幸せを願う
屋敷へ帰ると、ソフィアとリューストが待ち構えていた。
「「クリス第一王子殿下、シャーロット様。お帰りなさいませ。」」
そう言うと、ソフィアが私の腕を掴んで、
「シャーロット様!こちらへ!!」
「あっ!ちょっと待ってよ!」
そう言って連れて行かれた先には、
「わぁ…何これ…」
驚くほどの豪華な料理が並べられている。
「クリス。シャーロット。おかえり。」
「ラスタ国王陛下、セリーヌ王妃様。」
「シャーロット、驚いた?」
そう言って笑っているセリーヌ王妃。
「でも、どうしてですか…?」
私が聞くとクリス様が、
「シャーロットが聖女に選ばれたことを伝えたら今日は豪華にお祝いしようってことになったらしい。」
こんなに……
「いいのですか…?私のような人間が、聖女になり、そしてこんなにも恵まれることがあっても…」
私がそう言うとラスタ国王が、
「いいんだよ。それで。今まで苦労した分、これからは沢山の幸せに囲まれるべきだ。申し訳ないとか、迷惑かもしれないとか、そんなことは考えなくていい。シャーロット、君の幸せをこの家の誰もが願ってるんだよ。」
「ラスタ国王陛下…」
「そうよ、シャーロット。あなたは幸せでいないと!」
「セリーヌ王妃様…」
「シャーロット。君の幸せを願ってるのはこの家にいるみんなだけど、その中でも人一倍君の幸せを願ってるのはすぐそばにいるじゃないか…」
「ルーシェ様…」
「そうですよ!シャーロット様!私もずっと幸せを願ってます。シャーロット様のそばにいることになってからずっと!」
「ソフィア…」
「私も。幼い頃からずっと…あなたの幸せだけを願っています。でも、それ私たち以上にその想いが強い人はすぐそばに…」
「リュースト…」
「シャーロット…君が辛いときは俺も辛い。君が悲しいときは俺も悲しい。寂しいとき、苦しいとき、嬉しいとき、楽しいとき。全部、君と同じ気持ちだ。そして、これから先、どんな未来が運命が待ち受けていたとしても、シャーロットとなら乗り越えられる。君のそばにいることが俺の幸せなら、君にもそうであってほしい。」
「クリス様…」
私の幸せをこんなにも願ってくれている人がそばにいる。私は、こんなにも沢山の温かい人たちにかこまれていることを改めて実感した。
「みなさま…ありがとうございます…っ…」
自然と溢れ出す涙。それを見たクリス様が抱きしめてくれる。
(あぁ…この人の腕の中はどうしてこんなにも落ち着いて、安心するの…幸せだと思えるわ…)
私の涙が止まれば、ルーシェ様が、冷めないうちに早く食べようと言って私たちは食事を始めた。
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寝室へ向かえばベッドに横たわるクリス様。
「シャーロット。おいで。」
そう言われて私は素直にベッドに入り、クリス様の隣で横になる。
「おやすみ、シャーロット。」
そう言われるから私は、寝るのは少し待ってほしいと言った。
「…どうしたんだ…?」
不思議そうな顔で私を見るクリス様。
「クリス様。さっきクリス様は、私のそばにいることがクリス様の幸せだと仰ってましたよね?」
「ああ、そうだ。」
「それなら、私も同じです。クリス様のそばにいることが私の幸せなのです。」
「…!!」
「こんなにも、人を愛したのはクリス様が初めてです…クリス様、私はクリス様を心の底から愛しています。」
これは私の本心。誰かを愛したことなんてなかった。だけど、クリス様を初めて愛したの。
これはシャーロット自身としても、私自身としても。ゲーム内の世界へ転生した私は、恋愛経験なんて一度もない。なのに、こんなにも一人の人を好きになった…運命を変えるため。でも、そんなことより、私は今を楽しみたい。今の私はただただクリス様のそばにいられればそれでいいの…
「… ⁄ ⁄ ⁄ 君はどこまで俺を好きにさせれば気が済むんだ。」
「…!!」
そう言ってクリス様は私に覆いかぶさった。
「シャーロット…君は、何も分かってない…そんな風に言われたら、男は嬉しくなるものだ。」
「…?」
言ってることがよく分からなかった。なぜ嬉しくなるの…?
「分からないって表情だな。教えてやる。目の前にいる愛する女性が初めて愛した男がこの俺なんだ。最初で最後の男になれるなんて、これほど嬉しいことはないよ。」
「クリス様…」
クリス様のその視線が私を捉えて離さない。
「シャーロット…覚悟してくれ。君を寝かせるつもりはないからな。」
「…え!?ちょっと、まっ…」
──チュ
「ん…」
言葉を遮られてキスをされる。
その後は言うまでもなく、朝まで沢山愛された。
「…シャーロット、愛してる…」
「クリス様…私も愛しています…」




