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第038話、容疑者ミリアルド


 氷の世界に轟く一報は、魔境を震撼させていた。

 内容は――異国の皇太子による誘拐暗殺事件。


 容疑者はミリアルド=フォーマル=クラフテッド。

 被害者は赤き舞姫サヤカ。

 誘拐されたサヤカの遺骸が見つかったとされたのは、凍える運河の中。

 とても美しい水死体だったとは、目撃した有翼獣人ホークマンの衛兵の声。


 今も魔境の警備につくホークマンたちが翼を広げ、猛吹雪の中を探索している。探している相手は当然、容疑者ミリアルド。

 極寒の街。

 追われる男は魔術を発動させるスクロールを使用し、聖騎士には不慣れな斥候スカウトスキルを発動。雪の中を進む足跡を消しつつ、身を隠しながら進んでいる。


(なぜ私が疑われている……っ)


 屈辱的な逃走だった。

 けれど、逃げなければ確実に処刑されると本能が察していた。

 冷たい銀箔の風が白銀鎧男の黒髪を揺らす中、容疑者ミリアルドは考える。


(私は嵌められた、そう考えるべきか――)


 昨夜、踊り子サヤカの部屋を離れた後――。

 聖騎士ミリアルドの脳裏に浮かんだのは聖騎士のスキル「神の声」。自動発動し、天の声を聴くことができるとされる、一部の聖職者のみが習得できる常時発動スキルである。


 具体的な効果はシステムメッセージと呼ばれる現象を察知する能力を得られる事か。


 システムメッセージとは天の声。世界各地にある教会の聖職者たちが神と崇める存在の声と言われているが、そのシステムメッセージを発信している存在の正体は定かではない。

 ただ教会によって崇める神が違う。

 システムメッセージを発信している神は複数存在するというのが一般的な説だが、それぞれの教会は、それぞれ神は自分達が信仰している神一柱だとそれを否定している。

 ともあれ、システムメッセージと呼ばれる現象が発生しているのは確か。


 聖騎士も聖職者に分類される。そしてミリアルドは王族、それも北部から押し寄せる強力な魔物の南下対策の一環である防衛戦、その砦の守りを任されている程の実力の持ち主。

 強いのだ。

 だから「神の声」を聴く能力も有していた。


 ミリアルドの場合、「神の声」で聞くことができるのは仲間の危機を知らせるメッセージ。

 それは、ミリアルドが仲間と認めたものや同胞と認めたものの情報を得る力。特に同胞の危機を聞く能力に長けていた。

 弱点は自分でその能力の制御ができないこと。

 危機になったら毎回教えてくれるというものではなく、教えてくれたり、教えてくれなかったり、ランダムなのだ。

 だが、聞こえた場合に限り、その「神の声」が間違っていたことはない。

 遠く離れた地にいた母の死を知った時も、その通りだった。


 今回も、相談に乗ってくれた踊り子サヤカを同胞と認めた影響だろう。

 天に響く謎の淡々とした声が、彼女の危機を知らせてくれたのだ。

 すぐに駆けつけた。

 実際、彼女の姿は見えなくなっていた。

 早く見つけなければ危なかったのに――。


 猛吹雪の中で、端整な男の声が漏れる。


「それなのに……っ、水死体で上がっていただと!? くそ! だから、私ではないと言ったのにっ」


 無実を訴える言葉を、吹雪の音が吸い取り消していく。


 駆けつけた後、淑女の部屋に勝手に入るのは駄目だと道を塞ぐコボルト達を押しのけ。

 強引に扉を聖剣で貫き、サヤカの部屋に押し入ると――既に誰もいない状態だった。

