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備忘録的設定資料集  作者: 白河黒船/涼暮皐
セブンスターズの印刻使い
2/3

魔術関係

『セブンスターズの印刻使い』

 魔術に関する設定資料。

■魔術

 魔力と呼ばれるエネルギーを用い、術式によって世界を改変する技術――という定義。

 俗に《書く》行為、そして《描く》行為に比喩される。

 絵で文章を創る、などと言われる。

 世界の法則(物理だとか運命だとか)で決まっている事柄、まあ単純なところでたとえれば《木から落ちたリンゴは地面に落ちる》とか、《火は水で消える》といった決まり(→文章)を、魔力(→インク)によって《落ちない》とか《消えない》といったものに書き換える(→この行為が「術式を構築する」ということ)。

 これが魔術。

 文章をきちんと理解し、正しく書き換えなければ魔術は発動しない。発動しないだけならまだしも暴発してまったく別の魔術になったり、むしろ自爆したりしかねないのが魔術の恐ろしい部分である。

 ただ、もちろん世界の法則は人間がそう簡単に理解できるものではない。

 以下はわかりやすい(と見せかけて、実はすごいわかりにくい)比喩による説明。


 先ほどの例で言うなら、《木から落ちたリンゴは地面に落ちる》という文章は、人間の認識としては《j歳fj塩4£1k-0♂9qrqwЖ派fshふぁ!う》くらいの超絶意味不明なモノでしか理解できないということ。

 このワケわからんものを、「えっと、4の部分を5に変えてー、先頭のjを消してー、んでいちばん最後に$を付け足すと、なんかリンゴが宙に浮くのよねー」という経験則で魔術師は理解している感じ。いわゆる座学で教わるのがここ。

 才能がある奴は、「実は5じゃなくてAに変えると高速で飛んでくんじゃね?」とか察する。この辺を知識と経験によって覚えていくのが、魔術における《理論セオリー》の部分。

 だが魔術は《感覚センス》も必要とする。

 ただ《4を5に変える》といっても、《4を上手いこと5に見える感じに書き換える》とか、《まず4を綺麗に消して、それから丁寧に5を書く》とか、あるいはもう《五》とか《V》とか《ご》とか《ふぁいぶ》とか、何をどう書くかも術者次第。ミミズが這ったみたいな金釘流の《5》しか描けない奴もいれば、めっちゃデザイン性に溢れた美しく秀逸な《5》が描ける奴もいる。楷書だったり筆記体だったりゴシック体だったり明朝体だったりポップ体だったりする。

 それが発動するかどうかは別の話だが。《ふぁいぶ》とか適当書いて自爆することもあり得る。

 当然、魔力インクをどれくらい使うかも術者次第。少なければ弱いが、多すぎても上手くは書けない。

 これがかなり感覚で左右される。《絵で文章を創る》と表現される由縁。

 以上、比喩。

 もちろん本当にポップ体で5って描いてるわけではない。わからない記述を、わからないなりに必死に、正しく書き換えようと魔術師はがんばっている。


 そして、ここまでやっても完璧にはならない。

 人間が書く以上、どうしたって完全な正解を綺麗には描けないため。世界に存在する《完全な正解》を、正しく描写することは人間には不可能。

 理解自体も完全ではなく、よって劣化は免れない。これがどれだけ正しい記述に近いか、というのが魔術の《質》を左右する。

 ただし、どれだけ上手く世界を誤魔化そうが、魔力自体が時間経過とともにどんどん消費されてしまうため、魔術とは一部の例外を除いて基本的に永続しない。一度にどれだけ書き換え、それをどれだけ持続させるか。これが《量》。

 まあ要は炎がない場所に、炎がある、という書き換えをしてもいずれ魔力がなくなれば消えてしまうということ。

 例外は、たとえばアスタが受けた呪いなど。



■魔力

 もう読んで字の如く。マジックパワー。MP。

 魔力を行使するために必要なエネルギー。本来は存在しないはずの、架空の力。

 精神力。だとか言われたりするけれど厳密には不明。というか、おそらく、たぶん違う。

 生物が持つ魔力と、世界に溢れている魔力の二種類がある。

 基本的には人体にとって毒。その毒素が強くなると《瘴気》とか呼ばれたりする。呼ばれ方が違うが、まあいずれにせよ魔力。

 ところによって《氣》とか《霊力》とか《第五要素エーテル》とか《暗黒物質ダークマター》とか《ふしぎぱわぁ》とか呼ばれたり呼ばれなかったり。



■魔法

 そんなものは存在しない。

 というよりも、存在しない奇跡のことを指して言う言葉、というべきか。

 たとえば《杖を振るだけで、あら不思議、たくさんのご馳走がでてきたの!》とでもいうような、本来の魔術理論をガン無視した、それこそ物語の中でしかあり得ないような行為を魔法と呼ぶ。

