もう一つの決定的な証拠
「記憶投影魔法。メモリーラスフィリス。」
そう唱えると、目の前に一人の女性をよってたかって殴る蹴るの暴行を繰り返しているお母様、リーシェ、お父様、ヒューデル公爵、アルフレッド様、テリフィア公爵、そしてシューセント様の姿が。その女性は痛みに苦しみながらいつのまにか動かなくなっている。
そして、もう一つ映し出されたのは、森奥の中で何人かの男たちに囲まれ暴行されるアーサー様たちの伯父様の姿。そして殴られている伯父さんを後ろで笑いながら見つめるお父様の姿が鮮明に映し出された。
それを見て観念したのか、お父様は泣きながら許しを請う。
「お許しください!お許しください!一度の過ちなのです!どうか、寛大な心でお許しください!!」
そう言ったお父様にクリス様は、
「一度と言ったな?」
そう言って聞くとお父様はそうですと答える。
だけど、クリス様は、
「ふざけるな。シャーロットにお前たちは何をした。忘れたとは言わせないぞ。」
そう言うクリス様にお父様は、
「何もしておりません!」
そう言っていたけど、もうバレてる。
「驚いただろう。お前たちがあの部屋に監禁していたはずのシャーロットがいないことに。そして、俺たちと共にやって来たことに。シャーロットを部屋から出したのは俺たちだ。お前たちが監禁していたことは分かってる。覚えているだろ?俺たちがこの家に来たことを。」
そう言うと、お父様たちは思い出したように慌ててる。
「それは…」
何か言おうとしたお父様にクリス様は、
「言い訳など聞きたくない。」
そう言い、お父様たちを完全に黙らせた。
そして、もう一度伝える。
「もう一度伝える。勅命により、トルデイン公爵家はその爵位および領地を直ちに剥奪されるものとする。」
そしてと続けるクリス様。
…何か他にいうことでもあるのかしら…?
「ここにいるシャーロット・トルデインを我が妻とする。」
そう宣言したクリス様。
まさか、ここで言われるなんて想像もしていなかった…
お父様たちもどうしてという顔をしている。
お父様はクリス様に、
「どうしてシャーロットなのです?悪女ですよ?アーシェント家の名に泥を塗るおつもりなのですか!?クリス第一王子殿下、僭越ながら、妻に迎えるのならば聖女のリーシェがよろしいかと。」
「そうですわ!クリス第一王子殿下!お姉様は国民から嫌われる悪女です!聖女の私は沢山の国民を救うために一生懸命やります!」
そう言ったお父様とリーシェに対し鼻で笑うクリス様。
「聖女?これのどこが聖女だ?人殺しに加担するような人間が聖女か?ふざけたことを言うな。お前は聖女ではない。お前こそ悪女だ。それに、シャーロットが悪女と街中に言いふらしたのは紛れもないお前たちだ。調べはついている。言い訳は出来ないぞ。」
クリス様のその言葉に泣き崩れるリーシェ。
そしてクリス様が
「この者たちを、王の裁きにかけるため、連行する。連れていけ。」
と言うと父様たちが連行されていく。
お父様は私に、縋りつき、
「シャーロット!俺たちは血の繋がった家族だ。助けてくれ!お前だって嫌だろ…?アーシェント家に公爵家でないお前が嫁ぐなんて。批判されるに決まってる。だから、助けてくれ。そうすれば、お前は何も気にせず嫁げるぞ…!だから、どうかクリス第一王子殿下にお願いしてくれ…頼む…!!」
そう言うお父様に私はただ一言。
「今までお世話になりました。」と。
そう言うと殴りかかってくるお父様。
咄嗟のことで身体が動かず殴られるのを覚悟で目をつぶると、
「…あれ?痛くない…」
目を開けると、私の目の前に立っていたのはクリス様。
「クリス様!!」
殴られたようで頬が赤くなってる…
お父様はクリス様を殴ってしまったことで膝から崩れ落ち絶望した表情をしている。
「よく覚えておけ。俺の大事なものを傷つけたお前たちを俺は許さないからな。連れていけ。」
