童貞×道程
性的な描写があります。
女のそれは高潔で、清廉で、美しいともよべるが、男のそれは醜く、退廃的であるに違いない。
私は二十五歳、童貞。今日も私は嘘をつく。
「言う程気持ちよくないよな」と皆が口を揃えて言うから、私も口を揃えて「だよな」と言った。知るはずのないそれに私は同意する。だが私の同意はその実、皆がやっていることなのだ。
地球を美しい星だと言う人間の全てが、実際に宇宙から地球を目にしたのだろうか。答えは否だ。その内の何人か、いや大多数は写真や動画で目にしただけに過ぎないはずだ。
それに照らせば、私はセックスをしたことはないが、ポルノ動画や写真は毎日観ているし、それを観ながら手やオナホールで擬似的なセックスをしているのだから、セックスについて語る資格は部分的に有している。
初めてオナニーをしたのは十一の頃だった。友人に勃起した性器を擦り続けろと言われた私は、その日の下校後に早速実践した。
家族の共用パソコンの電源をつけ、ホームページを開く。検索バーに打ち込む文字は「SEX 動画」友人から事前に聞いた言葉だ。僅かに震える右手の人差し指でカタ・カタ・カタと一文字ずつ入力していく。キーボードを叩くたびに私の心音が高鳴り、性器はかつてない程に膨張する。最後に私はカッターンと勢いよくエンターキーを叩くと様々なページが現れた。
選んだのは一番上のページだ。無論、友人から事前に聞いていた。
私はクリックした。カチカチカチカチと。やけに遅く感じた。一向にページが開かれないように感じる。しかし、一度ページが開かれればそこには私が望んで止まない画像や動画が数多掲載されていることは必定であった。
しかし、やっとの思いで開かれたページは私に思いもよらないものを見せた。「あなたは18歳以上ですか?」私はその文字を見た時、思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
無論、18歳以上ではない。そのことは言うまでもない。画面に映るアダルトサイトの黒背景には目を血走らせた幼い姿の自分が写っているのだから。
唐突なホームページからの問い。それに私は思考を巡らせた。何故、そんなことを聞く?
真っ先に思い浮かんだ仮説は、もしかして閲覧には年齢制限が設けられているのではないかということだ。例えるならゲームソフト、あれも幾つかのカテゴリに分けられて年齢制限がある。
この仮説ならば答えは明確、ホームページからの問いに私は18歳以上であると偽ることの一択。
私はマウスを動かし、カーソルを「18歳以上です」に合わせた。が、ざわつく。胸が。
右人差し指はまるで動かない。何かが私がクリックすることを妨げる。「ハーハーハー」私は自分でも気付かぬうちにカーソルを合わせてからの数秒間、呼吸をしていなかったことに遅まきながら気付いた。
私は呼吸を落ち着けると、一回深呼吸をした。呼吸とは不思議なもので、生命維持の根幹を成す基本機能でありながら、身体の各部位のパフォーマンスに多大な影響を及ぼす。この時の私に呼吸の安定がもたらしたのは、思考力の向上だった。
まだ、立てるべき仮説はあった。私は見落としていた。仮に、このホームページの主が何らかの方法でこのパソコンを所有する我が家の家族構成を把握していたと仮定しよう。父と母はこの時間は仕事、兄はまだ学校、妹はまだ8歳で児童クラブにいる。つまり、この時間にこのパソコンを使うことができるのは私以外にいないことをホームページの主は容易に推察できる。
私はゾクリとした。十分考慮すべき事項だった。私が18歳以上であると偽った場合、なんらかのペナルティが科されるかもしれなかった。がしかし、刹那天啓。
「ならば、私は18歳未満と回答するべきではないか?」
圧倒的、合理的判断。嘘偽りなく、真実を述べる。私は18歳未満であると。私がホームページの主だったらどう思うだろうか?無論私であれば正直者には褒美を与える。
私はススッとカーソルを移動させ、「18歳未満です」をクリックするとホームページから追い出された。
私は同じホームページを開くと、今度はいささかの躊躇いもなく「18歳以上です」をクリックし、画面を肌色に染めた。
ノリで書いてみました。
なんかごめんなさい。




