計画開始
屋敷の門をくぐり抜け、中へ進んでいく。
そして、屋敷の扉から出てきた旦那様、奥様、そしてリーシェ。リーシェはクリス第一王子が来ることを知ってるから中々派手な服で出てきた。
後ろからアーサー様とレイン様がやって来た。そして、馬車の扉が開き、クリス第一王子が馬車を降りていった。
クリス第一王子は旦那様たちの方へ向かい軽く挨拶を交わしていた。そして俺たちが乗る馬車は計画通りに馬車置き場に向かった。
馬車が止まると周りに人がいないことを確認し、馬車の御者の方が扉を開けて馬車から降ろしてくれた。
俺たちは御者の方に感謝すると、成功することを祈ってると言ってくれた。俺は、その御者の方にシャーロット様を連れて戻ってきますと言って屋敷の方へ向かっていった。
誰にも見つからないように。
そっと…音を立てずに歩いていく。
中の様子を確認するためソフィアに魔法を頼んだ。
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「やりますよ。」
「頼んだ。」
正直、初めて使う魔法だし出来るかわからないけど、シャーロットのために、頑張る。
「映写魔法。イメージヴィデレ。」
そう唱えると部屋の中が映し出されて映像として見ることができた。レイン様の言ってた通りに出来た…
「ソフィア、よくやった。」
リューストさんに褒められるのは変な感じだけど…
「ありがとうございます…」
それよりも、今の屋敷内の状況はどうなんだろう…
声が聞こえるわけではないから、何を話しているのかは分からない。一体、何の話をしてるんだろう…気になるなぁ…
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「クリス第一王子殿下、よくここまでいらしてくださいました。ありがとうございます。」
「ああ… ランシェル公爵。大丈夫だ。」
「こちらが私の娘の…」
「リーシェ・トルデインと申します。クリス第一王子殿下、お会いできて光栄です。」
「君がリーシェか。こちらこそ。」
正直、馬車の中でリューストから話を聞いていたこともあって、この者たちと話をするなんて不快でしかない。だけど、シャーロットのためだ…我慢しなければ…
「クリス第一王子、最近、お会いできていませんでしたので、何か準備しなければと思い、食事を準備いたしました。良ければお召し上がりください。」
「ああ。気持ちは有難いが、あいにくこの後は仕事が残ってて、食べれば眠くなって仕事をしなくなってしまう。なので申し訳ないが遠慮しておく。」
「申し訳ありません…お前たち、早くお茶を出して下がれ!!」
なんでそんな上からなんだ。お前はそれだけ偉いのか?お前なんかより、メイドや執事たちの方がいい仕事をしてるぞ?そう言おうと思ったが、やめておこう…
「クリス第一王子、よろしければ、私の方から娘のリーシェを紹介させていただいてもよろしいでしょうか?」
興味がないので聞く気はないが、計画のため仕方ない。聞いてやるか…
「ああ。」
「ありがとうございます。」
「まずは、私の娘、リーシェは16歳でまだまだ幼いですが、とても優秀で、礼儀作法も完璧なのです。そして、リーシェは何より心優しく、誰に対しても手を差し伸べ助けるそんな娘です。その姿を認められたからなのかリーシェは聖女に選ばれました。今もずっと人を助けるためによく動いてくれております。」
「そうなのか。例えば、どんなことをしたんだ?」
「それはですね…」
「ランシェル公爵。あなたには聞いていない。俺が聞いてるのはそこに座ってるリーシェ嬢だ。」
少し怯えたような表情をするランシェル公爵たち。
俺の目を見て怯えたのだろう。俺は氷の王子と言われてる。それはこの冷たく見る目のせいだろう。そんなつもりはないが、今は意図的にそうしてる。
「申し訳ありません…リーシェ。お話ししなさい…」
そして恐る恐るリーシェ嬢が話だした。
「メイドたちの食事の手伝いをしたりしました。この屋敷の庭も。すべて私が綺麗にしました。」
「…それだけか?」
「今は、学業も忙しく中々出来ておりません。」
「そうか。」
この感じ、何もしたことないな。
後ろにいるメイドたちが驚いたような表情をしてたぞ。嘘ばかりだ。つまらないな。
少し探りを入れるか…
「そういえば、あのシャーロットとかいう娘は見えないのだが、どこかにいるのか?」
少し驚いていたのを俺は見逃さないぞ。
「シャーロットなら家を出ていってしまいました。私たちがシャーロットの言うことを聞かないからと腹を立て、それに加えて妻やリーシェを殴りつけもう二度と帰ってこないと言って出ていきました…」
「そうだったのか。大変だったな。」
嘘が下手だな。目を泳がせながら言う奴を誰が信じるんだよ。それにしてもここから長く話が続きそうだ。
シャーロットは大丈夫か…早く連れ出してくれよ…
