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第034話、世界で一番不幸なダンサー


 聖女や皇太子や姫や従者が動く裏。

 ここは魔境ではなく、もはや終わりかけた国家――クラフテッド王国。

 栄枯盛衰。

 かつては国一番の英雄達が集まるとされた酒場にて、一人の赤き美女が踊りを披露していた。


 彼女の名はサヤカ。

 称号は「世界で一番不幸なダンサー」。

 国家としての終わりを察した、退廃的な世界を構築する酒場で踊る彼女に、誰しもが目を奪われていた。


 まず目が行くのが――情熱的な真っ赤な髪。

 踊りやすさと回り揺れた時の角度を計算し、肩まで伸ばした赤色髪だった。

 髪は短すぎては華に欠ける。伸ばし過ぎると装飾を邪魔する。

 だから肩までがベスト。

 もっともそれはあくまでもこのクラフテッド王国の、この酒場での好みの話。町が変われば趣向も変わる。事実、隣国のオライオン王国では女性であっても戦いやすいとされる短い髪の方が、評判がいい。


 サヤカに目を奪われている者たちが、声を上げる。


「サヤカちゃん! くじけるなよ!」

「オレたちは、みんなおまえさんの味方だからな!」

「ああ、それにしてもなんてかわいそうな娘だろう――」


 と。

 皆、サヤカの婚約者キースが国民を騙していたあのミーシャ姫に奪われ、失踪したことは知れ渡っている。

 嫌な噂、可哀そうな噂。他人の不幸。ネガティブな話題はよくもわるくも人の話に乗りやすい。

 聖女を失い衰退、腐っていく国ならばなおさらだ。


 誰しもが応援しながらも、こう思っていただろう。

 自分は不幸でも、この娘よりはマシだろう――と。

 だから、話題になる。この酒場には、自分よりも不幸な子がいる。悪辣な姫に大事な婚約者を奪われた踊り子がいる。

 そして実際に酒場を訪れ、皆、心を奪われる。


 ああ、なんて情熱のこもった踊りなのだろう。

 なんて悲哀に満ちた踊りなのだろう。

 なんて……可哀そうな踊りだろう。

 きっと、今も彼女は婚約者を奪われた悲しみを踊りへとぶつけ、その身も心も焦がしているのだろう、と。


 けれど舞台の上で舞うサヤカの心は違った。

 ああ、やっぱり心地が良い。不幸なわたしが、不幸に負けないようにと踊るわたしは誰よりも美しい。ほら、わたしは不幸でしょ、だから踊りはこんなにも悲しみで満ちている。

 踊り手の背景が違うだけで見る人の受け取り方も、心も違っている。


(ただいつも通り踊っているだけなのに――ああ、だから不幸は止められないのです)


 観客たちは同情の視線と、憐憫の視線、そしてどこか勝ち誇ったような視線をダンサーに送る。


 不幸な踊り子の、悲しい踊り。

 けれど情熱的な踊り。

 あれほどにかわいそうな目に遭ったダンサーなのだ、もっと見てあげないと。あの手の振り付けは、きっとキースへの想いの表れ。あの腰つきは、姫への恨みの表れ。

 ああ、カアイソウだ。


 そんな視線と心を察している踊り子サヤカは、皆の視線に恍惚と踊り続ける。

 彼女にとっての幸福は、踊り。踊れるだけで幸せだ。

 他には何も要らない。

 けれど踊りをよくするためならばなんだってしてみせる。


(さあ、もっとわたしを見て。わたしは世界で一番不幸なダンサーなのですから。同情は最大の演出、憐憫は最大の効果音、そして心のどこかで浮かぶ蔑みこそが――あなたたちの心を満たすのでしょう?)


