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ACT1 農業都市カサント

【第1章 concentration】


不公平だからこそ人生はおもしろい。

不公平だからこそ人生は辛い。

何が正しくて、何が正しくないのか。

そんなものは誰だって知るわけがない。

そんな中でも俺達は、幸福も絶望もつかまなければいけない。

一方が幸せなら、もう一方も幸せかといわれると、そんな事はありえない。

だけど、生きていくってそういうもんだと思う。


……そう思い、俺、リアン・アネンスは空を見上げた日もあった。





「んん……。」

 目が覚めた。

 青く澄んだ空と陽の光が、俺の寝ぼけ眼を覚ますように促してるように思えてくる。

「あ、リアン。大丈夫!?」

 澄んだ綺麗な声が俺を気遣った。俺より一つ上で、幼馴染(恋人でもある)のセリア・リーナスである。今時珍しい、天然な性格の持ち主で、少しだけ声が間延びしている。ワンピースの上にカーディガンを羽織っている姿は、絶妙に合っている。

 めちゃくちゃ可愛いんだよなぁ、これが。 それに付け加え、長い綺麗な金髪と、スタイルの良さにはいつ見ても驚く。 こいつ、本当に19歳かよ・・・。

訳あって、俺に膝枕をしてくれいる。彼女の膝枕はめちゃくちゃ気持ちが良い。

(いや、「彼女の」とか言ってるけど、セリア以外にはやってもらってないぞ)

しかし、良いもんだなぁとか、アホな事を思ってみる。それに付け加え、この草原に吹く風が心地よい。

 ここ『農業都市カサント』は、人口1億人もの、大規模な農業都市である。俺とセリアが育った場所でもある。広大な大地と水資源があり、気候も良いので、農作物を作るには打ってつけなのだ。世界各国の農作物の約20%はこの町で作られている。今は春先と言う事もあり、皆、農業に力を入れている。

 俺達は、そのカサントの北部に住んでいる。農業都市というよりは、近代的な匂いがする活気のある場所だ。

 また、俺達がこうしている目の前には高くそびえ立つ『カサント山』がある。


 そもそも俺は、何故セリアの膝に頭を預けているのかというと、ただ甘えていたり、いちゃついてるわけではない。 

 時は30分前にさかのぼる。


 俺とセリアは、最近妙に増えているレギオン(野生の怪物)を退治するために毎日、剣術の練習をしているのだ。(もちろん、模擬剣だがな。)

 いつもやっているのだが、どうも俺は彼女に勝てない。

「はっ!せぁ!」

 一撃、二撃と仕掛けるが、全部弾かれてしまった。俺の攻撃を弾き、セリアが懐に飛び込んでくる。

「甘いぜ。」

「えっ?」

 いつも懐に飛び込まれ、やられてしまうのだが、いつまで経っても学習しない俺ではない。

 俺は地を蹴って後退。

 セリアの斬撃は虚空を斬った。その隙を狙い、俺は模擬剣の鞘を投げつけた。

「く…。」

 セリアはすかさず自分の鞘を手に取り、これをガード。

「よし!もらった!」

 鞘でかく乱してる最中、セリアの右サイドをとった俺は、気を真空破のようにして飛ばす特技、「蒼迅剣」を叩き込もうとした。

 ―これならいける。 と思っていたのだが

「リアンも甘いよ!」

 セリアは左足を軸にして、回転膝蹴りを俺の後頭部に浴びせた。

 ――バシッ!

「っつあ〜……」

 良い音と共に、俺は倒れた。

「あぁー!リアンごめんなさぁ〜い!」

 薄れ行く意識の中で、いかにも焦っているようなセリアの可愛らしい声が響いた。まぁ、これはこれで良いんだけどな。


 そうして今に至るわけだ。

「リアン〜。」

「大丈夫だ。そんなに心配するなって。」

 起き上がるった俺は、しょ気た顔をしてるセリアの頭をなでてやった。髪からとても良い匂いが漂う。

「しかし、ダメなんだよな〜。どうしてもセリアには勝てねぇ。俺もホント、強くなりたいよ。」

「でも、リアンも強くなったと思うよ。始めた当初なんて、10秒ももたなかったじゃない。今なんてまだマシだよ?」

 所々、キツイ事を言ってるが、彼女はそれを悪い意味として使ってるわけではないのだ。もちろん、それは俺も理解している。長い付き合いだしな。だが、肝心なところを見逃している。