そう言うと、お父様たちは連れていかれた。
そんなことよりも、クリス様の頬が…
「ソフィア、冷やすものを!早く!」
「はい!」
ソフィアが冷やすものを持ってくると私はそれを受け取りクリス様の頬へ当てた。
「クリス様…大丈夫ですか…?」
「ああ。これくらいなんともない。」
「クリス様…どうして私を守ったのです…?私よりも自分を大切にしてください…」
そう言うとクリス様は自分の頬にある私の手に上から手を重ねてこう言った。
「シャーロット。愛する人を守るのは当たり前のことだ。もちろん、俺も自分を大切にしなければならないが、それ以上に君を大切にするよ。」
「クリス様…」
そう言いながら微笑むクリス様。
そんなクリス様を見て私は、改めてこの人を好きになってよかったと思った。
そして、クリス様はスフィアはどこだと私に聞いて、連れてこようとしたけど、シャーロットはこのままここにいろと体制を崩すことを許されなかったから今度はリューストにスフィアを連れてくることを頼んだ。
リューストが連れてこればそこには怯えているスフィアが。そしてクリス様が伝えた。
「君がスフィアだな?」
「はい…」
「今日からスフィアはシャーロットのメイドになるといい。」
「…!?よろしいのですか…?」
「ああ。シャーロットが望んだんだ。君にも助けられたから今度はシャーロットが助けたいそうだ。どうだ。嫌か?」
「ありがとうございます…!!」
「それはシャーロットに言うんだな。」
そう言ったクリス様。そしてスフィアが私に、
「シャーロット様、本当にありがとうございます…!!」
と言って泣きながら言ってくれた。
「スフィア、これからよろしくね?」
「はい!」
涙を流しながらも笑顔を見せるスフィア。
ソフィアもリューストも歓迎していてよかった…
そして私たちはこの屋敷を出て馬車に乗れば動きだした。
その後、アーサー様たちのお母様とその伯父様の事件に関わった、ナルティース公爵家、ヴァルフィス公爵家もトルデイン家と同じように公爵家としての地位を剥奪された。
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「アーサー様、レイン様。大丈夫ですか…?」
私はお二人が心配になり、クリス様と共にお二人の元へ向かった。
「うん。大丈夫だよー!」
「うん…大丈夫…」
どこか寂しそうな目…
「これで俺たちもただの平民だ。これからどうする?レイン。」
「どうしよっか…」
そう言うお二人にクリス様が、
「なら、騎士にならないか?」
「騎士?」
「ああ。シャーロットが教えてくれた情報を元にお父様がブラッドウルフのトップ三人を調べ始め、それと同時に解雇したらしい。そこでお父様がお前たち二人にそのブラッドウルフの騎士団長と副団長を勤めてもらいたいらしい。どうだ?」
「いいのか?」
「ああ。お父様がそう言ってるんだ。」
「ありがとう。ぜひ、やらしてくれ。」
「分かった。レインはどうだ?」
「ありがとう…やりたい…」
「分かった。なら俺の方から伝えておく。二人の部屋は用意してある。ゆっくり休めよ。」
そう言うと二人は部屋へ向かって行った。
「シャーロット、お父様への伝言が終われば、昼食に昨日行ったあの店に行くか。」
「はい!」
クリス様は先程のことを国王陛下に伝え、騎士団『ブラッドウルフ』の騎士団長にアーサー様、副団長にレイン様が就任することが正式に決まった。
私とクリス様は、昼食を食べながら今日の話をしたり、これからのことを話したりした。明日からお父様たちの調査が始まり、私も調査は手伝わないといけないらしく大変だけど、クリス様とだったら大丈夫だと思った。
明日からも頑張らないと。
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