魔法の記憶
どんな魔法を使っていたのか、全く思い出せない。
だけど、もう少しで思い出せそうではある。
どこか頭の中にモヤがかかったように、自分が魔法を使っていた姿が見えない。そうやって深く考えていると、
「ゔぅ…っぐ……痛いっ…」
あの時と同じようにひどい頭痛が私に襲いかかってくる。あの時…そう、この場所が私の元いた世界でプレイしていた乙女ゲームだと分かったときだった。まさに同じ痛み…
「ゔぅ…痛すぎる…」
酷くなっていく頭痛に悶え苦しむ私。
「………痛い…」
頭が割れそうなほどの痛み。だけど、また見えた。
前と同じように。ゲームの画面が見える。
シャーロットが魔法を使っている…
「一体、どんな魔法…ゔっ…」
また出てくるゲーム画面。するとゲーム内のシャーロットはこう言い出した。
「覚醒魔法!キャスティーフィア!!」
シャーロットの目の前に輝く光が現れ何かが強化されたように見えた。
…覚醒魔法…
『キャスティーフィア』これがその魔法の呪文なのかしら…
「ゔっ…っく…」
また訪れてくる激しい痛み、そしてまた映し出されるゲーム画面。そこにいるのはシャーロット。
「防御魔法!シュフィーティス!!」
そう言うと周囲に淡い光を放つバリアが現れた。
…今度は防御魔法…『シュフィーティス…』
「……!!痛い!!」
だんだんと痛みが強くなっていく頭痛。
今度は
「封印魔法!スタンティオ!!」
そういうと動かなくなった相手。
でも一体、この相手は誰なの…?モヤがかかって見えない…
…封印魔法はスタンティオ…
「…痛い…ゔぅ…」
どんどん強くなっていく頭痛。
また魔法が見えた。
「空間操作魔法!トゥラフィス!!」
空間が歪み、突然、障害物などが現れた。
「灼熱魔法!ロースティークォーツ!!」
そう唱えると対象に高熱を与え、周囲の物体を瞬時に焼き尽くしていく。
!?今、一気に二つも魔法を見たわ…
「…ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
痛みに悶え苦しむ。そして今度は場面が変わった。
目の前にいるのはシャーロットと…誰か。でも、やっぱりそこにいるのが誰なのか分からない。そしてまた出てくる魔法。
「真実の魔法。インヴィスト。」
そう唱えると、光を放ちながら目の前にいる相手の秘密や隠された情報が視覚化された。
真実の魔法…これを使えばリーシェの秘密や隠し事を知ることが出来るんじゃ…
「…ゔぅ、痛い…ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
今までに経験したことのない痛み。
そしてまた場面が変わり映し出された魔法。
何者かに追われているシャーロット。そして唱えた。
「幻影魔法。ブルーティス。」
そう唱えると周囲が一瞬で歪み、追いかけてきた者たちはシャーロットの姿があるにも関わらず、その場を通り過ぎていった。
そういうことか…この魔法は自分自身には元の姿のように見えても、他の人には違うものに見えてるのね…要するに錯覚を起こしてるってわけ…
それが分かり、自分の中で整理していると私のさっき放ったうめき声と苦しみから出た悲鳴を聞いたソフィアとリューストが部屋へやって来た。それを見た私は立ち上がったが、力尽きたのか二人に倒れ込むように気を失った…
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