 赤い髪が、舞う。

 紅蓮のドレスと装飾が、舞う。

 しっとりとした汗が、肉感的な胸を伝い――指先を通じ、爪の先から弾けて消えた。


 寂れた国で今一番熱い酒場。

 不運な女の踊りが続く中。

 サヤカは沙耶香さやかだったときの事を思い出していた。


(三千世界と恋のアプリコット、なんて素敵な世界なんでしょう――)


 踊りの小休止。

 歓声の中。

 病室の香りが、脳裏によみがえる。


 あの日、あの時に運ばれた病室。

 ベッドの上で何度も叫び散らした言葉。

 ――足だけは絶対に切りません。


 それが沙耶香の死因だった。


 正確に言うのなら、その言葉自体が死因ではない。

 交通事故に遭って轢かれた両脚が壊死しかけ、切断しなければ敗血症を悪化させるだろうと言われていたのに――従わなかった。

 医者に言われても、親しかった仕事友達に言われても、絶対に同意しなかった。


 だって仕方ないじゃないですかと、ファンタジー世界の、多くの観客の前で手を振るサヤカは思う。


 あの足は、子供の頃からずっと一緒に励んできた足。ずっと一緒に、踊ってきた足。

 アン、ドゥ、トロワ。

 クイック、クイック。もっと早く、優雅に、美しく。

 子供の頃の遊びも青春も、恋だって捨てて全てを捧げた人生の戦友。


 足が腐って死んでしまうのなら、自分だって一緒に死ぬ。そもそも踊れなくなった時点で、自分の人生は死んでしまったのだと当時の沙耶香は感じていた。


(でも、ここなら違うのです。『三千世界と恋のアプリコット』の中では、違うのです)


 観客たちの目線を受け。

 サヤカはふっと悲しい笑みを送る。


 満足に動く、新しい人生を得たサヤカの新しい人生の足を見ている。

 かわいそうな美女の、かわいそうな踊りを見て満足している。

 サヤカ自身も高揚感で満たされていく。


 普段はおとなしいとされているサヤカが、踊っている間だけは挑発的な美貌を浮かべ、恍惚とした艶のある笑みを浮かべる。普段は酒場の隅で静かに、ちびっと酒を嗜むような清楚な乙女に見えるのに――舞台に立つと、豹変する。

 かわいそうな女が、その心を解放する。


 戦士たちを狂乱させるほどの「狂喜の踊り」。

 それは三千世界と恋のアプリコットの世界で手に入れた、踊り子のスキル。

 扇情的な肉体は生まれ変わる前よりも肉感がある。出ているところがちゃんとでている、引っ込んでいる場所がちゃんと引っ込んでいる。顔だって化粧がなくてもまるでファンタジーゲームの住人のように美しい。

 だって当然だ。


(ここは天国、ゲームの世界。わたしのために神様が与えてくれた第二の人生なのですから)


