第124話、バージョンアップ
創造神が一柱、神エイコ。
そして、転生者にしてかつて創造神の一人だった道化師クロード。
彼らの仕事は間に合い、世界には更新データが適用され始めていた。
天から、サヤカの声が響く。
『皆様にご説明いたします――』
それは更新データの仕様説明。
世界にバージョンアップをかけたことで発生した変化の説明だった。
サヤカの声はよく通る。
それは演者の声を遠く届かせるための技量、彼女の研鑽もあったのだろう――その努力が開花した結果として、彼女は踊り子としてのスキルをほぼ全て習得できていた。
今もスキルを使っている。
自らの魔力を消費し、相手の耳と記憶に残る声となるように――たとえばマイクを通した声になるように加工している状態にある。
全世界に、魔力の込められた声を流す。
言葉にすれば容易だが、実行するのは容易ではないほどの技術が必要とされていた。
彼女もあまり寝ていないのだろうが、疲労回復の魔術や道具は多く存在する。
もちろん、それでも無限に働けるというわけではないのだが。
ともあれ、世界が存続するかどうかの瀬戸際。
多少の無理をしてでも語らなければならないと、覚悟を決めているのだろう。
魔力音声が降り注ぐ。
『まずは真なる無敵について』
三千世界と恋のアプリコットと、この世界は互いに影響を与え合う相互関係。
ただし。
現実的に不可能なことはできない。
また、ゲームでは起こっていない行動やイベントも、こちらは現実のファンタジー世界という事で、アプリに関係なく自動的に発生している。文字通り、ゲームではない世界がそこに広がっているのだから。
現実とゲーム。
その誤差を計算し、実現可能な範囲での奇跡を起こすことが可能だったのは、エイコとクロードの腕と言えるだろう。
現在、この世界に生きるもの全てに付与されているのは、”真なる無敵”。
デバッグモードによる無敵を超えた無敵ではあるが、その名の通り完全完璧な無敵……というわけではない。
実例で言うのなら、魔猫師匠による本気の攻撃ならあっさりと割れてしまう。
聖コーデリア卿が数度本気で攻撃魔術を放てば、おそらくそれでも割れてしまう。
しかし、それは彼らのレベルが非常識に高いせい。
例外である。
ならばなぜ、”真なる無敵”と名付けられているのか。
それは三千世界と恋のアプリコットが乙女ゲーアプリだからという理由が大きいだろう。
相互関係にあるファンタジー世界とあまりにもかけ離れた名では、実装が反映されないのである。
そんな。
バージョンアップの裏事情と天の声たるサヤカの説明に耳を傾けながら。
喪服令嬢は解呪の儀式祭壇を設置しつつ、呟いた。
「ふーん、これで黒マナティー……ブレイヴソウルのマナティータッチさえも回数制限付きだけど防ぐことができるようになった。触れても一定時間以内に離れれば汚染を解除、マナティー化はされない……か。やるじゃない、魔皇アルシエルにエイコ神」
「おお! 能力向上もめっちゃ効いてるぞ! 見てみろよ、クソ女!」
なにもない空間に向かって、シュッシュッシュ!
格闘術のスキルを使うのは、獣将軍。
彼らは今、二人で迅速に行動していた。
喪服令嬢はその課金アイテムと知識を生かした”祭壇生成”。
本来なら軍単位の聖職者で行う、聖域作成のスキル――聖職者が祈りを捧げるイベント発生ポイントともいえる場所を、単騎の力で顕現させているのである。
グラニューはその護衛と荷物運び。
喪服令嬢は儀式祭壇を次々に作成し、聖職者がすぐに転移できるように転移陣も形成。
作業完了後に、休むことなく転移で移動。
魔力チョークで魔法陣を何度も刻み。
また転移。
たまにやってくる黒マナティーへの対処を任されているグラニューは、退屈さを隠せずにいる。
「うるさいわよ、グラニュー」
「で、これからなにするんだ! なにするんだ! 俺も暴れられるんだろう!?」
「あんた……聞いてなかったの?」
「おう、聞いてねえが?」
開き直られては喪服令嬢の負けだった。
儀式祭壇の周囲に更に魔法陣を刻み、スゥスゥスゥ……。
額に浮かぶ汗を気にせず、魔力チョークを走らせ――。
儀式魔術の効果を倍増させる領域を作成しながら喪服令嬢が言う。
「基礎能力が大幅に上昇してるってのはもうわかってるわよね? だから、全ての魔術、全ての行動の効果も上がっている。だから、今なら浄化の光もある程度はあいつらにも届くはずだって考えているのよ。コーデリアが中心となって世界で同時に詠唱――”解呪”の儀式を行う手筈になっているから、あたしたちはその手伝い。一掃は無理でしょうけど戦況はかなり有利になる筈よ」
