#6【過去】
暗いトンネルのなか……、右を見ても、左を見ても光という輝きは見えない。
なぜだろう……。
私は今どこに向かっているのだ?
中学校の時、私は吹奏楽をやっていた。担当パートは……、どこだったかな?
あんまりいい思い出がない。
文化系の部活なのに野球部以上にきつく、しんどかった。
なにかある度に、罵声を浴びて、周りからは見捨てられることも少なくない。
周りが助け合おうぜ、とか言っている割には、自分に危機が訪れると他の人間たちなんか知らん顔。
そんな日々の繰り返し。
ある日、私に部活を辞めるきっかけが突然やってきた。
それは数年前の3月、
別の中学校の体育館で開催されたコンサートで、自分たちの学校の演奏15分前に起きた。
このコンサートは、
自分たちの学校以外の吹奏楽部を集めて演奏会を行い、最後は出演校全員で、2曲ほど演奏して終わるというもの。
いろいろと面倒なこともあるが、
ちょっぴり贅沢なものだと思っている。
当時私は、左手首を痛めていて、
演奏に参加できないため、打楽器パートの手伝いをしていた。
まもなく本番。
なのに、管楽器の人間達が来ない。
不安を感じた打楽器担当のリーダーは、私に
「悪いけど、管楽器のメンバーを呼んできてもらえる?」
素直に
「はい! わかりました」
私は、その人間の1年下。
返事後、走った。
だが、会場であるこの中学校は、自分の学校ではないため、構造がさっぱりわからない。
ゆえに携帯電話を持っていない。
なので、ここに通っている生徒たちに
「○○中学校の控室はどこですか?」と
学校でコンサートをする際は、教室が控え室となることが多いため
「3年○組だと思うので、3階ですね」
と言ってくれた。
そこに目掛けて走った。
結果は、誰もいない。 無音が教室に広がる。
間違えた? そんなはずはない……。
でも捜す気力もない。
仕方ない……戻るか。
誰もいなかったということを、伝えようと体育館に向かったら……、
“音楽が聞こえる……?”
何故だ??
そう思った私は、走った。
すると、目の前には
自分が探していた管楽器担当の人間たちが演奏していたのだ……。
どこですれ違った!?
あまりのショックで言葉が出ない。
そして、演奏会は終わり、
撤収作業に入る時、椅子の上に譜面を入れるファイルが積み重なっていた。
遠くから見ると、扇が半開きになっている状態だった。しかもその上にトライアングルとかいう楽器が乗っていた。
周りがドタバタ走っているため、そのまま滑って床に落ちた。
偶然にもその近くを私が通っていたため、
周りは、“私が落とした”
という空気が広がった。
裏方なのに遅刻した件・楽器を落とした件で
自分の学校顧問の先生に謝罪をしたが、異常なほど怒られた。
指示されたことをやっただけなのに……。
悔しさより、悲しさが増してきた。
その日の夜、学校に戻っても謝罪し続けた。
だけど顧問の先生は、聞く耳を持つどころか
「もう、お前の好きにすればいい!!」
と突き放された。
その時に、私は決心した。
“辞めてやる”と。