 サヤカは思い出す。

 消灯時間が過ぎた病院の個室で、あの時に見たモニターの輝きを思い出す。


 ファンタジーの世界。

 病室で最後に遊んでいたゲーム。

 三千世界と恋のアプリコット。

 はじめはくだらない乙女ゲームだと思った。病室で沈む沙耶香を心配した友人が何の気なしに語った、よくある課金ゲームだった。

 ただせっかく病室に来てくれる友人に悪く思い、話を合わせるために、気まぐれにプレイしただけだった。


 くだらない男キャラが、くだらない話をしてきて退屈なゲーム。

 レベル上げなんて面倒だし、パーティを組んで魔物を倒す? レアドロップを狙う? ああ、くだらないですねと沙耶香は内心で馬鹿にしていた。

 けれど友人には楽しいですと、微笑みながら。

 当時の病室で、愛想笑いをしながら沙耶香は思っていた。


 まずヒーローキャラが気に入らない。


 正統派といいつつ自分勝手で無個性なミリアルド皇太子。

 性欲と馬鹿さが鼻につくオライオン馬鹿王子。

 氷漬けの母への思慕を拗らせた、知恵だけあって戦力外の皇帝イーグレット。

 これ見よがしにヒロインに治させようと負傷させた腕と片目をチラつかせる、魔術講師ベアルファルス。

 魔皇アルシエルさま? 獣人や亜人種を守るために非道となっている? 実はいい人だって無理あり過ぎでしょ。露骨すぎて、ダサいですね。


 はいはい、課金すればいいんでしょうね。

 賠償金がいっぱいあるから全部簡単にルートも開けますので、どうか勝手にヒロインに惚れていてください。


 当時の沙耶香はこうも思っていた。


 一番嫌いなのはこの主人公。

 ミーシャ姫。ルートによって性格変わりすぎです、多重人格っていう設定でもないとありえないでしょ?

 なに被害者ぶってるの? あたしのために……? じゃないわよ、それはわたしの課金で好かれているだけですから、勘違いしないでください。だいたい、二股どころの騒ぎじゃないわよ、一つに絞ってくださいよ。

 もし生まれ変わることになっても、こいつだけは絶対に嫌です。


 と。


 そんな沙耶香がこのゲームを好きになったきっかけは、とあるランキングイベントだった。

 イベント名は赤い靴。

 他のプレイヤーと競い、リズムに合わせてボタンをタッチする音ゲーの真似事を延々とやらされるだけ。本来なら時間経過で溜まるスタミナと呼ばれる要素を課金で回復し、またプレイ、ポイントを稼いでランキングページに名前とキャラが張り出される。

 ただそれだけのイベント。


 報酬も赤い靴。


 病室のベッドの上、時間も金もたくさんある。

 だから沙耶香はイベントに参加した。

 初めてその時、いままで避けていた踊り子という職業を習得した。


 その日から、沙耶香の人生は変わった。


 当時の沙耶香の耳には、周囲の声が聞こえていた。

 けれど、その内容は届いていなかった。

 踊る。踊る。踊る。

 ただ音に合わせて画面内のキャラが踊るだけだ。うまくタイミングがあえば加点される。パーフェクトを出せば、歓声が鳴る。


 気づけば就寝時間が過ぎてもプレイしていた。


 看護師が止める。

 スマホが取り上げられそうになる。

 叫んで、奪い返した。


 看護師も医者も驚きを隠せない様子だった。

 普段はおとなしく、清楚で、けれどとても不幸で、それでも不幸をまったく感じさせないイイ子だった女性が、髪を振り乱す程に激昂していたのだから。

 当然だ。


 友達がメッセージを送ってくる。

 はじめは読んだ。

 けれど、みんな心配しているよ、少し、休まないと。そんな内容ばかり。

 踊りの邪魔をするのだ。


 全部無視してやった。


 気づけばランキング一位、ネットでツーラーだのチーターだの言われたから沙耶香はどれほどダンスに必死だったかを動画付きで公開した。

 病室のベッドの上。休むことなくタップし続ける姿だ。

 みんな驚いていた。

 そして次々に謝罪を始めた。


 沙耶香が世界的に有名なダンサーとして、いや、事故で二度と”踊れなくなったこと”で世界的に有名となった悲劇のダンサーだとすぐに伝わったから?