反射能力も合わせ鏡がなければ効果は下がる。
真なる無敵で現実的に対処できるレベルにまで抑えることもできるだろう。
もっとも、喪服令嬢には懸念があった。
今までの戦闘での討伐数はゼロ。
物理的な攻撃とはいえ、隕石を降らせる魔術とて黒マナティーを空に追い返しただけ。いうならば、物理的に押し返しただけなのだ。
敵の数は減らせていない。ダメージが通っていない。
数を減らしたところで勝てる保証はない。
喪服令嬢は思う。
――魔猫師匠もキースも、あいつも……何を考えているのか。
それが彼女には分からない。
「手伝いだぁ? おいおい、てめえは詠唱しねえのかよ」
「詠唱って、なんの話」
「解呪だよ、解呪。死霊系の魔物とは死ねない呪いにかかった状態のさまよう魂、その呪いを解くから解呪。あいつらを浄化するんだろ?」
「あのねぇ……あたしが得意としているのは闇系統の魔術。解呪といっても今回は浄化とか成仏とか、そういう類の聖女とか聖職者っぽいアレなのよ……ここまで言えばわかるでしょう?」
「ようするに」
「なによ」
「てめえ、偉そうにしてるくせに使えねえんだな?」
キシシシシとギザ歯を覗かせ腕を組み獣将軍グラニュー。
渾身のドヤ顔である。
初歩的なモノなら使えるとしつつも、喪服令嬢は言う。
「あんただって使えないでしょうが……」
「俺は魔術師じゃねえからいいんだ」
「はいはい、脳筋脳筋」
悪人同士の軽い話の後。
声のトーンを変え、獣将軍グラニューは盗賊団首領の声で告げる。
「で? キースの野郎は? いま、どうしてやがる。なぜ、ここにいない」
空気が変わったことを察したのだろう。
喪服令嬢もスゥっとヴェールの下の唇を揺らす。
「彼には彼の仕事があるのよ」
「仕事ってなんだよ」
「知っていたらあたしが教えて欲しいくらいね」
「って! てめえも知らねえのか、クソ女!」
それは想定外だったのか。
虚を突かれたようだったのだろう、グラニューは間抜けな顔をしている。
「彼は魔猫師匠の眷属。あたしの命令とは違う指令を受けて動くことがある、たぶん、あとは賢王イーグレットも魔猫師匠からなんらかの指示を受けて動いているか……あるいは、指示を受けなくともその意図を読んで動いている可能性は高いでしょうね」
「何を企んでやがるのかは」
「知らないわ。でもたぶん……名もなき魔女をキースは助けなかった。彼なら、助けることもできたんでしょうけど……たぶんそれもきっと、キースがあの魔猫に命令されていた事よ。それが前もっての指令なのか、現場でいきなり指示されたのかは分からないわ」
「いま、なんつった」
「名もなき魔女を助けなかったのは……って! ちょっと! どこいくつもりよ!」
闘志をむき出しに唸る獣人の気配はすさまじい。
空に浮かぶ黒マナティー達も、なんだなんだと覗き込み始めている。
「ああん!? キースの野郎をぶんなぐって吐かせるに決まってるだろうが!」
「やめなさい、あんたじゃ勝てないでしょうが」
「俺はな、仲間を見捨てる奴を糞だと思ってるんだよっ。なんで、止めやがるんだ! 分かっていて、見捨てたって事だろう!?」
ヴェールで隠れていなかったら。
あのねぇと喪服令嬢はジト目を作っていただろう。
「今、そんなことをしている場合じゃないってのと、止めないとあんたが返り討ちに遭う事。あと、キースがやろうとしていることを止めちゃって、それが原因で世界が救えなくなる……なんてなったら本末転倒だし、なにより面倒だって事。それに」
「ま、まだありやがるのかよ」
「あれを見たでしょ?」
告げて、喪服令嬢ミーシャは天を見上げる。
黄昏結界の奥。
昏き天を漂うブレイヴソウル・マザー。
その周囲には子どもたちと思われる邪霊が、ふわふわ浮かんでいる。
あの一団は、人類を襲う事を止めていた。
ただ、ふわふわと、漂っているのだ。
泳いでいるのだ。
「彼女はもう人間じゃなくなった。きっと、彼女だったころの自我もほとんど残っていない。けれどね……鑑定で表示される備考欄では、本当に……彼女、安堵しているのよ。やっと、会えたって……満足して浮かんでいるわ。その証拠に、彼らだけは襲ってきていない」
「……鑑定には、なんて表示されてやがるんだ」
「悲しくなっちゃうから、あたしの口からは、あんまり言いたくないわ。けれど、彼女はああなってようやく、願いと望みを果たしたのよ」
それは、寄り添う母鯨と、イルカのような光景。
一緒に泳げるのが嬉しいとばかりに、彼らは列になって泳いでいる。
