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たった一つの単純な計画

まだか……もしかして少し時間がかかってるのか…

早く……


……!!!来た!!!


馬車が目の前まで来てソフィアたちが降りてくる。


「リューストさん!お待たせしました!」


「ああ。良かった…アーサー様、レイン様。ありがとうございます。」


「いいんだよ。」


「シャーロットには色々調べてもらったから…」


「本当にありがとうございます。」


お二人が来てくれて本当に良かった。

もし来てくれてなかったら大変になるんだろうなぁ…

でも、来てくれたから大丈夫。


「それでは来てください。」


俺たちはクリス第一王子が待つ屋敷の中へ向かった。



────────────────────



「クリス第一王子殿下、お待たせいたしました。」


「クリス第一王子殿下、シャーロット様のメイドのソフィアと申します。」


「クリス第一王子殿下、お久しぶりです。アーサーです。」


「クリス第一王子殿下、お久しぶりです…レインです…」


「ああ…久しぶりだな。アーサー、レイン。ソフィアもよく来た。」


クリス第一王子は冷静だ。

多分、ソフィアたちが来るまでに気持ちを落ち着かせたんだろう…すごいなぁ…


「それで、リュースト。さっき言っていた計画っていうのは何だ?」


計画。昨日の夜ずっと考えていた。

どうすれば旦那様たちの気が逸れるのか。

どうすれば油断させられるか。

考えたけど、結局思いついたのはたった一つの単純な計画だった。


「私が思いついたのは単純なのですが、この計画が成功するかどうかはクリス第一王子殿下にかかっています。」


「どんな計画だ?」


「はい。旦那様たちがいつも考えるのはシャーロット様の妹であるリーシェ様のことだけです。それならそれを利用します。昨日の夜、私とソフィアが屋敷を出る前、旦那様がリーシェ様にある話をしていたのを聞きました。」


「どんな話だ?」


「旦那様がクリス第一王子殿下にリーシェ様を紹介するという話です。」


「なんていうふざけた話なんだ。」


「確かにそうです。だけどこれを利用するんです。クリス第一王子殿下がリーシェ様に取り入るんです。そうすれば、自然と旦那様たちの気も逸れて油断するはずです。もちろん、本気で取り入るのではありません。ただ世間話をする程度で大丈夫なんです。」


クリス第一王子からすればこんな計画はやりたくないはず。俺がもしクリス第一王子の立場ならすごく嫌だ。だけど、シャーロットを助けるにはこの方法以外浮かばなかった。


「確かにその計画は使えるかもしれないな。本当に世間話をする程度でいいんだな?」


「はい。それで大丈夫です。」


「それで、俺たちはどうすればいいの?」


「アーサー様とレイン様はクリス第一王子殿下に使える使用人をしていただきたいのです。もちろん、失礼は承知の上です。ただ、思いついたのがそれだけだったんです。」


「分かってるよ。正直、トルデイン家のランシェル公爵や奥様のスワン様、妹のリーシェはほとんど会ったことがない。舞踏会でも俺とレインはすぐに外に出て逃げ出していたからね。だから、バレることはないよ。」


「そうだよ…だから、俺たちはその役割で大丈夫だよ。」


「ありがとうございます。」


「でも、リューストさん。私たちはどうすればいいんですか?」


そこがすごく悩んだところだった。

俺とソフィアは当たり前だけど顔がバレてる。

それに今、屋敷に帰って商人として何かをするとなれば確実に怪しまれてこの計画が台無しになる。

だから、


「俺たちは一度紛れ込んで外で待機しておく。そして様子を見て屋敷の中に入りシャーロットのいる部屋へ向かう。あの隠し部屋がある部屋は屋敷の玄関に一番近い部屋だから誰にも見えないし、バレることはない。そしたらすぐにシャーロットを連れ出す。」


「分かりました!」


「でもさ、リュースト。簡単には連れ出せないはずだよ?多分、閉じ込めるために鍵を閉めてるはずだしね〜。」


確かに…その考えはなかった…

ただ、目の前のことしか考えてなくて、小さいことを何も考えてなかった。俺が悩んでいると、


「俺がいい魔法を教えてあげようか?」


「魔法ですか…?」


「そう。必ずこの魔法を使えば鍵だって壊すことができる。」


そんな魔法があるなら…


「その魔法。教えてください。」


「いいよ。教えてあげる。」


「ありがとうございます。」


「鍵喰の魔法って言うんだ。」


「鍵喰の魔法…?」


「そうだよ。魔法名を言った後にシュールフィートって唱えて。すると、鍵が溶けて跡形もなく消えるんだ。これなら、シャーロットを音も出さずに連れ出すことができる。」


「ありがとうございます。覚えておきます。」


「ただ、当日に初めてやることになるだろうから時間はかかるかもしれない。だけど、君なら出来るはずだよ。」


「…ありがとうございます。」


俺なら出来る。その言葉が俺に自信を持たせてくれる。必ず、やってやる。すると、レイン様が、


「ねえ…ソフィア…君にも一つ、魔法を教えてあげる…」


「私にもですか…!?」


「うん…さすがに、外にいても中の様子とか分からないしから入るタイミングなんか分かるわけないでしょ…だから、中の様子を知ることができる魔法を教えてあげる…」


「ありがとうございます…!!」


「映写魔法って言うんだけど、この魔法は部屋の中を映し出して映像として見ることが出来る魔法だよ…」


「ありがとうございます…!あの、なんて唱えればいいんですか…?」


「ああ…映写魔法って言ってから、イメージヴィデレって唱えて…そしたら出来るから…」


「分かりました!ありがとうございます!」


有力な魔法を俺たちは教えてもらった。

この魔法を使って必ずシャーロットを連れ出す。


魔法の話をしているとき、どうしてクリス第一王子が何も驚かなかったのかすごく気になった。


「あの…クリス第一王子殿下はどうして魔法の話に驚かないのですか…?」


「それは、昔からこの二人を知っているからだ。」


「そうなんですね。ありがとうございます。」


なるほど…だから何一つ驚かなかったのか…

すると、アーサー様が言い出した。


「ちなみに、シャーロットも魔法を使えるよ〜!俺たちが教えたからね〜。まあ、元々いくつかの魔法は使えてたけどね。」


そう言った途端、クリス第一王子が、


「シャーロットが?…俺もシャーロットに学ぼうかな。」


そう言って少し微笑むクリス第一王子。

そのおかげで少し場が和んだ。

そして、クリス第一王子がいつ計画を始めるか聞いてきた。もちろん今日がいい。だけど、昨日の今日だと怪しまれる。だから、


「明日の夜にしましょう。夜6時に決行です。」


「「分かった。」」


そして、俺たちは決行の30分前にここ、アーシェント家の前で待ち合わせ、全員で一緒にトルデイン家へ向かうことに決まった。そして、クリス第一王子にはセリーヌ王妃様にシャーロットが体調を崩してしまい移ってはいけないので後日にしてもらいたいという伝言を伝えてもらうことにした。そして、トルデイン家へ伺うという内容の手紙も書いてもらった。もちろん、旦那様が食い付くようにリーシェ様とお話をしてみたいという内容で。



シャーロット、必ず連れ出すからな。

待っててくれ。

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