 コボルト達にとってもまったく察知できていなかった消失らしく、大変だ! 大変だ! と迎賓館を探し回ったのだが、サヤカの姿は発見できず。

 聖コーデリア卿の帰りを待つ事になったのだが。


 やってきたのは、何故かコーデリア卿と晩餐会中だった筈の魔皇アルシエル。

 有翼獣人と思われる、魔の皇族。

 まるで大天使のような翼を生やした、素顔隠しの仮面を装備した長身痩躯の男。


 誘拐を疑われ、連行されかけたミリアルドは最初、素直に従おうと思った。

 誤解であり、真実を語れば信じて貰えると思っていたからだ。

 しかし。

 部下を引き連れていた魔皇アルシエルは言った、サヤカ嬢の失踪の謎と責任をミリアルドに押し付け告げたのだ。


 彼が犯人で間違いないでしょう。

 クラフテッド王国とも連絡を取った。

 法に基づき翌朝、処刑しますと。


 まるで最初から計画していたように。


(晩餐会に招かれたコーデリアといる筈の男があの場に現れ、サヤカ嬢が消えた――そしてあの手際の良さ。偶然というわけはないだろう)


 つまり――。

 ……。


「――……っ!?」


 考えをまとめようとするも、追手の気配が空から出現する。

 白のフードに身を包み、白銀の鎧をガシャリと揺らしミリアルドは猛吹雪の中を駆けていたが……、上空からの奇襲に対処するのは困難。

 それでも聖騎士ミリアルドは王族として豊富に入手している魔道具を使い、姿を消し続ける。


「こっちに逃げたぞ――! 回り込め!」

「我等が魔境で同胞である人間同士の殺し合い? 馬鹿じゃねえのか!?」

「ああ、馬鹿だから人間なんだろう!」


 血気盛んなホークマンたちは雄々しい翼で猛吹雪の中を飛ぶ。

 隆々とした筋肉に、いかつい顔。

 彼らホークマンのイメージは、見栄えのいい野性的な海賊。極寒の地でありながらも飛ぶことができるのは魔力と、その潤沢な翼を覆う羽毛のおかげか。

 猛吹雪であっても彼らは大海原を掻き分ける船舶のように、白い嵐を突き進む。


 対するミリアルドは慣れない雪道に苦戦している。

 冷えた甲冑が関節の動きを鈍らせている。


 何故、自分が狙われているのか。

 何故、サヤカ嬢が狙われ殺されたのか。

 理由が分からない。

 もし皇太子としてのミリアルドを狙った何者かの謀略に、相談を持ち掛けただけのサヤカが巻き込まれたのだとしたら。

 ミリアルドを消すための手段として、彼女の誘拐と死が利用されていたとしたら。


「私のせい……か」


 漏らす声から、白い結晶が浮かぶ。

 凍える外気と魔力の影響だろう。

 スゥっと筋の通った鼻先は、赤く染まりそうになっていた。


 寒さもある。

 しかし、赤くなりそうな理由はそれだけではない。

 今までの愛しい妹の正体は悪女。

 いままでの人生の半分以上も一緒に居た、もっとも信頼していた存在の全てが演戯。

 その妹が今度は一般人であるサヤカの恋人を寝取り、自分の悪事が暴かれたからと魔境に逃亡。

 そしてその妹の悪事を信じられず、全てコーデリアのせいにしていた愚かな男こそが――。


 サヤカ嬢が浮かんでいたとされる冷たい運河に、美麗な男の青ざめた顔が反射している。

 孤高なる聖騎士。

 クラフテッド王国の護り手。


「愚かで、無自覚な道化であり続けた私が護り手――ああ、そうか……他の者は、もう皆、知っていたのだな」


 聖騎士ミリアルドは愚者。

 妹を盲目的に信じ、他の全てを捨ててしまった王族の風上にも置けない厄介者であると。

 だが――。


(だからといって、今の状況を放置していいわけがない。狙われているのは私と、サヤカ嬢。共に人間だ。人間への差別意識が原因だとしたらコーデリアの身も危ない)