そんな彼らの後には、同じく……降下攻撃してこない黒マナティーの群れ。
群れは連動しているのか、彼らの多くが本当にただ静かに、漂っているだけなのだ。
魔女一人の犠牲で、多くの被害を減らせているのも事実。
そして魔女も……願いを果たした。
魔女は心から子どもとの再会を望んでいた、その心を踏まえれば……キースが止めなかった理由も、分からなくはないのだ。
獣将軍グラニューがギザ歯を尖らせ言う。
「だがよう、俺には分からねえよ。あの周囲に漂ってるブレイヴソウルは、本当に、あのババアの子どもなのか?」
「さあ、どうでしょうね」
「どうでしょうって、てめえな」
「だってあんた、説明しても理解しないでしょ?」
そんなことはねえと、唇を尖らせる獣将軍に負け。
はぁ……。
と、魔力チョークで浄化用の魔力増幅魔法陣自体を増幅しながら、喪服令嬢は片手間に魔力を投射。
図説を浮かべて説明してみせる。
「少なくとも子どもの魂をずっと探していた魔女がいて、そして彼女は優秀だった。少なくとも歴史に名を残せるほどの魔女だった。そんな魔女の叡智であっても、子どもの魂を呼び戻せない状態が続いていた。それっておかしいと思わない?」
「お? お、おう……」
「魔術師としてのあたしの出した答えは二つ……。一つは魂がすでに消滅しているか既に転生していて呼び出すことができなかった。けれど、この場合は消滅していることを確認はできるでしょうし、転生しているのならその反応を追うことだって彼女にはできたはず。けれどそうはならなかった。だからこの説をあたしは肯定しない。じゃあこの一つ目の答えが違うとして、次に思い浮かぶのは……生贄にされた子どもの魂は、ずっと、さまよい続けていた。この世界からは手が届かない場所、けれど異世界でもない場所。そんな狭間ともいえる場所に引っ掛かり続けていた……」
喪服令嬢は魔術理論を組み立て、グラニューに解説する。
転生召喚の生贄にされた魂。
それがたとえば、等価なモノと等価なモノの位置を入れ替える――等価交換を利用したものだとしたら。
勇者を呼ぼうとした際に生贄にされた子どもの魂は、勇者の世界に飛ばされる。けれど、術が未完成だったとしたら。
世界と世界との壁にぶつかり、失敗に終わっていたとしたら。
世界を星と見立て、世界と世界との繋がりを大気圏という名の結界と、それらを包む宇宙で表し――喪服令嬢は話を続ける。
「あくまでもあたしの仮説だけど――彼女の子どもは転生することも、消滅することもできずに次元の狭間に囚われ続けていたのよ。そしてその魂は転生できなかった水子となり、ブレイヴソウル……黒マナティー化。ずっと、漂い続けていた。本来なら、そのまま誰にも発見されることも干渉されることもなく、世界が終わるまで、ただ漂い続ける筈だった」
けれど、事態は変わった。
と、新しい図説にふてぶてしい顔の魔猫の顔を追加し。
「偶然か、あるいは必然だったのか……それは分からない。けれど、もしかしたらアレは彼らの気配に導かれてやってきたのかもしれないわね」
「アレ? なんのことだ?」
「魔猫師匠よ――もしかしたら、彼、いや、彼と言っていいのかよく分からないけど……ともあれ、魔猫師匠は黒マナティーの気配に惹かれて散歩しに来た可能性もあるって事。なにしろ世界なんて、それこそ星の数ほどあるのになんでここに来たのか。ここに不帰の迷宮なんていう不正領域を作ったのか。よく考えたら、おかしい。そんな偶然、奇跡でしかありえないでしょう?」
喪服令嬢は魔猫師匠の目的が黒マナティーにある、そう考えているのか。
だがグラニューは違った。
獣の勘がそれを否定するのか。
「考えすぎじゃねえか? 幸運値が高い存在は、そういった偶然も引き寄せやがるだろう? 豪運の連中は、都合がいいように運命を捻じ曲げちまうって研究もあるらしいじゃねえか」
「幸運ウサギの逸話ね。そういう可能性もあるけど……あたしには正直、よくわからないわ」
繋がり、連鎖している全ての流れを想像しているのだろう。
ヴェールの下で瞳を閉じて。
喪服令嬢ミーシャが言う。
「とにかく――この世界に魔猫師匠が介入したことにより、今回の負けイベとして発生する魔物がブレイヴソウルになった。結果として、名もなき魔女の子どもの魂もこの世界に顕現した。世界はわざわざ新しいブレイヴソウルを生成する必要などない、なぜならそこに、次元の狭間に既に、無数のブレイヴソウルがいるのだから――これだけの数のブレイヴソウルなのよ? 名もなき魔女の子どもの魂が含まれていたとしても、不思議じゃない。可能性としてはわりとありえることだとあたしは考える……って、人の話きいてるの? あんた……」