 いいえ、違うと当時の沙耶香は思った。けれど実際はそうだった。


 朝から晩までプレイし続け、点滴を受けながらの、針痕だらけの腕で一度もミスをしないパーフェクトを取り続けていたから有名になったと思っていたが。

 実際は違ったのだ。

 当時まだ踊れた頃、事故に遭う前。

 普通に踊りがうまく、普通に綺麗で、普通にミュージックビデオのバックダンサーとしての仕事もくる、普通の一流だった彼女が、普通以上の、一躍有名な時の人となった。

 そのランキング一位の正当性を主張した沙耶香の動画と共に、とある動画がまとめられたのだ。


 動画タイトルは、世界で一番不幸なダンサー。


 事故の記事と、顔写真。

 今まで、ミュージックビデオやミュージカルや、アイドル達の振り付けや、ダンス教室の臨時講師をしていた時の映像が勝手にまとめられていたのである。

 動画は瞬く間に広がった。

 既にランキング一位をとった変人として有名だった沙耶香の評価は一変した。


 あれほど美しい踊りを見せるダンサーだったのに、交通事故に遭って踊れなくなった。

 しかも、足を切りたくないという理由で、いまだに入院していると知れ渡った。

 かわいそうだと、声が上がった。


 沙耶香の踊りが認められ始めたのはその時。

 不幸な彼女は一流なダンサーではあったが、同僚や恩師からはどこかが足りないと言われていた。綺麗なのに、美しいのに、完璧なのに何かが足りない。

 その何かを埋めたのは――後付けの不幸。


 もう二度と踊れない、もう二度と生で見ることができない。

 そんな要素が最後のピースを埋めたのだ。

 一流だがどこか心に届かない、物足りない踊りが不幸を加味したことで完成した。


 皆が、絶賛するようになったのだ。

 二度と踊れなくなる前は誰も何も、世間はろくに見ようともしなかったのに。

 話題が増える。

 取材が来た。

 みんなが惜しんで褒めている。


 そして極めつけは、沙耶香が死んだ後の事。


 足を切りたくない彼女の死。

 敗血症が原因で死んだ頃には、皆から惜しまれ、その生涯を踊れぬままに病院で終えた不幸がさらに話題を呼び――前と全く同じだったはずの踊りの過去動画が、絶賛され続けている。

 転生する前の彼女の魂は、最後にその光景を眺めうっとりと悦に浸っていた。


 そんな時だった。

 彼女が三千世界と恋のアプリコットの世界に引き込まれたのは。

 気づけばゲームそっくりな世界にいた。


 当然、踊り子になった。


(わたしの踊りには不幸がないと完成しない。ああ、もっと、もっと、もっと不幸にならないと)


 顔に傷を作る? 魔術のある世界だからすぐに治されてしまう。

 家族を殺される? そもそも孤児だからどこにいるか分からない。

 けれど、だ。

 不幸になる手段はたくさんある。いくらでもある。


 たとえば、同じ転生者のあの馬鹿姫に婚約者を奪われたとしたらどうだろう。

 たとえば奪われる恋人が、誰からも好かれる好青年だったらどうだろう。

 ああ、都合のいいモブがいた。

 だからサヤカはとてもキースに感謝していた。引き裂かれた今でも好きと言えるだろう。けれどそれは恋心とは違う、便利に動いてくれたモブに対する感謝の念。

 彼女は思う、活動資金まで送ってくれるなんて、本当に選んでよかった――と。


(それもこれも、全部あの方のおかげ。きっと神様なのですね。それではキース様。わたしを不幸にしてくださって、どうもありがとうございます)


 送金に添えられていた手紙を落としていたが、もうどうでもいいと拾いはせず。

 カツリカツリ。

 拍手喝采の中で楽屋に戻ったサヤカは、汗を拭いながら言う。


「教えてください天使様。わたしの踊りを完成させるためには、次の不幸が必要なの。踊れなくならない程度の不幸で、けれど、とっても皆から可哀そうだと思って貰える不幸が欲しいのです」


 楽屋の暗闇の中。

 シルクハットと仮面をかぶった小さな男。

 紳士服で、ステッキを持つ壮年声の天使が言う。


『もう十分だと思うのですが、駄目なのですか?』

「わたしはもっともっと欲しいのです、ああ、あの時の快感が忘れられないのです。わたしを認めてくれる書き込みが、わたしを轢いた加害者を罵る言葉が、いままでのわたしの踊りを褒めて下さるあの書き込みが。わたしはもっともっと不幸になって、わたしの踊りを完成させないといけないのです」