 愚か者であったと自覚はしているのだろう。

 けれど、だからといって今、救うことができる命を見捨てるのは違う。

 皇太子としてのミリアルドの瞳に光が宿る。


(そもそもだ、サヤカ嬢の遺骸はいまどうなっている。コーデリアがいるのならば、蘇生の儀式の発動が可能な筈。しかし――)


 コーデリアが無事なのかどうか、それも分からない。

 八方塞がりである。

 魔皇アルシエルが放った追手が、翼に魔力を纏わせた氷の散弾を放ってくる。

 しかし。


「甘い――この私を舐めるな!」


 皇太子ミリアルドは、瞳に魔力を浮かべて狼のように尖らせた。

 それだけで翼による氷の散弾は弾け飛び、周囲は白い結晶に包まれる。

 視界を妨害する散った氷に向かい、皇太子は手甲を伸ばし指を鳴らす。


 短文詠唱が、極寒の地に響く。


「水よ、害意を退け我が意に従え」


 氷が、ホークマンたちの周囲に発生し道を妨げる。

 氷の散弾により発生していた結晶に「水の魔術Ⅲ」を発動させ、氷の壁を発生させたのだ。

 衛兵たちを撃ち落すのは容易いが、それをすれば誤解を解くチャンスも失ってしまう。そしてそれはコーデリアの身の危険に繋がる。


 だから男は逃げた。

 騎士でありながら、プライドと矜持を揺らしつつも駆けた。

 屈辱的な敗走を余儀なくされたのだ。


 相手を傷つけないように逃げる。

 それは聖騎士が得意とする分野ではない。

 空から羽による氷の散弾が降り注いでくる。


 見えなくとも、当たればいいと追手たちが放ち続けているのだろう。

 翳した手の先に浮かべた結界で防ぐが、全てを防ぎきれているわけではない。

 運河を下れば海に出る、魔境の海は魔物の巣窟だと言われている。魔物ならば倒せばいいだけ、殺していい相手ならどうとでもなる。

 だから聖騎士は追手を殺さず、運河道を沿って下る。


 極寒の中で体力と魔力が消耗されていく。

 多くの戦闘系獣人から逃亡し、息を切らしながら聖騎士ミリアルドは昔を思い出していた。


「私ではないと言っているのだが、きっと誰も信じぬだろうな」


 今の声と過去の声が交差する。


『どうして信じていただけないのですか?』


 と、かつて一言だけ――幼き頃のコーデリアが彼に漏らしたことがあった言葉だった。

 記憶の中のコーデリアはとても悲しそうな顔をしている。

 とても傷ついた顔をしている。


 その時だった。

 何故だろうか、コーデリアの顔が猛吹雪の中に映って見えたのだ。

 冷たい運河道、戦いとは不釣り合いな淑女が凛と佇んでいる。


「ミリアルド殿下――こちらにいらしたのですね」


 幻ではない。

 聖コーデリア卿。

 聖騎士ミリアルドが傷つけ続けていた貴族の名だ。


 彼女は腕に抱いた魔導書を発動させるべく、魔力を揺らしていた。

 スゥっと手が翳される。

 聖騎士ミリアルドは察した。彼女はサヤカを殺した悪人として、自分を討つつもりなのだろうと。

 だが、それも仕方がないことだ。


 恨まれて当然。信じて貰えぬことばかりをしてきたのは、自分自身なのだと皇太子は自らの過去の過ちを自覚し――ならばせめて悪人として、討伐された方がコーデリアの身の安全に繋がる。

 そう考え――。

 聖剣を掲げた。


「そこを退け――二度は言わぬ」

「お断りさせていただきますわ。イーグレット陛下の名代として派遣されている領主として、あなたをこのままにはしておけません」


 聖女が詠唱開始の構えを取る。

 未知の魔導書。

 それは報告にあった聖女が入手した一冊。クラフテッド王国全土に罠魔術を発動させた魔導書だろう。


 何者かに殺されたサヤカには悪いが、真犯人の思惑に乗せられるのは最善手とは言えないが。それでもおそらく、これが一番コーデリアの身を守る手段と確信していた。

 もし無実だと後で分かった時、コーデリアは無実の皇太子を殺したとして非難されるが、もし皇太子側が剣を向けて襲い掛かってきたのだとしたら?