 まあ「ちちんぷいぷい」とか「びびでばびで云々」とか「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」みたいなものである。最後は違う。

 つまるところ、逆を言えば現実の人間にできるという時点で、それはもう魔法ではない。魔術である。

 これがどういうことかといえば、つまり《魔法使い》には魔法が使えないということ。魔法使いが使うのは、それでもあくまで魔術であり、魔法ではない。

 彼らが魔法使いと呼ばれるのは、魔法が使えるからではなく、ほかの人間から見れば「もうこんなの魔法だよ!」というくらい意味不明な神秘を実現しているから。魔術師一流の諧謔であり、そこには皮肉と、そして畏怖が込められている。

 最終幻想。



■魔術師

 魔術を行使できる人間のこと。《魔導師》、及び《魔法使い》とは区別されるが、厳密に言えばそれらも魔術師の範疇である。

 魔導師、魔法使い=なんかすごい魔術師。

 という理解で概ね正解。

 その実力が才能に左右される部分はかなり大きい。つーか才能がないとどうやっても無理。

 まず魔力がないとなれない。魔力があったところで庶民では教われない。金かかる。

 魔術が上手い≠魔力が多い≠戦いに強い。


 ――己の意志するところを為せ。


 これが魔術の大原則。超意訳すれば「せっかく魔術なんて使えるんだから、やりたいことやってこうぜ」的な感じ。割と意志の力が重要な魔術においては結構な真理で、個性に溢れた我の強い変人のほうが、なんだか魔術の才能に恵まれていたりする。

 魔術をひとつ覚えるということは、不可能がひとつなくなること、と定義される。

 不可能を潰していくたびに、世界には可能が増え、それがやがて全能に至るのは当たり前の理屈と言える。

 つまり、魔術師の最終的な目標は全知全能。

 神に至ることである。

 ……と言われているのだが、その大元の目標に忠実な魔術師は、割と減っているらしい。

「まー、そりゃそれが理想だけどさー。でも実際それは難しいよねー」

 みたいな。


 なお魔術の才能は遺伝する要素が大きいと言われている。

 それだけではなく、両親のいずれかが可能としていた魔術ならば、その子が習得するのは親より早くなるケースが圧倒的に多数である。なぜか。

 そのせいで、基本的には代を重ねるほどに魔術の技量は上がっていく。

 もちろん、いきなり才能が遺伝しない子が生まれたり、あるいはまったく別の才能に目覚める子が生まれたり、もしくは両親には才能がなかったのに突然変異で天才が生まれたりする場合もある。この辺りは稀なケースだが。

 ともあれ、その辺りに対処するべくして、名門家系の魔術師はなるべく多くの子孫を残そうとする傾向が多いとかなんだとか。

 つまりは、まあ、要するに。

 お盛ん、ということ。

 古い時代には、血の濃さを増すために割とエゲツナイ感じのことも、やっていたのではなかろうか。


 魔術師のステータスとしては《属性》、《特性》、《魔力量》、《変換効率》などがある。

 以下、大まかな説明。


 属性/火とか水とか。主に元素魔術に関係する。何かひとつは持ってるもの。

    もっとも、持っていたところで元素魔術は使えない、というアスタのような例外もいる。

    ほかの魔術にも関わってくる。

 特性/どんな魔術が得意か、どのような術式ならば適性があるのか、という魔力の傾向。

    属性と特性を合わせて《魔力の質的要素》とも呼ばれる。

    アスタで言えば、《印刻》特化ということだが、これは別にアスタの特性が《印刻》だというわけでは必ずしもない。

 魔力量/読んで字の如し。個人が保有する魔力の最大量。

     多ければ強いわけではないが、多いほうが有利なことも間違いない。

 変換効率/ある一定の魔術を使うときに、どれだけの魔力を消費するかの燃費。

      同じ効果でも、得意な魔術なら少ない魔力で高い効果を望めることもあるし、逆も然り。

      これは個々の魔術の適性によるため、一概には言えない。



■位階

 ランク。冒険者のそれとは違い、あくまで魔術の技量それのみを測っている。

 国王、というか王国によって認定されるが、国外でも別に変わらない。

 認定試験的なものがあり、合格すると貰えたりする。こればかりは特別な功績を立てたから、といった理由で認められることはない。

 おわかりとは思うが、モデルは銀の星団のアレ。割と勝手に変えているので、興味がおありならば鵜呑みにせずご自分で調べることをお勧めする。セブスタの位階は大半が嘘である。

