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客人

アーサー様が訪れて来なくなって三ヶ月が経とうとしたとき、シャーロット様が私のそばに来た。


「ソフィア!あなたにお客様よ!」


「え…?私にですか…?」


「ええ、あなたに!」


…私に客人…?

…一体誰だろう…


……まさか…ね…?


「シャーロット様、ご報告くださりありがとうございます…!」


「いいのよ…!待たせちゃダメだから早く行きなさい!」


「はい!」


──ソフィア、頑張るのよ。


そんなシャーロット様の言葉は私には聞こえていなかった。


一体、私に客人って誰なんだろうか。

というより、私に客人が来るなんてことは今までなかったのに…突然すぎる…


客人が待つ部屋に向かい扉を開ければそこには、私が会いたくて仕方がなかった人の姿があった。


「ア、アーサー…様…」


「…ソフィア、久しぶりだね…!」


聞きたいことは沢山ある。

言いたいこともある。

だけど私は、口よりも先に体が動いていた。


「ソ、ソフィア…!」


私は飛びつくようにアーサー様に抱きついた。

何の関係でもない。恋人でもなければ身分も違う。

失礼なのは分かってる。

だけど、仕方がないでしょ…?


──好きなんだから…


そんな私を離そうともせず、むしろ強く抱きしめ返してくれるアーサー様。


「ソフィア…会いたかった…」


たった一言。そう言うアーサー様。

それは私も同じですよ。


「私も…私も会いたかったです…!」


涙が溢れてくる。

アーサー様の温もり。この身すべてで感じられる。


アーサー様は私の言葉に慌てていた。

まさか私が会いたいと思っていたとは思っていなかったらしい。


「ソフィア…好きだよ…」


今までなら何も言わなかった。

でも、今は伝えたい。あなたと会えない時間がどれほど寂しく、辛く、あなたへの気持ちが膨らんでいたのかを…


「アーサー様…私も好きです…!ずっと、待ってたんですよ…アーサー様が来てくださるのを…すごく寂しかったんですから…!」


私の気持ち、あなたに伝わっていますか…?


見つめ合う私たち。

私の言葉に驚いているのか目を見開いているアーサー様。


「ソフィア…嘘じゃ…」


「嘘じゃないです…!本当に本当にアーサー様のことが好…」


もう一度、アーサー様に好きと言いかけた瞬間、唇に訪れる柔らかい感覚。


「…っ ⁄ ⁄ ⁄」


こんなの…初めて…

でも、分かるよ…これはキスされてるんだって…


どうするのが正解…?

でも、アーサー様は目を閉じてるし…

とりあえず、私も目を閉じよう…


私も目を閉じてアーサー様に全てを委ねるように考えるのをやめた。


唇が離れると少し、いや、すごく残念だと思ってしまった。キスなんて初めてだったのに…


「ソフィア。残念そうな顔してる…もっとしてほしい…?」


「…からかってるのですか…?」


意地悪そうに聞くアーサー様に私はそう言った。


「あははっ!ごめんね。どうしようもなく嬉しくてつい…ねえ、ソフィア。君からキスをしてくれないか…?」


…キス…私から…?

どうすれば…どうやってするの…

唇にすればいいのよね…

うぅ…難しいよ…心臓が止まりそうだよ…


そうだ、アーサー様に意地悪されたんだから、私も意地悪してもいいよね…?


「アーサー様。今まで何をしていたのですか…寂しかったんですから、ちゃんと教えてください…!教えてくださるまではキスしませんから!」


そんな私をアーサー様は笑う。


「何か変なことでも言いましたか…?」


「いや、違うんだよ…あまりにもソフィアがかわいくて。それに、俺にそこまで会いたいと思ってくれていたなんて嬉しいと思ってね。教えたらキスしてくれるの?」


そう言うアーサー様に私は約束した。


「もちろんです…!」


「分かったよ。少し座ろうか。」


そして、アーサー様は私と会わなかったこの長い時の話をしてくれた。

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