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大金を手にした捨てられ薬師が呪われたSランク冒険者に溺愛されるまで  作者: 未知香


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第34話 開店

 そうして、しばらく忙しい日々が続き、今日は薬屋を開く店舗の内装最終確認日だ。


 センスのない私は、調合スペース以外はファルシアのセンスにほぼお任せになってしまった。非常に申し訳ない。

 それでも、ファルシアがさり気なくどちらが好きか、とか色はどういうものが落ちつくか等聞いてくれて、かなり私が反映されたものになった。


 今までは特に考えた事のなかった、私自身について知ることができて不思議な心地だった。

 これは多分雇ったら高いやつだ。


 ファルシアに感謝しながら、ファルシアについていく。私の隣にはミカゲも一緒だ。


 私は隣のミカゲを見上げた。契約も残りは後2週間を切っていた。つまり、ミカゲが依頼を受けていなかったら間に合わなかったという事で、私はその事にも安心した。


「じゃあ、内装の確認をしましょう!」

「よろしくお願いします!」

「なんでお前が仕切ってるんだよ。主役はリリーだろ?」


 建物は三階建てで、もともとは貴族向けの服飾を売っているお店だったと聞いている。

 一階は店舗、二階は居住区と調合スペース、三階を倉庫とした。


 調合スペースが近ければ、何かあった時にすぐに調整が出来そうだし、休憩も取りやすそうなので、この配置にした。


「時々は見に来てたけれど、壁紙が入って大きな什器も入ると違うわよねー」


 そうファルシアが招いてくれた店舗内は、確かに今まで見ていた時と全然違っていた。


 大きなカウンターに木製の陳列棚。

 カウンターは来て頂いたお客様とゆっくり話す場合もあるかもしれないと思い、小さな椅子を何脚か並べてもらった。

 陳列棚にはポーションを置く予定だけど、ここに置くのは見本で、実際はカウンターから奥に入ったところにあるものを渡す形にしている。


 カウンターは木目が綺麗で、いい木の匂いがする。少し触ってみたら、つるつるだ。


 壁紙は確かに自分が選んだものだ。

 癒されるイメージを持ってほしくて、ミントグリーンを選んだ。それが壁の一面に貼られていて、残りは控えめな柄のクリームカラーだ。


 優しい木の色に、優しい壁紙の色。そして明るい店内。

 思った以上に華やかで、そして好みの内装だ。

 私は嬉しくなって自然と笑みが浮かんだ。


 ……わたしの、お店。

 じわじわと、本当に実感がわいてくる。


「とても、本当にとても素敵です。驚くほど素敵で、私……頑張ります。二人とも、ありがとうございました。とても、とても感謝しています」


 悲しくないのに、涙が出てくる。


「ああもう。泣かないのよ」

「リリー。これを使ってくれ」


 ファルシアが背中に手を置いて慰めてくれ、ミカゲがハンカチを出してくれた。


「ミカゲさんからハンカチとか、ぐすっ、ちょっと笑っちゃいそうです」

「なんでだよ。こんな紳士なんてなかなかいないぞ」

「紳士って、ファルシアさんみたいな人の事じゃないですか?」

「こんな女装してるやつが紳士とか普通ないだろ」

「紳士に決まってるだろう?」


 ファルシアが急に男の人の声で話したので、思わず吹き出してしまう。

 すると、二人もつられて笑い出した。


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