【Final】世界の再構成
遂に最終話です!ここまで早半年。色々あったけど最後まで書けて良かったです!
考えろ。封魔剣は何があっても抜かれるな。それを見ながら押さえつけ、そして攻撃をかわす、面倒すぎる。どうにかできないのか。考えろ。考えながら動け。
「こんな吸収速度の遅いもので我をお倒せると思っているのか?」
サイオクはまだまだ余裕そうだ。しかし、剣の吸収力はこれが限界だ。剣の吸収力は...吸収力...そうか、あれならもしかするかもしれない。いや、やってみる価値はある。
「‘漆黒の吸収’・無限之極」
剣だけでは足りないと言うのなら俺自身も吸収すえればいいんだ。俺に闇は聞かない。どれだけ吸収しても問題ない。最大火力で吸い尽くす。封魔剣が吸収してきた分も一緒に吸収してやる。
だんだんサイオクの動きが少なくなっていく。
「貴様ごと気に我が敗れるはずがないだろ」
「お前の野望は俺が代わりに果たしてやるよ。みんなが生きていられるようにしてな。そのためにお前には死んでもらう。‘魔の取り込み’」
俺の鎧が一つの靄になってサイオクを覆いこんだ。着々と闇は減っている。肉体ごと全てを取り込んで魔王の称号をもらう。今の俺ならそれができるはずだ。
俺はサイオクを完全に取り込んだ。肉体も、闇もすべてを。
「う゛っ、暴れるなよ。抑え込め」
“ネイムド〈ワコガ・リュー〉がネイムド〈サイオク・リューク〉の補色を確認。全能力の意向を確認。一部抜粋伝達。称号‘魔王’‘使役者’他を獲得。その他多数の術を獲得。ステータスが究極値に達しました”
「その声、アルウスなんだろ。見てるならこっち来て助けろよ」
「なんだ分かっていたのか」
俺の目の前にアルウスが現れて言った。
「ワコガ君?大丈夫?」
「ウィンディーか。ちょうどいい。二人とも俺の中に入れ」
「え?それって」
「宿りの契約ならもう済ませた」
ウィンディーの声がしたとたんに済ませたのだ。
宿りの契約は精霊が他種族に宿るときにしないといけない契約だ。
「契約したって。一方的にできるんだ。でも、契約しちゃったのなら仕方ないね。宿るしかないよ」
そういってウィンディーは俺の中に入った。
「うっ、さっきよりはましか?でも、アルウス、世界のためだ。お前の力を俺によこせ」
俺はうずくまりながらもアルウスを睨み訴える。
「仕方あるまい。神の憑爆なんざ普通ないのだぞ。ましてや絶対神の」
偉そうにそういってアルウスは俺の中に入ってくれた。憑爆は憑依に近いが、意識はもともとのままの状態で自由に力の行使を認めることだ。精霊の宿りみたいなものだ。それよりもさらに能力が使えるメリットがあるのだな。
「あとは、妖力で完全に全身を覆う。それで俺は完璧な存在になれる。サイオクの野望も果たせる」
俺たちが更地にしたところが白く光り輝き天高く昇る。俺もそれに合わせて少し上空に昇る。
魔王を吸収し、王位精霊が宿り、絶対神が憑爆し勇者が強力な妖力を纏ったことで俺は完ぺきな存在になれたのだ。世界を行使することができる存在になった。
「全世界に存在る生命体を解析鑑定。種族魔族の存在はなし。今戦争にて全滅したと推定、魔族の残り成分をすべて吸収......完了」
一瞬で世界中にあった魔族の血がなくなった。
「各種族剣を各種族の秘剣とする。世界の分断方法を変更。ランダム分割から十字分割への変更」
俺を中心にして十字方向に永遠と光の間部ができた。かなり薄い光の壁だ。しかしその薄さとは対照的な程なまでにエネルギーが恐縮されている。
同時に、世界中の生物が巻き上げられた。
「世界を、人間界、精霊界、妖界、神界に分断。神界を他世界と同時空へ移動」
そういうと同時に世界中に神が現れた。
「この身に残る全ての力と世界に散らばる全魔剣のエネルギーを用いて国へ気を創造。各種族の分断を開始。混血のものは純潔とし、どこかの世界へ強制送還」
その一言ですべての生き物が篩い分けられる。しかし、ストーム、ヒエリン、マリネ、セイヤの四人はワコガの前に飛ばされた。
「生き残ったのは四人だけか。ウィンディーはこの中にいる。皆は好きな世界に行くと良い。カギは仲間の印だ。人目があれば使えぬから気をつけろ」
俺がそういうと四人は俺の足元付近に下ろされた。
四方に伸びる光を覆うように分厚く、固い巨大な壁が形成された。俺の体は足からどんどん石のようになっていく。壁と同じ素材だろうか。見た目は全く同じだ。
造闇漆剣がおれの足場となる石になった。壁と全く同じ素材だ。俺は石の上に立ちって、微笑んだ。そのまま全身外資になってしまった。意識も止まってしまった。しかし、死んだ感覚ではない。生きた感覚のまま、意識だけが止まったのだ。
さよなら、セイヤっち、マリ姉、ストー、ヒエリン。
ありがとう、レイ兄、フレア、レイン、ノメルエンナ。
ごめんな、ウィンディー、アルウス。
ほかにも、これまで俺と一緒にいてくれたみんなありがとう。
そして、見ず知らずのみんな、この先、生き続けるみんなには頑張れ。
サイオク、モペ、お前らの野望はこの壁が壊れたときに果たされる。この壁はすべての世界の闇、聖光の濃度が全く同じになったときに壊れる。ばらつきがあるうちは絶対に壊れない。少しずつ、生き物の進化を待つんだ。お前らの野望はこれで果たされる。
勇者と魔王の称号を持つものが永遠の命を手に入れたのだ。もう争いは怒ることはないだろう。
勇者の俺がまさか、魔王に堕落して世界を救うなんて夢にも思わなかったな。
『最強勇者、堕落して世界を救う』おしまい。
ここまでのご愛読ありがとうございました。
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