 低いほうから、


 第十位階/新参者ニーオファイト

 第九位階/熱心者ジェレイター

 第八位階/理論者セオリカス

 第七位階/実践者プラクティカス

 第六位階/哲学者フィロソファス

 第五位階/小達人アデプタス・マイナー

 第四位階/大達人アデプタス・メジャー

 第三位階/被免達人アデプタス・イグゼンプタス

 第二位階/神殿の首領マジスター・テンプリ

 第一位階/魔導師メイガス

 第零位階/魔法使いイプシシマス


 となる。

 これはあくまで《魔術の上手さ》であり、ひいては付随する社会的な《階級えらさ》であるため、必ずしも魔術師としての戦闘能力とは関係がない。位階が低くても戦えば強い、という魔術師は存在する。

 シグウェル=エレクなどがその筆頭。

 以下、細かめの説明。


第一団ファースト・オーダー

 または《外陣アウター》。第十位階《新参者ニーオファイト》から第六位階《哲学者フィロソファス》までが第一団ファースト・オーダー

 なんとか者、で終わる位階はここ。

 魔術師のおよそ七割までが、ここまでで一生を終えるとか。

 冒険者なら九割九分。冒険者が興味あるのは冒険者としてのランクであり、位階認定にはさして興味がないからである。貰ったところで、むしろ邪魔くらいの勢い。

 まあ、だから第七、第六位階くらいまでくると、それなりに偉い。


第二団セカンド・オーダー

 または《内陣インナー》とも言われる。第五位階《小達人アデプタス・マイナー》から第三位階《被免達人アデプタス・イグゼンプタス》までが第二団セカンド・オーダー

 なんとか人、の位階。全魔術師の二割九分くらいがここ。

 この辺まで来るともう一生、食うには困らないで生きていけると思われる。

 慣例的に、第二団セカンド・オーダーまでは位階の名前ではなく数字で呼ぶ。呼ばれる。「彼は《実践者プラクティカス》さ」ではなく、「彼は《第七位階》さ」的な。


第三団サード・オーダー

 説明しなくてもいい気がするが一応。第二位階《教会の首領マジスター・テンプリ》から第零位階《魔法使いイプシシマス》が当てはまる。

 全体の1%にも満たない。セブスタならば第一位階が世界に十人。第零位階ともなると歴史に三人。

 この辺はもう人間から卒業している。肉体とかそういう面倒なものからは離れている。

 位階は強さとは関係ない、とか言ったけど、さすがに第三団サード・オーダーのクラスともなると、そうも言えないバケモノばかり。こいつら人間じゃねえ。

 この段階から初めて、数字ではなく位階の名で呼ばれるようになる。


教会の首領マジスター・テンプリ

 第二位階。単に《首領位マジスター》と呼ばれることが多い。

 ここで初めて《魔術集団の頭》を張れる。

 つまり、冒険者が勝手に作っているクランは、本来的には認められていない……のだが、そんな決まりは有名無実、実質的に形骸化している。

 才能ある人間が、ウルトラがんばればここまで行ける。

 作中では、実はガードナー学院長がこの位階の認定を受けている。


魔導師メイガス

 第一位階。本当は《魔術師メイガス》なのだが、わかりづらいので魔導師。

 ここまで行って初めて魔術師であり、もう極めることがないために、後進へ魔術を伝える育成が許される――つまり、魔を導ける。

 が、やはり、んなこと言ってたら魔術なんざ一瞬で廃れるため、知ったことではない。

 世界に十人しかいない。

 作中で登場しているのは四章までで二名。《月輪》ノート=ケニュクスと、教授こと《全理学者》ユゲル=ティラコニア。


魔法使いイプシシマス

 自己自身者。超越者。もうなんかワケわかんねえスゴいヒト。

 魔法が使えるヒト、ではないところがミソ。

 ぶっちゃけると定義は《その人間以外には使える人間がいない魔術》が使える魔術師。同じ魔術が使えないではなく、同じ結果を起こせない、である。

