本当の正体と目的
気がつけば、私は牢屋の中にいた。
両足には鉄の足枷が付けられていて逃げられないようにされている。手にも鉄の手錠がされていて後ろ側で拘束されている。
「動きにくい…」
手も足も拘束されて動くことが出来ないせいですごくもどかしい…そうしていると、誰かの足音が近づいて来た。
「やぁ…起きたんだね。」
「あなたは…レイストさん…」
あのお店に新しく入ったレイストさん。
でも、トーレスさんが調べて怪しい人物だと分かったけど、何を企んでいたのかは分からない…
「どうして、こんなことを…」
「あー…なんでかなぁ…?」
どこか寂しそうな目をしているレイストさん。
「レイストさん。あなたの目的は?」
「この国を潰すこと…かな?」
「一体、どういう…】
「それ以上は答えないから。まあ、僕の魔法がもうすぐ、力を発揮すると思うよ。そして、その時がこの国の破滅、いや、世界の破滅の始まりだよ。」
この世界の破滅…?なんで…
「そのためには君の力が必要だよ。聖女様。」
「私の力が?ふざけないで。私は何も協力しないわ。」
「さあ…それはどうかな…?」
そう言って笑い私の耳元で、
「抵抗しても、君は僕には勝てない。君も魔法が使えるけど、大した魔法じゃない。残念だけど、君には勝ち目がないよ。それに僕一人で全部消せるからね。」
そう言われて背筋が凍った。
この人はやばいとそう感じる。
「ねえ、聖女様…僕は聖女が大嫌いだ…でも、君なら大丈夫…だって君は聖女だけど、君の中身は全くの別の世界から来た転生者…でしょ?」
「…!!」
どうしてそれを…
誰にも言ってないのに…
「なんだって顔をしてるね。だって、俺が君をこの世界に転生させたからだよ。君の力は僕がやりたいことに必要な力だ…僕には君が必要だ…」
「私はあなたに協力するつもりなどありません。それに、この国を及ぼす存在なのであれば、私が必ず、あなたを止めてみせる。」
私がそう言うとレイストは笑った。
「あははははっ!無理なことだよ、それは。だって、俺は…」
口調が急に変わった…一体、なんなの…
「お前と真反対の人間。魔王だからな。」
「ま、魔王!?」
まさか、魔王なんているの…?
信じられない…
この国を潰すつもりだこの人は。
「なんでなの…あなたの目的を教えて。」
「あははっ!いいよ…正体も明かしてしまったから教えてやるよ。俺はこの国に生まれた。両親は俺が生まれてすぐに亡くなった。そのせいで名前もないまま孤児院に入り、誰にも馴染めず孤独に過ごし、俺の容姿が金髪に青い目だったから虐められた。それに耐えながら大人になっていき、孤児院で付けてもらったレイストという名前を背負い、いよいよ独り立ちが出来た頃、俺は聖人に選ばれた。」
…そういえば、ゲーム内で過去に聖人がいたという描写があったわね…でも詳しくは何も…
「聖人として生きようと思ったとき、俺は知ったんだ。俺はある家に捨てられた息子なんだと。」
…一体、どういうこと…?
「不思議だろ?俺は両親が死んだから居ないんだと思っていた。でも、それは違った。俺に街のある奴が話してくれた。その男は孤児院でずっと庭を手入れしていた男だった。孤児院から出たあとも俺がずっと心配で探そうとしたら、俺が聖人に選ばれたという話が街中に流れた。それを聞いて俺に会いに来たんだと。その男は、余命も僅かで、もう先がない。なら、すべてを伝えておきたいと言って俺に伝えたんだ。お前の両親は死んでないとな。」
死んでない…?ということは、この国のどこかに生きているということ…?
「その両親は、やむを得ず俺を捨てたんだと。俺の両親はあの、メリーナというシスターに言われて俺を捨てたんだ。」
メリーナさんが…そんな…
「あの女は、俺が生まれた瞬間、俺を聖人に選ぶと決めていたらしい。だが、生まれた家のせいでそれが出来ない。それを言って説得し、やむを得ず山に捨てたんだと。」
「一体、その両親って…」
「ラスタ国王陛下夫妻だよ。」
「!!!」
まさか…そんな…
「驚くだろ?あの王家の息子だ。なんなら、俺は長男らしい。俺はずっと両親に会いたいと思った。亡くなったと聞いていたから会えないと知っていてもだ。虐められても、苦しかったが、両親が守ってくれるそう思っていた。それなのに…両親は生きていて、しかも王家だ。俺の今までの苦しみは一体なんだったんだ…そう思ったら何もかも許せなかった。俺はそこから神に背き、闇へ堕ちていった。そして決めたんだ。王家、メリーナ、この世界をすべて壊すと。その始めとして、お前だ。」
「私を連れてきて何になるの。」
「言っただろ…?お前の力が必要だから転生させたと。お前が聖女の器なのを俺が見抜いて転生させたんだ。聖女の力は自然と現れる。例えば、自分の大事なものを守るために、自分の身を犠牲にするとか…でも、君には自己犠牲それしかない。だから、君には、ここでお仲間たちが来るまで、じっくり、ゆっくり眠っててもらうぞ。」
「世界を壊すなんてやめ…」
「眠れ。」
──バタッ
「ふぅ…巻き込んでごめんね…君は関係ないのに。でも、君を傷つけるつもりはないからさ…」
「おい、どうすんだこの女。」
「ランスとケイロスか。お前たちには関係ないだろ。」
「いや、ここに連れてきたのは俺たちだぞ!いい加減に…」
「うるせえよ。俺の計画にお前らのようなバカは必要ないんだよ。消えろ。」
「「辞めてくれ!!!ああああああッ……ッ!!」」
この世界を壊すのにお前らの力は必要ないんだよ。
この子を連れて来たところでお前たちの出番はおしまいだ。
「もう少しで、あいつらが来るだろう。俺が君を連れてきてもらったのは俺の目的をあいつらに話してもらうためだけだ。一旦、ここでお別れだ。聖女様。」




