あの男の正体
朝起きると、シャーロットはまだ眠っている。
「…ゆっくり寝ていてくれ。」
俺はシャーロットの頭を撫で、部屋を出た。
すると、待っていたのは、
「おはよう、クリス。」
「トーレス…!」
昨日、調査を依頼したトーレスだった。
「トーレス、ここに来たってことは…」
「ああ。ちょっとな。」
そのとき、
「クリス様、おはようございます…」
シャーロットが起きて下に降りて来た。
「シャーロット、おはよう。」
「あの…こちらの方は…」
あっ…そうだった紹介しておかないとな。
「この男は、トーレスっていうんだ。」
「探偵のトーレスと申します。普段は街で商売をしております。」
「トーレスさん、よろしくお願いいたします。」
シャーロットにトーレスの紹介が終わったところで、トーレスが、
「で、言われてたやつの話をしていいか?」
「ああ。頼む。」
「…??言われてたやつ?」
あ…そうだった…シャーロットには何も言ってなかったんだった…
「昨日、気になって調査を頼んだんだ。レイストの」
「レイストさんの?」
「ああ。やっぱり何か気になってな。」
「そうなんですね…」
「どうかしたのか…?」
「えっと…一言ぐらい言ってほしかったなぁと思って…」
少し悲しそうな顔をしたシャーロット。
「すまない…シャーロット…」
「でも、大丈夫です。クリス様にも考えがあってしたことでしょ?それなら全然大丈夫です…!」
シャーロットはそう言って微笑んだ。
シャーロットはいつも、俺の気持ちや考えを優先してる…たまにはわがままも言っていいんだけどな…
すると、咳払いをしたトーレスが、
「そろそろいいか?」
そう言って俺たちを見ている。
「ああ…すまない…いいぞ。」
そして、トーレスが話し始めた。
「結果から言う。レイストを調べてみたが、怪しいぞ。」
「やっぱりそうか…」
「ああ。情報がなさすぎるんだよ。あの男がどこで生まれて、どこで暮らしていたか。それに親のこともなにも出てこないんだ。」
「レイストさんが何者なのかは分からないということですよね…?」
「そういうこと。だけど、面白いことは分かったぞ。」
「面白いこと?」
「ああ。この国の盗賊たちは分かるだろ?」
「あいつらか…シャーロット、あの盗賊たちはアルフレッドと関係があったそうだな。」
「はい…そうですけど…」
「その盗賊団のトップたちがレイストと密会しているところを見た。」
「なんだと!?」
「あれは確かにレイストだった。正直、なんの話をしているかまでは分からなかったけど。」
レイストとあの盗賊団のトップたちに繋がりが…
あの盗賊団。名前は『レッドブラッドファング』
目的のためなら手段を選ばない盗賊団だ。
そのリーダーは「ランス」
この盗賊団を束ねるリーダー。
何度か捕まってるが、全く懲りていない。
そして、副リーダーは「ケイロス」
正直、リーダーのランスは頭脳がなく暴力的なら、このケイロスという男は頭脳派の戦略家。もちろん、捕まったこともあるが、今は特になんの情報もない。
正直、リーダーのランスは単純だが、ケイロスは何を考えているのか分からないようなやつだ。多分、作戦を練るのがケイロスで、その作戦で行動に移すのがランスなら今までの残虐性は全てケイロスが考えたものだ…ということは、一番のヤバいやつはケイロスだろう。
「クリス、シャーロットさん。気をつけておいた方がいいぞ。必ず、何かが起こる。」
「何かって…」
シャーロットが心配そうにトーレスに聞く。
「それは分からないが、油断は出来ないな…」
「…分かった。」
「調査結果は以上だ。すまないな。これだけの情報で。」
そう言って申し訳なさそうに話すトーレス。
「トーレス、気にするな。その情報だけで十分だ。助かったぞ。」
「トーレスさん、いい情報をありがとうございます。」
「ああ…じゃあ、俺は今から商売があるから帰るよ。」
「またな。」
「ああ。」
俺とシャーロットはトーレスを見送った。
「シャーロット。大丈夫か?」
「はい。大丈夫です。」
どこか堂々としてるシャーロット。
「クリス様、デート…どうしますか…?」
そう言って不安そうに聞くシャーロット。
デートはしたい…でも危ない…だけど、
「シャーロット。デートはしよう。約束したことだからな。」
そう言うとシャーロットは微笑んでいた。
この笑顔が見れるなら俺は一生頑張れる気がする。