 たとえばメロの魔術はほかの人間にはできないが、別の魔術を用いれば同じ結果自体は引き起こせる。だからメロはやり方が違うだけで魔法使いではない。

 つまるところ、ほかの位階認定とは根本から定義が違う。いくら魔術を修練したところで、至れる限界は《魔導師メイガス》なのである。つーか魔導師も普通は無理なんだけど。

 だから実は、単に魔術の腕だけで比べれば、魔法使いより魔導師のほうが高い、なんてことは割とあり得る事態だったり。

 代替不可能な可能性。

 逆を言えば、もし魔法使いと同じ魔術が使える人間がほかにひとりでも現れれば、その時点で真似された側は魔法使いではなくなってしまう。

 が、そんな奴が現れることはないのである。

 世界に、というか歴史上で三人。

 アーサー=クリスファウストこと《時間》の魔法使い。

 フィリー=パラヴァンハイムこと《空間》の魔法使い。

 そしてもうひとり。かつて勇者と呼ばれた《運命》の魔法使いが存在する。

 そのうち、四番目が現れるのかもしれないね。



■騎士

 別に魔術師と大差ないが、違いとしては、

 ①武器を持っている。

 ②宮仕えである。

 この辺り。得物を持つのは、つまり権威の象徴である。

 持っている武器で戦うことが強制されるため、あまり魔術は使わず、魔力を身体強化に回して剣術なり槍術なり格闘なりで戦う。

 決闘なら、ぶっちゃけそのほうが強いわけだしね。



■冒険者

 冒険する者。そのまんまである。

 作中では特に迷宮魔術師を指して言う言葉。魔術師の位階とは違う独特のランク設定を持っており、これは管理局発行の《許可証ライセンス》によって判定される。

 その強さは基本的に、《○層までコンスタントに行って帰ってこられる》という数字で表されている。

 魔物も同じ。

 何が違うと言えば、たとえば《十層クラスの魔物》とは、つまり平均的な迷宮の十層に現れる平均的な魔物と同じ強さという意味であるのに比べ、《十層クラスの冒険者》とは十層まで余裕で行き来できるという意味。

 十層には、当たり前だが十層クラスの魔物が数多く存在する。ならば十層クラスの魔物と連戦して、余裕で勝てるくらいでなければいけない。十層の魔物一体と戦って、勝てるけど満身創痍、ではお話にならないということ。

 よって十層クラスの魔物と十層クラスの冒険者ならば、後者のほうが圧倒的に強い。

 一方、許可証ライセンスに登録されるのは、その冒険者が今までに到達した迷宮の最大深度(目安。実際に計測しているのは瘴気の濃度であって、だから五大迷宮クラスだと十層くらいでほかの迷宮の三十層くらい濃かったりする。この数字は、あくまで平均的とされる迷宮を想定したもの)。

 だから、そこに余裕で行けるのか、それとも必死にギリギリで生還したのかは、許可証ライセンスではわからない。

 つまりあの数字、管理局が使っているだけで、冒険者はさして信用しないのである。



■迷宮

 ダンジョン。厳密に言えば結界魔術の一種ということになる。

 古代の魔術師が残した研究室や宝物庫が、長い年月を経たことによって内部の魔力が劣化、瘴気と化した影響により自動変貌、魔窟と化した場所のことを言う。

 劣化というか退化というか、むしろ進化というか深化というか。

 なお、上に書かれているのはあくまで《セブスタ作中の魔術史学》において主流となっている定説、仮説であって、本当に正しいと書いたわけではない。

 などと意味深なことを言っておく。



■魔物

 瘴気から自然発生的に生まれる、通常の生態系からは外れた魔力生物。

 なぜか人間だけを執拗に殺そうとする性質がある。人間だけ。ほかの生物を襲うことは滅多にないが、人間だけは見つけた瞬間、何を措いても絶対に殺そうとしてくる。そのとき、ほかのことは一切考えない。