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映像を見れば全員の視線がクリス第一王子の方へ向いていた。今がチャンスだ。
「ソフィア、行くぞ。」
「はい。」
音を立てずにそっと屋敷の扉へ向かう。
「今入っても大丈夫です。」
ソフィアの指示を聞いて屋敷の扉を開ける。
そして素早く入り静かに扉を閉める。
「このまま部屋に行っても大丈夫そうです。」
「分かった。」
ソフィアの言う通り、すぐさま部屋へ向かう。
そして扉を開けて入ったらすぐに閉める。
ソフィアは一度魔法を解いて息を吐いた。
「緊張した……」
「よく頑張った。だけどまだこれからだ。頑張るぞ。」
「はい。」
そして、ソフィアはもう一度、映写魔法を使って映像を映し出した。俺はそれを確認したら謎の扉のボタンを押す。静かにゆっくりと開いていく扉。続くのは真っ暗な階段。
「星煌魔法。スタールーメン。」
唱えると小さな星のような光が現れ、周囲が明るくなった。
「行くぞ。気をつけろよ。」
「はい。」
俺たちは光を頼りに階段を降りていき、扉の前へ到着した。そして、扉にはやはり鍵が掛かっていた。しかも二つ。一つずつ鍵を外そう。
「鍵喰の魔法。シュールフィート。」
まずは一つ目の鍵が溶けていく。
少しずつ少しずつ溶けていき鍵は消えていく。
ラストもう一個…
「鍵喰の魔法。シュールフィート。」
こっちの鍵は頑丈だから溶けにくい。
だけど、少しずつ溶けてきてる。
時間はかかるけど、我慢だ。
…溶けた…
鍵が溶け、扉だけになった。
「ソフィア、開けるぞ。」
「はい。」
扉を開けばそこには少し疲れた表情をしたシャーロットがいた。シャーロットは俺たち顔を見た瞬間、少し涙目になりながら何かを言おうとしていたが、バレたらダメなので何も喋らないでくれと伝えた。そして俺はシャーロットに計画のことを伝えた。
「私のためにどうしてそんな危険なことを…」
「俺たちは友達だろ?」
そう言うと微笑むシャーロット。
ソフィアはもう泣き始めていたが、まだ早い。
ここを出るまではまだ安心出来ないから。
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扉が開いたとき、不思議だった。
リーシェのメイドであるスフィアは今日の夜はクリス様が来るから夕食は持ってこれないと言ってたのにどうして。でも、顔を見て分かった。ソフィアとリューストだった。
会えたことの嬉しさから涙が溢れそうになった。
話そうと思って話しだそうとするとバレたらダメだから喋らないでくれと言われた。
そして、計画のことを教えてくれた。
クリス様が手紙を出してリーシェと話したいと言ったのは私をここから連れ出すための嘘だということ。
それを聞いて私は安心した。だけど、
「私のためにどうしてそんな危険なことを…」
そう書けば、リューストは当たり前のように
「俺たちは友達だろ?」
と言っていた。確かにそうだね。私たちは友達よ。
ソフィアは泣いてるけど、リューストはお構いなく早く外に出るぞと言った。
隠し扉を出てボタンを押し、扉を閉める。
リューストは、
「この部屋を様子を見てから出る。出るときは音を立てずに。外には馬車があるから外に出たらすぐさま馬車に乗るぞ。」
と私たちに指示を出した。
なんだか頼もしいなぁ…
「ソフィア、どうだ?」
「今はまずいかも。」
「分かった。もう少し待とう。」
「ねえ、ソフィア。その魔法、どうしたの?」
「ああ…!これはレイン様が教えてくださった映写魔法という魔法なの。これを使えば、屋敷の中を映し出して映像として見ることが出来るの。」
「いい魔法ね…!あとで私にも教えて?」
「うん…!」
「ソフィア、どうだ?」
「今なら行ける。行きましょう。」
私の前にはリュースト。私の後ろにはソフィア。
私はリューストの後ろについて行き、屋敷の扉へ向かった。
正直、心の中は緊張で倒れそうだった。
だけど、頼もしい二人と、クリス様、アーサー様、レイン様がいる。だから安心できた。
そして、ついに扉をリューストが開けて私たちは外に出た。ソフィアは扉を静かに閉め、馬車へ向かう。
馬車に着くと見知らぬ御者の方たちが。
「こちらの方たちが手伝ってくださったんです。」
「そうなのね…ありがとうございます…!!お陰で助かりました…なんとお礼すればいいのか…」
そう言うと、御者の方々は
「礼なんていらないんですよ。無事でよかったです。」と言ってくれた。
なんせ、御者の方々は私が悪女というのは嘘だとクリス様の話や馬車でリューストが話した話を聞いて分かったそう。だから手伝ってくれたらしい。
「本当にありがとうございます…」
あとは、クリス様、アーサー様、レイン様が出てくるのを待つだけ。そのため私たちは馬車で待つことにした。
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