギス】
保護のルーン。また友情のルーン。
大鹿。防御。守護。霊的な護り。頼もしい仲間や横の人間関係の暗示。魔除け。スゲ属の植物を意味するなんて説もある。逆意では孤立、他人のための犠牲。人間関係の問題。
元は群れで暮らす鹿、その角の形から来ているルーン(だという説が有力らしい)。
セブスタではエイワズと並んで防御的なルーンとして使用。エイワズが物理的な防御であり、アルジズが魔術的な保護であるという違いで使っている。
にしてもルーン文字ってヤツは、《実はこんな意味もある》とか《実のところこの説は根拠がない》とかいろいろ言ってくれやがるので、調べれば調べるほど逆にわからなくなっていく。いやマジで。
誰だ、こんな面倒な題材を選んだ奴は!
群れ茂る命を摘む者は、自らも傷を負う覚悟をするべきだ。
16/S【Sowelu/シゲル、ソウェル】
太陽のルーン。生命力の象徴であり、また勝利の暗示でもある。勝利関係のルーン多くね?
状況を逆転するラッキー・ルーン。人が近寄れないほどの強大なエネルギー。物事がうまくいく。健康状態がよくなる。熱源。氷を溶かす。輝き。輝きのルーンも多いんだっつの。その辺りからか、宝石という意味もある、という説もある(あやふや)。
ルーンってのは元は北欧神話とかそっち方面から来ているわけで、つまるところ死の象徴である氷の世界を溶かしてくれる太陽っていのは、逆に生命の象徴であったということになる。生命の源。活力の元。
というわけで、セブスタでは《栄養ドリンクの魔術》みたいな使い方も可能なのだが、使うたびにダメージを受ける主人公では使う意味がなさすぎる。
よってまあ、もっぱら極小の疑似太陽を発現させる高熱の攻撃魔術として使われていますね。ハガラズと並ぶアスタの最大火力。火と水(合わせて氷もだが)は、繰り返すがアスタに相性のいい属性なのだ。
それは生命の根源にして、あらゆる冒険者の導きである。
17/T【Teiwaz/ティール、テュール】
軍神のルーン。また勝利のルーン。ほんと「また」だよ。剣。戦いと勝利。男性性。向上心。
つまりは軍神ティール(テュール)のルーン。軍神だけあって、ときおりローマ神話のマルスとも同一視される。こっちのほうが有名かね。雷神トールとは別人(別神?)です。勇気をもって現状を打破するとか、そんなん。
逆に出れば消極的な失敗。不名誉な誤解。失敗。迷走。そんなところか。
カタチは矢印に似ている(↑)。上昇志向ということなのだろう。戦略を持って、勝つべくして勝つという感じのルーンですな。ニュアンスの違いはその辺だろうか。
セブスタ的にはまあ勝利のご加護的なルーンなのだが。星のルーンでもあるとかないとか。
獣の口に手を入れよ。その勇気なくして勝利はない。
18/B【Berkana/ベオーク】
成長のルーン。樺の木を意味する。母性の象徴、母なる自然に見守られての成長。また再生を意味し、治療、治癒などの意味を持つ。
逆にすると成長の阻害。うまくいかずに白紙に戻る。子どもや家庭の問題。家庭内暴力。
木々がすくすくと育つ豊かで肥えた土地。森。作中でも、まあ育てるためのルーンとして使ったことがあった気がするけど微妙に覚えてない。ウェリウス第二戦でやった、はず。違ったらごめん。
育て、そして天を衝け。
19/E【Ehwaz/エオー】
駿馬のルーン。移動。ラドが目的のための移動なら、これは移動が目的。自由気ままで奔放。変化。自由独立。散歩。逆意で悪い変化。ハプニング。旅行先でのトラブルなど。
作中ではもっぱら加速のためのルーン。最初期から使っている。古来より馬は欠かせない移動の手段なのである。
戦う者はその脚で駆けよ。
20/M【Mannaz/マン】
