#19【暴走】
今、私は
背中を下にして寝ている。
そして白衣を着た人間が、私の両サイドに立っていて、ひもを持っている。
あぁ、あれで絞めるのか。
私は、首を左右に動かしながら、訊いた
「これから私の首を絞めるの? もしそうなら、……あなたたちの首を絞めさせて」
思いっきり両手を上に伸ばし、両サイドにいる人間の首を掴んだ。
ぐ、ぐぅっ、ぐぅっ
首を絞めている人間達は苦しそうな声を出している。
不思議な快感だ……。
より強く絞めたくなる……。
血が騒ぎだしたかな?
私は、絞めている首を軸にして上半身を起こした。
よっこいしょ。
すると、奥のほうで、電話をしている人間を見つけた。
おそらく、今起きていることを説明しているのだろう。
そうはさせない。
右手で絞めている人間を、遠くへ突き飛ばした。標的は、電話をしている人間。
周りの機材やメスなどが乗っているカートみたいなものにあたり
ガシャーン!!
と大きな音を立てた。
それにびっくりし、電話をしている人間は腰を抜かし、その場に倒れ込んでしまった。
そのころ、
左手で絞めている人間が、ジタバタし始めた。
もう限界か?
弱いな、と思った瞬間、
先ほど右手で突き飛ばしたと思われる人間が、
「飲み込め~、殺人鬼!!」
と言いながら
私の口に無理やり、なにかを入れた。
次第に力が抜けていき……
左手で絞めていた人間が、バタッ、とその場に倒れ込んだ。
また意識が、意識が遠のく……。
あぁ、前が真っ暗で……見……え……な……い……。