 架空疑似生命システムエラー

 目に見える警告モンスター

 抗生異物バギーデバッガー

 終焉ビースト

 ……何これ意味深すぎる。

 ほかの生物や、あるいは人間が持つ共通幻想を模していることが多い。

 いろいろと種類があり、以下がその一覧。


 魔獣/獣型の魔物。定義があるというよりは、なんとなく現実の生物に似ている魔物を魔獣と呼ぶ。

 幻獣/鬼種オウガ不死鳥フェニックスなど、魔物の中でも明らかに群を抜いて強い種のこと。

    それぞれが伝説を持っており、基本的にはどれほど強かろうと魔術師の敵う相手ではない。

    幻獣一体=七星旅団全員、くらいの戦力比と思っていい。

 神獣/ぶっちゃけ幻獣と一緒。

    その中でも歴史的、宗教的要因などから神として、神聖なモノとして崇められていたモノを指す。

    たとえば同じ幻獣でも、不死鳥フェニックスは神獣だが、鬼種オウガは違う。みたいな。

    魔竜ドラゴンはモノによって神獣だったり違ったりする。厳密な定義はない。

 精霊/特殊な魔物。というか、厳密にいえば魔物ではない。

    現実世界には存在しないし、喚び出しても人間を襲うことはない。

    全力ならば幻獣と伍するか上回る力を持つが、物質世界で全力を出せる手段のほうがない。

    作中ではウェリウスが喚起することに成功している。



使い魔ファミリア

 魔術師が創り出す魔術生命体。

 その肉体は魔力で構成されている、という点で実のところ魔物と同じ。

 違いは人間を襲うか襲わないか。

 人間が魔術によって使役する、術式疑似生命システムアウト

 なお合成獣キメラとは、ほかの生物を元にして創り出す使い魔のことである。



■人間

 いわゆる人類種ヒューマンだけを指す言葉ではない。

 吸血種や鬼種との混血、あるいは獣人種や森霊種といったモノまで含めて人間。

 ヒトと、ヒトではないものの混ざりモノ。

 混ざっているのである。つまり合成されているのである。

 意味深。

 なお《人造人間ホムンクルス》の精製は、現在のところ《喪失魔術ロストロジック》の一種とされている。



喪失魔術ロストロジック

 忘れてた。

 現代では失伝したとされる魔術。現代魔術では何をどう足掻いても不可能とされる命題。

 空間転移や人造人間の精製、あるいは死者蘇生などが当てはまる。

 千年前の暗黒時代を皮切りに喪われた。ないし、元からそんなことは不可能だった。

 なお、可能になったからといって別に喪失魔術ロストロジックでなくなるわけではない。

 この辺り割と曖昧。

 たとえば転移魔術が一例で、迷宮からの出土品には転移を可能とするモノも含まれているし、当然ながら《空間》の魔法使いならば可能だろう。

 が、それでも喪失魔術ロストロジックと呼ばれるのである。



魔具アイテム

 思い出した。

 魔術のかけられた道具。魔力が貯められたものであれば、魔術師でなくとも使用できる。

 魔術的な物品は全てこれに当てはまる。魔晶ですら、創り出す方法がないくせに魔具の一種である。

 一流の魔具製作者クリエイターは、魔術師として普通に出世するよりも遥かに簡単に大金を稼ぎ出すという。

 作中に登場したのはエイラ=フルスティ、マイア=プレイアスなど。

 アスタやセルエも造るだけなら可能なのだが、別に本職ではないためそうは呼ばれない。



印刻魔術ルーンマジック

 アスタ=プレイアスが使用する魔術。

 ルーン文字という、いわば最初の説明で触れた《世界の記述の解答》を描く、というよりは貼りつけているようなものであるため、質の上において他の魔術に圧倒的に勝る。

 反面、書かなければならないという面において速度で劣り、また解党に近いということは、その分の理解が求められるということであり、要するに難易度がアホほど高い。

 一般的には占いなどに用いられる魔術で、戦闘のメインで使おうとする変態はアスタくらいのもの。

 本来、正しい儀式を用い、正しい方法で刻まれた文字に、正しい手段で魔力を流し、それでも解釈がズレて上手いこといかない、っていうくらいには難しいし時間がかかる。

 解釈によって魔術を曲げれてしまうのが普通であって、解釈のほうを捻じ曲げて魔術にするなんてことが普通できるわけないじゃないですか、嫌だなもう。

 ……。

 よって作中でウェリウスが触れたように、アスタのそれは厳密な意味での印刻魔術とは違う。っぽい。

 セブンスターズの印刻魔術師。

 ではなく、あくまで彼は、セブンスターズの印刻使いなのである。



普通魔術セレマギカ

 普通の魔術。基本にして真髄。

 冒頭に説明したのがそれ。厳密な定義はなく、ある意味では全ての魔術が普通魔術と言える。