人間のルーン。自己制御。チームワーク。人間関係。肩を寄せ合った人間を象った文字。相互扶助や助力、チームワークやコンビネーションなど。人間関係の調和や円満を表す。逆さに見れば人間関係の不調和。自助努力が必要。孤独。価値観の差異から来る別れ。
ヒト。神の加護がないならば、あとは自らの手で切り開けというような。誰かを助けるためのルーンとして使える。
アルジズが相互協力なら、マンナズは支援みたいなのが、セブスタ的解釈である。
喪えば、二度と取り戻せない。
21/L【Laguz/ラグ】
水のルーン。水は感性や感情、霊能を示し、また同時に芸術にも転じる。つまり霊感のルーンであるとも言える。浄化。流れに乗る。縁を結ぶ。直感や閃きの冴え。柔軟性。受動性。流動性。優しさ。女性性。
逆では情緒不安定。気分屋。勘が働かない。女性関係の問題なんつー意味も。
直観、感性、独創性……そんな辺りが主だが、まあセブスタだとアレですね。水を出すルーンですね普通に。
水じゃないほうの意味でも使った記憶はあるんだけれど、どこだかは忘れてしまった。割と序盤のほうだったと思うんだけどなあ。
果てしなく、流れ、移ろい、そして全てを映す。
22/ing【Inguz/イング、イングワズ】
豊穣のルーン。また豊穣神フレイ(イング)のルーン。幸運を表すルーンのひとつで(これも多い)、安定、満足、幸福、発展など前向きな意味を示している。また完成のルーンでもある。完成を意味するルーンでもある。出来事の決着、完成、完了。ゴールへの到達。
加えて性的な暗示もあるとかなんとか。恋愛に関しては肉体的な関係を暗示する。生への歓喜。お盛んですねえ。
ベルカナと合わせれば、植物はきっとフッサフサに育つことだろう。んなもんどう戦いに使えっつー話なのだが。
空間の平定。という意味合いで、実は結界破りに使えるルーンなのだが、今のところ出番がなかったりする。
それは戦車に乗り、戦いに向かう英雄がもたらすもの。
23/O【Othila/オセル、エゼル】
故郷のルーン。家や遺産などの暗示。自分が育った文化や遺伝のパターン。
また先祖。生まれ育った環境。歴史。伝統。文化。領土。伝統や遺産の継承、領土の譲渡など。年長者から伝統的技能や優れた知恵を継承する。親からの影響。しきたりの遵守、躍進。
逆を言えば悪いしきたりで身動きが取れない。伝統が受け入れられない。家出、遺産トラブル。親との確執、反抗期。そんな感じ。
フェオが動産を表すのに対し、オシラは不動産を示していると考えればわかりやすいかもしれない。
喫茶《故郷》。そんな意味をレンの店の名に込めた、アスタの思いとやいかに。
なお魔術的には結界の構築など。魔競祭で確か使ってたね。……ともすればオセルと名付けたのは、そっちが主な理由だったのかもしれない。感動も何もない。
それは愛しきもの。そして繁栄のために捨てるもの。
24/D【Dagaz/ダエグ】
一日のルーン。日々のサイクル。太陽の運行。ひとつの物事の終わりと新たな世界への展開を示す。
穏やかで順調な生活、豊かな日常。ゆっくりと着実に前進する波乱のない状態。幸福と恵み。永続。永遠の愛。無限。永久。
三章終盤にて登場したエウララリアのミドルネームにも同じ音が入っている。はてさてどういう意味なのやら。
セブスタの魔術的には《循環》という状態を構築するために使われる。ある意味では等価交換の原則を破壊するような(できないけど)。割と重要なルーンだが、まあ戦闘じゃ使わないっすよね。
0/ブランクルーン【Wird/ウィルド】
運命のルーン。知られざるもの。究極。全て。宿命。あらゆる可能性。空白。
ある意味では最重要の、存在せざるルーン。文字なのに空白とはどういうことなのか。
作中、実はウェリウス第一戦で攻撃魔術を消滅させるのにこっそり使っている。消去魔術。
だが本来の効果はそんなものではないらしい。とはいえ、現状のアスタに使えるわけもなく。
どうなるこっちゃら。