 サヤカはうっとりと言う。

 紳士天使は淡々という。


『それは課金をするという事ですか?』

「はい、いくらでも――」

『あなたは既に味覚を全て課金の代価として使った。踊りの邪魔をしない個所となると、次は寿命や命と言った分野になりますが』

「では命と寿命を捧げます。どれほどですか?」


 紳士天使が苦言を呈するように言う。


『サヤカ嬢、よく考えてからの課金をお勧めします』

「なぜですか? あなたがたは課金を集めて、世界を壊すのが目的なのでしょう? 悪くない取引だと思うのですが」

『天使としての役目はそうです。けれど、それが個人としての意思とは限らない』


 天使を見下ろし、瞳を恍惚に染め上げるサヤカが言う。


「そうですか、でもあなたの考えなどどうでもいいのです。わたしは課金をして、次の大きな不幸を買います。さあ、寿命をあなたに捧げましょう。さあ、わたしに次の不幸を、燃えるような踊りのために、焦がれるような歓声のために。わたしはそれだけで満足なのですから」

『あなたは少し思いとどまった方が良い。不幸になることが踊りの完成と思っているのなら、それは間違い。歪んだ認知です』

「どうでもいいです」


 首を横に振り。

 執事天使は、ステッキで北を指し示した。


『あの地には今、多くの強大な存在が蠢いています。その中には、あのミーシャ姫とあなたの婚約者だった男がいるでしょう。婚約者を追って魔境にまで足を踏み入れ、そしてその婚約者が姫に心を寄せていた。全てを投げ売ってでも追いかけたあなたは泣き崩れる――どうでしょうか、あなたはきっと誰よりも不幸な踊り子として魔境でも有名になるのでは?』


 キラキラと瞳を輝かせ、踊り子が手を合わせる。


「素敵です。ああ、あのモブったら――またわたしの踊りを手伝ってくれるのですね。けれど、あのミーシャ姫に心を寄せるだなんてことはあり得ない気もするのですが」

『寄せていないのなら、寄せさせることもできます。大事なのは事実ではなく、周囲がどう思うかなのですから』

「そうですね、課金すればいいんですものね」


 彼女には本当に踊りのためになんでもしてしまう、歪んだ行動力があったのだろう。


 ◇


 世界一不幸なダンサーが、婚約者を追って魔境に向かったと噂が流れたのは数日後。

 また一つ、北の大地に波乱の種が増えていく。

 そしてサヤカはさっそく不幸なダンサーとしての名を広めるべく、わざと治安の悪い地域を歩き――血気盛んな獣人を煽るように独り彷徨い、消えた婚約者を探していると薄幸顔。

 暴漢を誘っているのだ。


 悪い男はすぐに釣れた。

 それも複数。

 襲われるだけなら問題ない。むしろそれが不幸とされることを女は知っていた。殺されたとしても、天使の力で自動蘇生がかかるようになっている。


 だからこれがサヤカの第一歩。魔境での完璧なスタート。


 極寒の地。猛吹雪の中。

 足音が近づいてくるが――。

 爆音がする。


 なぜか、ナイフを片手に路地裏にサヤカを連れ込もうとしていた悪漢たちが吹き飛ばされていた。

 振り返ると、そこは焼け野原。

 周囲一帯の雪は爆風魔術の影響で溶けていた。


「女性の一人歩きは危ないですわよ?」


 と。

 栗色髪の絶世の美女が、なぜか悪者たちを膨大な魔力で吹き飛ばし。

 ふふふふと、微笑んでいたのだ。

 空気の読めない女だと思いつつ、サヤカは美女に礼を言った。

 美女の名はコーデリア。サヤカは彼女のお節介に捕まり、何故か世話になっている宮殿へと招待されることとなった。


 沙耶香はまだ知らない。

 この世で最も厄介な女の善意に捕まったせいで、計画が狂い始めていたことを。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 私、このお話の中でキースが一番不幸な男なんじゃないかとそんな気がします……。 [一言] 天然主人公はもちろんですが、黒猫様。愛らしい。スバラシイ。強くてかわいくてもふもふでもう最強…!…
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