尋問⑤
次からの尋問はいよいよお父様たちの番…
正直、会うのが怖い。私の姿を見れば嫌悪感を示すと思う。だけど、クリス様がいるから大丈夫な気もする。私はやるしかないんだわ…
尋問室へ入れば、二人の衛兵とお父様がいた。
お父様は私を見てもなんにも思っていなさそう。
「ランシェル・トルデイン。今から尋問を始める。まずは、お前に聞く。なぜ、あの女性を暴行したんだ?」
お父様は無言で何も言うつもりはないらしい。
でも、私には通用しない。
私の魔法で、全てが分かる。
「なるほどな。お前は、自分の意思で暴行したと。しかも、あの中にいた公爵家の中でトルデイン家の地位は一番低い。だから、ここで自分たちの方が上だと見せつけたかったわけか。」
クリス様にもちゃんと見えてる。
クリス様がお父様にそう言うと、お父様は少し驚いたような反応をした。だけど、何も言おうとしない。
「では、次の質問だ。お前は誰にあの男性の殺害を命令された?」
お父様はそう聞かれても何も答えない。
「悪いが、お前が隠していようが俺たちには分かる。それにヒューデルがすでにこの件は全て認めた。何を隠す必要がある。罪を軽くするためか?残念だが、黙ったところでお前たちの罪が軽くなることは無い。」
クリス様がそう言っても何も言おうとしないお父様。
「次の質問だ。お前たちはなぜあの家に人骨を隠した?」
また何も言わないんだろうなぁと思っていたけど、今度は話しだした。
「ヒューデル公爵に言われたからだ。隠し部屋があるならそこに隠せと。事件が怒る前に話したんだ。一つ隠し部屋があると。それで。」
「その時点で、誰かに言うことは出来たのではないのか?」
そう言うとお父様は素直に、
「怖かったんです…自分も罪に問われ、何もかも失うことが…」
そう言ったお父様は私に対しいつも高圧的だった人とは真反対の姿だった。
「なぜ、シャーロットを叩き、部屋へ監禁したのだ?」
「全てはリーシェのためです。リーシェには誰よりも尊敬され、羨ましがられ、誰もが憧れる存在で会ってもらいたかったのです…そのためには、邪魔者は排除しなければならない。シャーロットは悪女だ。平民たちにもその考えが浸透するように嘘を吹きかけ、そう仕向けたのは私だが、いつしかそれが邪魔になったんです。悪女の姉を持って可哀想、悪女の娘がいるなんて可哀想。そう言ってる人間を何人も見てきた。自分が仕向けたことが、いつのまにか余計なことになっていた。だからああしたんだ…あのまま、死んでくれればいいと…」
淡々と話すお父様。
その言葉には一つも嘘がなかった。
私の存在がいつしか本当に邪魔になっていたのね…
「お前が悪女だという嘘を広めたことにより、シャーロットが今までどれほど傷つき、どれほど我慢していたのか、お前に分かるか?お前たちの自分勝手な理由で一人の娘を失うところだったんだぞ。お前は親としても人としても失格だ。」
そう言われると泣きながら謝罪するお父様。
でも、私には許すつもりがない。
罪を償う。それだけでいい。
「ランシェル・トルデイン。もう一つ聞く。お前があの男性を殺害するのに手を出していないことは知っている。あの時、あの現場で男性を暴行していた男たちは一体、誰だ?」
クリス様が問いただすとお父様は、
「それは、答えられません。」
「なぜだ。」
「約束だからです。」
「約束だと?」
「はい。」
そしてお父様は突然、泣きながら慌てだす。
「ダメなんです!それだけは言えないんです!!言えば、殺されてしまう!!」
「殺されるだと?」
「ああ、喋れば殺すと言われた。だから何をされようとも言うことはない!あいつらは本当にダメだ!大変なことになる!!」
そう言って何かに怯えているお父様。
クリス様はこれ以上無理だと感じ、私と部屋を出た。
「シャーロット、何も見えなかったな。」
「そうですね…」
あんなにモヤがかかって何も見えなかった。どれだけ強く想いを込めてもモヤが無くなることはなく、ずっと何も見えなかった。
「そういえば、昨日の尋問のときも見えなかったな。」
「そうですね…」
そう、昨日、見えなかったことがあった。
今日と同じようにどれだけ強く想いを込めてもモヤが変えずに見えなかった。
それは、アルフレッド様が「私たちはこれから何が起きるのか知らない」と言っていたときと、シューセント様がクリス様に私のことを「そばでしっかり守ったほうがいい」と言ったときだった…
「クリス様、何か関係があるのでしょうか…」
「ああ…多分な…」
不安な気持ちが私たちの中に一気にこみ上げてくるのが分かった…
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