 反撃と言う大義名分ができる。


(だから、これでいい)


 皇太子は満足した顔で、聖女に討たれる覚悟を決めた。

 刹那――!


「スキル”迷宮女王レベル∞”、発動させていただきますわ――」


 凛とした聖女の声が周囲の雪を割き。

 天に向かい魔力閃光が伸びる。

 空一面に複雑怪奇な、見たこともない超大規模な魔法陣が展開されたのだ。


 雪原フィールドに、迷宮化現象が発生する。

 尋常ならざる魔力が、領域を上書き。

 そして――聖女のドレスの下から伸びた影が魔力の塊を生み、深淵の中から超特大魔物を発生させていた。


 出現したのは、キマイラタイラントゾンビ。


 城門よりも大きな、三つ首の恐竜。

 そのアンデッド化し使役された姿。

 キマイラタイラントゾンビが、空洞の瞳を赤く輝かせ。


 ――轟轟轟轟!


 超強力な気絶効果のある咆哮を轟かせ、魔境全土を揺らす。


 バタリと、膝をつき地に落ちた。

 誰が。

 聖騎士ミリアルドではない。


 では、誰が。

 それは魔皇が放った追手たち。

 ミリアルドは気絶の咆哮の対象外である。レジストしたわけではない。


 ホークマンたちが墜落する中。

 聖女は微笑み、皇太子に向かい手を伸ばした。

 あの日とは違うが――それでも。


 優しい微笑を浮かべて言ったのだ。


「さあ、殿下。とりあえずここを離れましょう」

「なぜ」

「なぜって――だって殿下が犯人ではないのでしょう?」


 美麗な男の瞳の光が、揺れる。


「信じて、くれるのか?」


 お前を信じなかった、この私を。

 そう縋りつきたくなる言葉が、口から零れそうになった。


「勿論ですわ」


 銀色世界の雪中。

 断言する乙女は、本当に穏やかに微笑んでいた。

 聖母の如き微笑みだった。


「どうしてもわたくしには信じられなかったのです。魔皇陛下はお疑いのようでしたが……わたくしにはどうしても……。殿下に、そのようなことができる筈がないと」


 ミリアルドの身が震える。

 拳も、唇も震える。

 そして、あの日、ミリアルドが傷つけてしまった少女は言った。


「だって、暗黒迷宮うちの非戦闘員よりも弱い殿下が、わたくしの信頼するコボルトさんの目をかいくぐって、サヤカさんを誘拐できるはずありませんもの!」


 ありませんもの! もの! もの!


 と、吹雪の中に聖女の声がこだまする。

 弱いと言われたミリアルドの思考が停止し、しばらく。

 男の口から間の抜けた美声が漏れたのは、それなりの時間の後だった。


「は?」

「どうなさいましたの?」

「い、いや――信じて貰えているのはありがたいのだが……」


 こう思うのだ。これは何か違う、と。

 だが。

 それでも。


 聖騎士は美貌に親しみを浮かべて告げた。


「信じてくれて、感謝している」

「いいえ、お気になさらないでください。弱者を守るのも領主としての務めですので」

「私が、じゃ、弱者……?」


 ミリアルドの目が、点になる。

 たしかに、コボルト達よりも弱いがそれは相手が強いだけ。

 なのに聖女は自分ばかりが納得して、んー……と考え込んでしまい。


「絶対に不可能なことをできると言われても、困りますでしょう? ですのでわたくしは魔皇陛下に何度も申し上げたのですが、なぜか信じて貰えなくて……」


 その言葉に、嫌味や皮肉は皆無。


「そもそもおかしいのです。サヤカさんよりも弱い殿下が、彼女を誘拐できるはずないのですから――」

「待て、おまえはともかく――サヤカ嬢が、私よりも強いだと!?」

「お気付きにならなかったのですか?」


 互いに困惑である。

 コーデリアが追手全てに催眠ガスの罠を発動させながら。


「おそらくあの方、本当にかなり強いですわよ。殿下はその……レベルが低いので……レベル差を読む領域に至っていないのでしょうが。あの方、自己自動蘇生の魔術も事前に発動なさっていたみたいですし。怪しげな眷属も侍らせていたように見えましたし……ずっと監視していたのですが」


