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最強勇者、堕落して世界を救う  作者: 伍煉龍
終章:魔界編
65/70

【065】最初の戦い

【005】ですっ飛ばしたところのお話です。


決して忘れていたとかではありません。元からここで書くつもりだったので何の問題もないですよ。何の問題もないはずですよ。何か問題があるはずない。そうなるように書いてたつもり...

「覚えているか、貴様と初めて手合わせ時のことを」


 魔王サイオクは玉座に座ったまま俺に問いかけてきた。


「お前と話しに来たわけじゃない」


「覚えているか聞いている」


 サイオクは意地でも聞きたいようだ。


「ああ、覚えてるよ。忘れるわけないだろ」


 俺はしぶしぶ答えた。

 俺が勇者の称号を得るきっかけになった戦いだ。忘れるはずもない。



  ~~~~~回想~~~~~



「我は魔王〈サイオク・リューク〉だぞ。口のきき方には気をつけよ。貴様ごとき捻り潰すことぐらい容易いのだぞ」


「ま、魔王、だと、、、確かに、今の俺にお前を倒せるほどの力はあるわけもない。でも、こっから先には行かせられないよ。この先には俺の故郷の町があるんだ。町のみんなは俺が守らないといけないんだ」


 俺は魔王を目の前にしてもあまり強張らなかった。しかしなぜか足が前に出なかった。だが、攻撃のかまえは出来た。聖剣と魔剣の二本で魔王と戦うことになるとは思わなかった。しかも‘勇者’にも成れていない‘賢者’の状態だ。真っ向勝負して勝てるわけがない。相手は仮初の勇者を三人倒している魔王だぞ。


「そんな怯え腰で我に勝てると思っているのか。めでたい奴だな」


 怯え腰になるのも当然だろう。仮初とは言え‘勇者’になっても勝てるかどうかなのだから。今の俺にできる魔王を町から遠ざけて俺も町に帰る方法を考えないと。


 そんな暇を魔王が与えてくれるわけもなく俺に殴りかかってきた。俺は間一髪のところで防いだがそれでもかなりの衝撃でかなり飛ばされた。しかも足が地面にまともにつけられないタイミングで二発目の殴りに来た。さすがに二発目は防いでもささらに町に近づいてしまう。


「仕方ないか、実力見合う云々はこの際捨てるしかないな。世界に火急の申請。‘勇者’の称号を俺にくれ」


“―――申請を受理。ネイムド〈ワコガ・リュー〉が称号‘勇者’の獲得を請願。

 ―――称号の器としての素質を確認。

 満たされました。

 称号‘勇者’の存命確認を開始。

 ―――命ある称号‘勇者’を確認。

 唯一称号のため獲得が不可能です。

 火急の申請のため、代行可能な条件を検索。

 ―――取得者の命を生贄にすることで可能です。

 現取得者は現在活動見合わせ中、昏睡状態にあります。

 生贄を実行しますか?”


 いいのか?それって、俺が今の勇者の生殺与奪の権を掴まされたってことだよな?俺としては今死ぬわけにはいかない。でも、そのせいで人が死ぬのは...どうすればいいんだよ。


「もういい。やけくそだ。何でもいいから俺を勇者にしてくれ!」


“請願実行条件の承諾を確認。

 ネイムド〈マイト・リュー〉が所有している称号‘勇者’を剝奪。

 永年称号のため、個体の死を宣告...絶命しました。

 放たれた称号‘勇者’をネイムド〈ワコガ・リュー〉に譲渡。

 ネイムド〈ワコガ・リュー〉は称号‘勇者’を獲得しました。

 称号‘勇者’を獲得したことにより、ステータスが大幅に上昇しました。

 一部詠唱魔法の詠唱破棄が可能になりました”


 マイト・リュー、だと。マイトは俺の兄貴の名前だ。間違いない。昏睡状態にある勇者って兄貴のことだったのかよ。


「勇者になったからと言って我に勝てるとは限らぬぞ」


「いや、変わるね」


 俺は今にも飛びそうな意識でサイオクの攻撃を防ぐ。

 今の俺で勝つ算段なんかまったくない。つまり、俺が死なずに町を守り切れば俺の勝ちだ。


 ぶっちゃけ俺は攻撃していない。いや、できない。体力も残っていないし、実力差も当然ある。


「お前、親は殺してないみたいだな。我が配下の一人がお前の親のはずなのだがな」


「なん、だと...」


「覚えていないか。それとも知らされてないか知らないが事実だ」


 そんなこと知らない。知っていたとしても忘れてる。


「半魔の勇者って強くなれないんだぞ。知っていたか?」


「半魔?それがどうした。俺には関係ねえよ」


 俺がそういうと攻撃はぴたりとやんだ。


「お前、自分が半魔(ハーフデーモン)だってわかってないのか?」


「俺が、半魔(ハーフデーモン)、だと、、、」


 なら俺は強くなれないのか?いや、俺は他より強い。強い力を持っている。これからもまだ強くなるんだ。強くならなくちゃいけないんだ。


「面倒だ。今のお前は倒れなさそうだし変えることにしよう。だが覚えておけ。お前は近いうちに死ぬことになるからな」


 そういってサイオクはどこかへ飛び去った。

 俺も今にも崩れ落ちそうな足で町まで歩いて行った。



  ~~~~~~~~~~



 こんなこと忘れられるわけないだろ。殺されかけて、見逃されると思えば、死の宣告をされる。

 いや、その前に俺は、俺が兄貴を殺してしまったことをずっと気に病んでしまっている。俺は勇者になるべきではなかったのかもしれないと思う。でも、あの時俺が諦めていたら、世界が滅んでいたかもしれない。


「随分と長い思い出話だな、魔王」


「口の利き方を正しなさい。サイオク様に失礼だぞ」


 横からフードを被った謎の男と、モペと戦ってたはずの魔将がいる。

 まさか、モペが負けたのか?でもあいつは、いや、ああだからこうなっているのか?その考えが正しかったらあの男は、、、

 駄目だ。それしか思いつかない。モペが負けるはずないんだから。

次回、フードの男の正体がわかる!

(既にほとんど答えが出てる気がするけど)

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