「あのなぁ。俺も確かに強くなったかもしれないけど、セリアだってどんどん強くなってきてるんだから、同じ事だろう。」

「そんなことないよ〜」

「あーるーの!」

「うぅ……そうでした。……多分。」

「はぁ…。」

 俺は、大きなため息を一息つく。どうやらマジで理解してないようだ。

「あ。」

 セリアは思い出したように自分のバックから携帯電話を取り出し、時間を見て少し慌てた。

「もうこんな時間!」

 時刻は昼を過ぎていた。

「え?あぁ、そっか。クランツおじさんに弁当届けるんだったよな。」

「うっかりしてたよ〜!お父さん、お腹すかしてるから、また夜ね!」

「あぁ、じゃあ、俺も暇になったらメール入れておくわ。」

「おっけー!」

 すさまじい速さでバッグを持って、市街地へと走り去ってしまった。

 しかし、時間を忘れてまでも俺の面倒を見てくれた事を思うと、なんだか照れてしまう。 つくづく惚れてんなぁ、俺。

「さて。セリアも行っちゃったことだし、俺も用を済ませるか」

 俺は、セリアが走り去った方と逆の方の森へ足を進めた。

―倉庫にある機材をとってきてほしい と言われたので、それを取りに行くのだ。遅くなっても良いみたいだったから、セリアとの時間を優先させたのだ。

 

 倉庫までたどり着いた俺は、さっさっと頼まれた機材を取り出し、持ち帰る途中だった。 その時だ。

「ん、なんだあれ?」

 カサント山の中腹の一部が、一瞬、不気味な赤黒い光を放った。

「なんだ、赤黒い光?登山してる人でもいるのか?」

 そんなはずはない事くらいわかってたが、ついつい言ってしまった。赤黒い光なんか発するライトを持ちながら登山する人なんているわけがないからだ。

 その直後、背後から殺気を感じた。

「!」

 俺の目の前には、2匹のロウアーウルフが居た。狼系のレギオンでも大したこの無い奴らだ。

―ググゥ…!

 低い鳴き声を放ち、今にも襲いそうな勢いで姿勢を低くしている。

「ふぅ。ロウアーが2体か。」

 俺は、肩に背負っていた荷物を降ろし、剣を引き抜いた。

「行くぜ…」

 俺が走り出したと同時に、ロウアーウルフ2体も駆け出した。

 一匹は真っ直ぐに突っ込み、もう一匹は右からぐるりと回りこんで来た。

 最近、生術を組み込んだ戦い方もしたかったので、俺は一匹を生術で、もう一匹を物理攻撃で倒す事にした。

 早速、走りながら手に光を込め、突っ込んできた方に放った。

「ホーリーアロー!」

 光系の下級生術の『ホーリーアロー』である。

―グキュ!

 放たれた3本の光の矢は全て急所に命中。 いい感じだ。

「次だ!」

 もう一匹の方はすでに飛び掛かかる寸前まで来てた。

「いける!」

 俺は左脚でロウアーウルフの顎を蹴り飛ばした。

―キュ…!

 地に落ちる寸前に、一撃を与え、構えなおした。

「蒼迅剣!」

 剣先に溜めた気を、真空刃として飛ばした。

 真空刃に切り裂かれたロウアーウルフは倒れ、その場で動かなくなった。 

「ま、こんなもんだろ。」

 俺は鞘に剣を収め、死骸に一礼し、荷物を背負い直し自宅に戻った。


「ただいま。」

 リビングに入り、荷物を降ろしながら俺は言った。 あれから1時間半くらいかけて家に到着した俺。気が付けば時計は夜の6時を回っている。

「おかえり。」

「おぉ、帰ったか。」

 一番最初に気づいたのは母さんだった。親父は母さんにつられ、待ちくたびれたような言い方で言った。

「約束どおり持って来たよ。これでいいんだろ?」

「あぁ、助かった。そのままにしておいてくれ。」

―分かった。 と言い、俺は手洗いうがいを済まし、母さんに聞いた。

「飯、どのくらいでできる?」

「あと10分くらいで出来るわよ。」

「分かった。 飯食い終わってちょっと経ったら、セリアんところ行って来るから」

 その時、親父がふっと笑った。

「なに?」

「いや、相変わらず昔の俺と母さんににてるもんでな。」

―ははは と笑い、俺は食卓に就いた。


 飯を食い終わり、2階の自室に戻った俺は、ベッドに腰を下ろし、一息ついた。

俺はズボンのポケットから携帯を取り出し、早速セリアに電話した。

……3回目の呼び出し音が鳴った時―

(もしもし?リアン?)

 慌てて出たような声でセリアが出た。

「あぁ。遅くなってごめんな」

(んーんー。)

「今から行こうと思うんだけど大丈夫か?」

(うん。大丈夫よー。お父さんとお母さんにはもう言ってあるから。)

「そっか。じゃあ、今から迎えに行くよ。」

(ありがと〜!じゃあ、準備して待ってるね。)

「そっか。分かった。」

「バイバ〜イ」

―ツーツー

 電話を切り、出かけるのに必要最低限のものを用意し、部屋の電気を消した。

―さて、出かけるか。

 


―To be continued


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