 セレマ+マギカの合成造語である、という設定裏事情は、まあ要らないか。

 意志を為す、という魔術の根本理念を、正しく反映させた正当魔術だと言える。

 というか、特別な名前がついていなければ、それはもう普通魔術セレマギカと言っていいだろう。



元素魔術エレメンツ

 属性というか元素というか、そういった自然要素を媒介に使う魔術。

 適性がある属性の元素魔術しか使えない。

 最も簡単な魔術と言われている。自然元素を仲介させることで、難しい術式の処理を簡略化しているためである。

 もっぱら戦闘に用いられることが多い。速い、強い、簡単。

 と言いつつも、まあいちばん使われるのは、当たり前だが生活面でだろう。

「魔術なんてぜんぜん勉強してないけど、火を出すくらいならできるよー」

 という一般庶民は割といる。



治癒魔術ホワイトクラフト

 才能に対する依存の度合が、かなり高い魔術。

 もっとも、ぶっちゃけほかの魔術だって才能は必要なのだが。元素魔術もそうだしね。

 傷を治す魔術。病を癒す魔術。

 肉体活性の技法だが、作中では過剰治癒オーバードーズに用いて逆に肉体を傷つけることもあった。

 神の奇跡の再現。

 では、あらゆる傷を癒す治癒術師は、その果てにどんな領域へと足を踏み入れるのだろうか……。

 みたいなね。

 作中での使い手は、ピトスとキュオとパン。



錬金魔術アルケミー

 まだ使ってる奴がいなかった気がするので、一応のため伏せておく。

 まあ、モノを創造する魔術だと想像していただいて、基本的には間違いでない。

 作中に登場しているのはマイア。

 錬金魔術師=魔具製作者。では必ずしもない。



混沌魔術ケイオス

 セルエが使うという魔術。何してんのかよくわからない。

 一応は、魔術Aと魔術Bを足して魔術Cとして成立させる技法、と考えていいだろう。

 この魔術Cが混沌魔術。

 あらゆる魔術には術式があり、ひいては出展――神話だったり宗教だったり歴史だったり信仰だったり伝説だったり――があるのだが、この混沌魔術はその出自を覆い隠してしまう。

 よって魔術に対抗される可能性がほぼ零。



数秘魔術ゲマトリア

 数を用いた魔術。

 正確なところを――というのは作中ではなく現実において――言えば違うっつーか、そもそもゲマトリア=数秘術というのも割と違うのだが。

 運命数を算出するとか、聖書解読するとかね。カバラが云々とか。そんなものなのだが。

 作中においては、ルーン魔術の数字版になってしまっている。

 間違えたのではなく、もうそういうことにしてしまった。

 セブスタの魔術設定は、あくまで現実の魔術(という表現も妙だが)を下敷きにしているだけで、結構な部分が嘘八百で占められている。その最たるものがコレだろう。あとルーン。たぶん二大「それぜんぜん違うから!」魔術である。

 本物の魔術師に、白河はそのうち消されてしまうかもしれない。

 まあ、異世界だから、ってことで勘弁してくださいな。

 セブスタではレフィス=マムルが用いる。

 こいつの番外編なんかは、いつか書いてみたいものである。



■異能

 いわゆる超能力。魔力を消費せず、けれど不可思議な事象を引き起こす魂魄機能。

 詳細はほぼ不明とされている。

 生まれつき、なぜか特異な能力を持って生まれることがあったり、なんらかの後天的な事態によって目覚めたりと場合は様々。

 ゲートを開く行為。異界法則アウターシステム強制適用ダウンロード

 作中ではクロノスの《強奪》、アイリスの《簒奪》、そしてエウララリアの魔眼《破戒》が該当。



■魔眼

 厨二御用達の能力。つまり白河は大好き。

 セブスタにおいては魔術で(むしろ手術?)で作る魔眼と、それとは関係なく備わる異能的な魔眼の二種類がある。



■二つ名

 魔術師につけられる異名。

 名前がわからないから便宜的につけたりと、割とシステマティックな理由でつくため、そこにロマンはあんまりない。

 まあ、ついたということは有名になったということである。

 あとは国王が直々に賜わす場合もあり、こちらは栄誉ということになるが、たいていの場合において、方々で話題になっている二つ名がそのままつけられる。

 格好いい悪いを気にする感覚が魔術師にあんまりない(だから痛いとも寒いとも思わない)のだが、地球出身のアスタは割と耐えられない模様。

 と言いつつも、結構ノリノリで自分から名乗っている。

 まあ、《天災》とか名づけられるよりはマシだと思ったのだろう。

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