「お、おう? 聞いてるぜ?」
理解できてねえだけだ。
と、真顔で返す男に喪服令嬢は呆れを隠さず。
「難しい話はここまで、とにかくあたしは母子が再会できたんだって、勝手にそう思う事にするわ」
「そうか――」
「そうじゃないと、あまりにも救われないもの――彼女も、その子どもたちも」
この世界に伝わる名もなき魔女の物語。
世界を揺らした悪女の逸話。
これがその結末――人の身を捨てたとしても、最後の最後に唯一世界で愛した者たちと再び空を泳げたのなら。
そこにはまだ、救いがあったのだろうと彼女は感じたのだ。
「しっかし、大丈夫なんか? 浄化の魔術だか奇跡だかは知らねえが、全部のあいつらを輪廻の輪に戻せるわけじゃねえんだろう? 結局、どうにもできねえってことにしかみえねんだが」
「それでも――輪廻の輪に戻ることを望んでいる個体は、あるべき場所へと帰ることができるわ」
おそらく、満足して魔女も消える。
輪廻の輪に戻る。
それが聖職者による解呪。
あるべき場所へと魂を送り返す、優しい儀式。
「残された、ようするに輪廻の輪に戻る気のねえヤベエ個体はどう処理するつもりなのか、知ってんのか? ぶっちゃけ、あんなん倒す方法ねえだろう」
「――あたしは知らない。けれど、どうにかできるとは聞いている」
「はぁ!? どういうことだ?」
「知らされてないのよ――たぶん、あたしが知っちゃったら止めるようなことなんでしょうね。知っているのは、たぶんコーデリアとキース。その知恵で悟っているのはイーグレット陛下。兄さんは……どうなんでしょうね。そこまではちょっと分からないわ」
告げて喪服令嬢は手についたチョークの魔力粉を掃い。
立ち上がる。
「あたしはコーデリアを信じるわ。あの子ができると言ってできなかったことなんて、今までなかったし。彼女ができると言った以上は、本当にどうにかできるのよ」
「分からねえな。そんなに信頼できる相手を、てめえはどうして裏切ったんだ」
言われて喪服令嬢は苦笑する。
風が、ヴェールを揺らす。
正体隠しの布の下には、爛れた女の顔がある。
「本当に、どうかしてたんでしょうね――」
そこには醜い女の顔がある筈だ。
けれどグラニューは、そんな身も心も爛れた女の顔を眺めていた。
「人間って、きっと我儘なのね。一つを手に入れると、次が欲しくなる。あれさえあればそれでいい、そう思っていた筈なのに、手に入れると……その一つが色褪せて見えて。ああ、あれも欲しい、これも欲しいってどんどん手が伸びちゃうのよ」
身の丈に合ってない課金と一緒ね、と。
この世界にのめりこんだ少女だった悪女にあったのは、憂いを帯びた顔。
少女だった悪女は、天を見上げる。
「人間って、本当に欲深い生き物なんでしょうね。まあ、あたしは特にそうだったんでしょうけど。でも、人間って存在の種族の特徴であることには、たぶん、間違いない。だから……彼女が、そうならないように――次を願う、その前に。早く解呪してあげないと」
「あいつのことか?」
「ええ」
「ありやあもう、人間じゃねえだろう」
喪服令嬢もグラニューも、空に漂う名もなき魔女だったモノを眺めていた。
「魔術師じゃないあんたが知らないのも無理ないわね。鑑定に弱点が表示されるのは知ってるでしょう……?」
「ああん? まあ高レベルの鑑定アイテムとか、鑑定の使い手ならそうだって聞くが……」
「彼らに表示されている弱点がね、人間特効なのよ」
「は?」
「種族にも、邪霊の他に人間が含まれているわ」
ぶわっと獣毛を逆立てグラニューの唸りが、周囲の樹々を揺らす。
「なんで誰も口にしねえんだ!」
「言っても仕方ないからでしょうね。これから戦おうとしているあれは人間だった、或いは人間とほぼ等しいモノだって知らせて、いいことはあまりないでしょう? そもそも人間特効の武器なんて、あんまりメジャーじゃないし」
それは三千世界と恋のアプリコットの特徴か。
人間同士の戦いで、人間特効の武器があればそれ一本でどうにかなってしまう。
そういった事態を防ぐ意図もあったのだろう。
「そりゃそうだが――」
「――……あたし達は解呪の準備を。少しでも輪廻の輪に戻せるように、急ぐわよ」
異論はなかったのか。
彼らは迫りくる黒マナティーを押し返しながら、祭壇の設営。
転移を繰り返す。
解呪の準備はほぼ終わり。
創造主エイコ神による恩寵も完成。
戦いの流れは――明確に切り替わり始めていた。