 サヤカ嬢から何かを感じとり、監視していた。

 不自然なまでのコーデリアの彼女への干渉に思い当たることがあったのだろう。思考に押される形でミリアルドは声を上げる。


「自己自動蘇生!? というか、コーデリア……おまえ、どうしてそこまで」


 強くなっているのだ。

 そう言おうとした聖騎士の瞳に、聖女の微笑みが返ってくる。


「わたくし、もう誰かの思惑に振り回されるのは嫌なのです。だから少しだけ、そう、少しだけ修行をさせていただいた。それだけの話ですわ、殿下」


 微笑んで、コーデリアが追手が召喚した魔竜の目の前に、魅了チャームの魔石像罠を設置。

 全ての魔竜を混乱、魅了状態にして現場を掻き乱す。

 よくよく見れば。

 さきほどからやっていることが、エリアボスよりえぐい。


 気絶と睡眠状態を強制され、衛兵のホークマンたちが落下し続ける中。


「お、おい――この極寒の中で追手を眠らせたら、凍死するんじゃ」

「ふふふふ、ご心配なく殿下。抜かりはありませんの、運河をご覧ください」

「運河?」


 横を向くと――運河が何故かマグマになっている。

 聖女は言った。


「凍え死んでしまうのはわたくしの望むところではありません。なので、ダンジョン領域化範囲内のフィールドを溶岩状態に変更いたしましたので。じきに、全部の雪は溶けますわ」

「いや、おまえ! こんな極寒の地の雪や氷を全て、短時間で溶かしたら――」


 言葉の途中で、溶けた氷雪により発生した波が街を荒れ狂い。

 マグマの海と化した運河に流れ込み、じゃわぁあああああああああぁっぁあ!

 熱と冷気の衝突。

 すさまじい水蒸気が発生し、街全体を更に揺らし始める。


 魅了された魔竜が暴れ、アンデッド化されたキマイラタイラントは三つ首で咆哮を連打。


 それはさながら終末戦争。

 揺れる世界を眺めながら、コーデリアは口元に手をあて。

 他人事のように、一言。


「あら?」

「あら! じゃない! コーデリアっ、おまえ、規模がとんでもないことになっているだけで、やってることはぜんぜん昔と変わっていないじゃないか!」

「え、あれ? なぜそんなに焦っていらっしゃるのです?」

「なにか策はあるのか!? このままだと怪我人や死者が出るぞ!」


 被害者がでると言われ、コーデリアは目をくるくる。


「で、では――世界を包んで巻き込めるほどの巨大神蛇を召喚して魔境ごと食べて貰い、後でぺっとして貰うというのはどうでしょうか?」


 どうでしょうかじゃない。

 そう突っ込みたくなる皇太子は、ますます昔を思い出し。


「……。あぁあああああぁぁぁ! もういい、お前に任せるといつもこうだ! 私がやる!」


 かつてのあの日。

 こうしてコーデリアに振り回された日々を思い出した皇太子は、聖剣を空に翳し。

 儀式魔術を詠唱。

 慌てて被害に遭いそうになっていた住人に結界を張ったのだった。


 コーデリア基準だとミリアルドは低レベルだが、まともな基準ならば最上位。

 王族による結界である。

 死者も怪我人もゼロ。


 しかし、街は何事かと騒然。

 魔境でとんでもない事態が起こっていると、各国も対策会議を開く騒ぎとなり始めていた。


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