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プロジェクト・S(里美)


 「ゴクヒ カイギ オコナウ アス ガクショク ショウシュウ コノ メールハ ショウキョ セヨ グッドラック」



 自動的に消滅する「007」のカセットテープならまだしも、相手に「消してくれ」と頼んでいるトホホな内容。しかも学食集合じゃ極秘もクソもない。幸運を祈られてもありがた迷惑だ。


 しかも、受信者全員のメール差出人欄に思いっきり「里美」と出ていた。


 ミッションに選抜されたアニー、鎌田の二人は「なんでやねん」と、携帯に向けて突っ込んでいた。


 そしてミッション当日、ソルジャーA田淵、ソルジャーB鎌田は、指示通り秘密アジト(学食の隅)で鬼教官里美を待っていた。


 

 「おー、ゴクローゴクロー。待たせたな。」


 里美は浜田省吾が掛けている様なタレサングラスを装着し、意気揚々と登場した。極秘どころか学食にいる全ての人から冷たい視線を浴びせられていた。どうやらガチの様でタチが悪い。


 「里美…。難病も末期に差し掛かった?気をどうか取り戻し…」


 「シャラップ!ソルジャーA田淵!口を慎みたまえ!君はラピュタ王の前に居るのだ!」


 もう設定がこの時点でメチャクチャである。ムスカ暴走。


 「アタシの志望校よりコッチの方が倍率高そうね。だとしても今は出会った事を後悔してるわ…」


 「だ~ま~れい!ソルジャーB鎌田!地球には間違いなく引力があるのだ!」


 時計台から三回落ちたジャッキー・チェンもNGシーンにこんなのは使いたくない筈。


 何故か円代が三人分のお冷を持ってきた。これじゃ中華料理屋の「決まったら呼んで下さい」状態の家族である。


 ようやく浜省里美がミッション内容を語り始めた。


 「来たる九月ホニャララ(この時点では日程が不明だった)の橙祭。そのミッション名を、あ、………」


 もうこの時点でソルジャー二人は「帰りたい」しか思っていなかった。


 「ハハハ、ハッピョウーーーーーシマスッ!!!!!」


 もうここまできたら「ものまね王座決定戦」のフィナーレである。


 バン!


 ババン!


 バババーン!


 目の前に茶封筒が正月カルタの様に勢い良く置かれた。


 「各自確認セヨ。」


 お前は韓国スターか。とツッコミつつ、アニーが茶封筒を開け、鎌田が中身を取り出した。


 静かに中身の用紙を広げるソルジャー二人の目に飛び込んできた衝撃の内容………!



















 










 「ハズレ」


















 





 「いっやー、やっぱ思いつかなくてさ、二人の知恵をお貸し頂きたいと…アレ?奈菜さん?鎌田センパイ?夏はまだ長いっすよ?あれー!ちょっとちょっと!帰んないで~お願い~シャレ通じないんだから~も~!」


 アニーと鎌田はマジ切れ気味に学食を出て行き、里美は一人タレサンのままうなだれていた。


 律儀に円代が「もう閉店ですよ」と言わんばかりにお冷を三人分片付けた。



 


 その夜、ソルジャー二人の携帯に、


 「土下座しながらこのメールを打っています。ま こ と に も う し わ け あ り ま せ ん で し た 」


 という、へナ教官からのメールが届いた。今回は消去の支持が無かったにも関わらず、優秀なソルジャー二人はそのメールを自発的に即消していた。


 今回、里美のコントにまんまと付き合わされたアニーと鎌田、そして円代。里美は数日に渡り凄まじい怒りを買う事となったが、それは真剣の裏返しである。


 個々に密かな革命を企んでいるのは、里美も、アニーも、鎌田も、円代も、共通の思いだった。


 

 ※…とはいっても、里美みたいなめんどくさい奴が実際にいたら普通に嫌がられます。


 これはアニー、鎌田、円代の器アゲではない…。と、思う。多分。


 

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