挨拶と再会
私は元いた世界に戻ってすぐ、大学生になった。
今日はその入学式だった。
「ねえ、君、新入生?」
後ろから声をかけられた。
「…あ、はい…そうです…」
「そうなんだね!私もなの!あ、私は佐藤凛!よろしくね?君は?」
「あ…私は、篠塚ゆき…!よろしく…!」
「ゆきちゃん!よろしくね〜!ちなみに何学科?」
「私は音楽学部!凛ちゃんは?」
「私もだよ!ゆきちゃんはなんの楽器やってるの?」
「私はトランペットを!凛ちゃんは?」
「私はピアノ!」
「ピアノなんだね!いいね!」
「えへへ!」
そうして私は今日から初めての大学で友達が出来た。
大学から帰っているとき、男の人の声で、触るなという声が聞こえて来た。そしてその場へ行くと、昨日離れたばかりでも、すごく会いたくて、愛しい人がそこにいた。
その人のそばにいた女性は怯えながら走り去っていく。そして私は、声をかけた。
「…クリス…様…?」
そして、今に至る…
────────────────────
「ゆき…本当の君を抱きしめられた…」
「クリス様…」
抱きしめられてるこの瞬間がすごく幸せ。
あのときはシャーロットとしてだったけど、今はゆきとしてだから今の方がもっと幸せ…でも…
「あの…クリス様…ここは外なので…一度、私の家に行きませんか…?」
「あ…そうだな。連れて行ってくれ。」
「はい…!」
クリス様と手を繋いですぐそこの私の家へ向かった。
「ここか?」
「はい…アーシェント家の屋敷とは比べ物にならないくらい狭いですけど…えへへ…」
「いいじゃないか…素敵な家だな。」
「…!!ありがとうございます…」
家を褒められただけでも嬉しいと思う…
「ところで、これはなんだ?」
クリス様が指をさしたのは家の表札だった。
確かに、向こうにはなかったもんね。
「これは、表札と言って玄関先に掲げられる名前の札のことです。大体の家では苗字だけが書かれていて、家の主を示すものです…!クリス様なら、この表札にはアーシェントと書くことになります…!」
「なるほどなぁ…そんなものがあるんだな…ところで、これはなんと読むんだ?」
「あ、私の苗字ですね。これは篠塚と読みます…!」
「…しのづか…ゆき…か?」
「そうです…!この国では苗字が先なので、クリス様が仰った通り、篠塚ゆきです…!」
「…いい名前だな…!」
「ふふっ!ありがとうございます…!」
そして、私の家に入った。
「ここで靴を脱いでください!」
「ああ。分かった。」
この家の部屋をすべて紹介し、私の部屋へ向かった。
そして、クリス様が私に聞いてきた。
「ゆき…ご両親はどこだ…?挨拶がしたいのだが…」
「あ、挨拶ですか!?」
「ああ。当たり前だろ?ゆきは俺の妻になるのだから。」
「…!!」
嬉しい…本当にそう思ってくれてるんだ…でもね…クリス様…
「私には両親がありません…」
「……」
「五年前に亡くなりました…交通事故で…」
「そうだったのか…すまない…辛かっただろ…」
「いえ…もちろんその当時は辛かったですけど、今は大丈夫です…」
「そうか…でも、挨拶をしたいのだが、どうすればいい…?」
「それなら、こちらにどうぞ…」
私はクリス様を連れてとある場所に行った。
「ここに両親がいます…」
そこは私の両親のお墓だった。
今日はちょうど、お墓の手入れをしようと思っていたからいい機会だった。
「ここにいるんだな…」
そしてクリス様はお墓の前に座り、手を合わせた。
その隣で私も手を合わせた。
「挨拶は済みましたか…?」
「ああ…」
その後、私はお墓の手入れをして、クリス様と家に帰った。
「クリス様。一体、私の両親になんて言ったんですか?」
挨拶って言っても何を言ったのかすごく気になる。
「ゆきをくださいと言ったが?」
「…随分と正直に仰ったのですね…」
「??当たり前じゃないか…君のそばにいるためにここへ来たのだからな。」
「… ⁄ ⁄ ⁄」
そうだった…クリス様って普通な顔でドキドキすることを言ってくるのを忘れてた…
「ゆき…会いたかった…」
「…私も…本当の姿でクリス様に会いたかった…」
今度は私からクリス様を抱きしめる。
そして、クリス様も私に腕を回してくれる。
「実はな、お父様たちにも連絡が取れる魔法を教えてもらったんだ。」
「…!そんな魔法が!?…でも、この世界で使えるのですか…?」
「ああ。レイストが言うには使えるらしい…試してみるか…?」
「…はい!」
そしてクリス様が魔法を使うと、ラスタ国王陛下とセリーヌ王妃様が映された。
「お父様、お母様。無事に会えました。」
「おお…よかったな。」
「あなたがゆきね…会いたかったわ…!」
「ラスタ国王陛下…セリーヌ王妃様…この姿ではお初にお目にかかります。ゆきと申します…」
私がそう言うとラスタ国王陛下もセリーヌ王妃様も笑った。
「そんな風にするな…もう家族じゃないか。」
「…!!!」
「そうよ、ゆき。あなたはもう私たちの娘よ?クリスの大事な奥さんになるんだから…!」
「ラスタ国王陛下…セリーヌ王妃様…」
家族…この言葉はもう何年も自分には関係ない言葉だと思っていた。でも、こうして言われるとすごく嬉しくなる…
国王陛下と王妃様との連絡が終わり、また、私たち二人だけの空間になった。
「ゆき…これからはそばにいてくれ…」
「クリス様…もちろんです…!」
「ゆき…愛してる…これから先、ずっと…君だけを。」
「私もです…クリス様…愛しています…」
──チュ
そして、私たちは何度も口づけを交わした。
この人から一生離れないと誓うように…
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