リューストの調査結果
「俺は昨日シャーロットに言った貢いでる公爵家の一人、ナルティース家長男、アルフレッド様についてもっと詳しく調べてみたんだ。」
ナルティース家長男、アルフレッド様…
お父様がリーシェに縁談を持ってきた相手…
「何か分かったの?」
「ああ。ナルティース家でリーシェに貢いでいたのはアルフレッド様だけじゃなかったよ。」
「…それ、どういうこと…?ナルティース家でリーシェに貢いでるのはアルフレッド様以外にもいたってこと…?」
「そうだよ。リーシェに貢いでいたのはアルフレッド様だけでなく、その父上のヒューデル公爵もだった。」
……は?
「まさか、息子だけじゃなく、父親もだったの…?」
「ああ、そうみたいだ… なんならアルフレッド様よりもヒューデル公爵の方が貢いでるそうだ。」
「どうしてそんなことが分かるの!?」
私が言おうとしたことを代わりに言うソフィア。
それに答えるかのように続けたリュースト。
「実は、ナルティース家でヒューデル公爵に支えていた使用人の何人かが最近、クビになったらしい。そのクビになった人たちの何人かに話を聞いてきたんだ。」
「全員ってわけじゃないけど。」と言うリュースト。
何人かに話が聞けただけでも十分。
それに、誰がクビになったかなんて探すのは苦労したはず。それが他の公爵家なら尚更ね。
「それで、何か聞けた?」
そう聞くと、ポケットの中からメモを取り出した。
そして、そのメモを見ながら私とソフィアに事細かく話してくれた。
「みんな口を揃えて言っていたのは、一年半ほど前からヒューデル公爵のお金遣いが荒くなっていたらしい。次から次へと高価なものを買いそれがいつのまにか無くなっていたと。だから、誰かへの贈り物だったのだろうってね。その中でメイドの方から聞けたんだけど、ヒューデル公爵のお金遣いが荒くなったのは、一年半ほど前にあったトルデイン家のパーティーのすぐ後かららしい。」
「一年半ほど前!?そんなに前から?」
「そうみたいだ。ただアルフレッド様が貢ぐようになったのはそれよりも後のことらしい。違うパーティーでリーシェ様を見たアルフレッド様が声をかけに行って、その後からお金遣いが荒くなったみたいだよ。これはアルフレッドに支えていた元執事から取れた証言だけど、この執事もクビになってる。」
「すごくおかしな話よね…変化に気づいた使用人たちがクビになっていくなんて…」
「何かまずいことがあるからだろう。」
まずいこと、バレたら公爵家としての名が地に落ちるからなのかな。
「ねえ、そういえば、アルフレッド様には双子の弟がいたわよね?確か…アーサー様とレイン様だったはず…」
「合ってるよ。一応、その二人はどうだったのか聞いてみたけど、その二人は何にもなかったらしい。その二人は女性とは無縁な感じで、剣術に夢中らしい。毎日、稽古をしては家に帰る。そんな毎日らしいし、パーティーなんて全く興味は無いが仕方なく参加してるらしい。」
「アルフレッド様とは大違いってことね…」
「そうみたいだね。だけど、剣術に関してはアルフレッド様もやり手だ。」
「それは私も聞いたことがあるわ。」
「アルフレッド様の剣術に比べたら弟の二人はまだまだって感じだから余計に剣術に励むんだろう。」
負けず嫌いってとかかしら…
ナルティース家で貢いでるのはアルフレッド様だけでなくヒューデル公爵もだったってことは分かったけど、これも話だけだから、確実な証拠にはならない……
「もっと確実な証拠を集めましょう。絶対に見つかるはず…だからコツコツと調査しましょう。」
「「はい!」」
「シャーロット、そろそろ寝る時間だ。」
「そうね…二人とも今日もありがとうね。また調査頼んだよ!おやすみ…」
「「はい!」」
「おやすみ、シャーロット。」
「おやすみ!シャーロット!」
──明日は練習しよう。