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最強勇者、堕落して世界を救う  作者: 伍煉龍
終章:魔界編
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【064】弱くない?

 レイとレインは魔将一位アゼシャンと戦うことになった。


「俺の相手はたった二人か。舐められたものだな」


「別に舐めてるわけじゃないんだけどな。俺らを見くびってると痛い目見るぞ」


「フッ、それは面白い。ならその気見合い見せてみよ」


 アゼシャンは鼻で笑った。

 しかも一瞬で距離を詰められる。


『避けられない』


 レインはあまりにアゼシャンの攻撃が速すぎて死を悟ったほどだ。


 キィーーーン


「お前はなかなかやるな」


「もう仲間が死に逝くところは見たくないんでな」


 レイはアゼシャンの攻撃を防いだ。


「レイ...ありがとう」


 レインも攻撃しようとするも避けられる。距離をとられる。


「やはり遅い。まともな強さは一人だけと見た」


 アゼシャンは言った。レイのことだろう。レインは相手とすら見られていないのだろう。


「ふざけるな!」


 レインは怒り任せに剣を振るう。当然のごとくアゼシャンに弾き飛ばされる。


「俺の仲間を傷つけるやつは何が何でも殺す。殺してみせる!」


 そういいながらレイはアゼシャンに斬りかかる。


『衝動的な単純な攻撃。甘い』


 アゼシャンはレイの剣にぶつけるように剣を振るう。


「‘放水(カノン)’」


 アゼシャンの腕は見ず鉄砲のような攻撃に飲まれ飛ばされた。レインの魔法攻撃だ。

 アゼシャンはレイの攻撃をかわしてレインの方へ向かった。


「雑魚のくせにしゃしゃり出てんじゃねえよ」


 アゼシャンの剣はレインの心臓目掛けて一直線だ。


「冒険者ってのは理不尽なんだよ。どんなに辛くても、どれだけ打ちひしがれても戦わなきゃいけない。決して悪に屈してはいけないんだ」


 レインはアゼシャンの攻撃は防ぎきれなかった。

 いや、防ぎきれないとわかっていたからこそ、剣の軌道をずらしたのだ。アゼシャンの剣はレインの左肩の上ぎりぎりを通て壁に突き刺さっていた。


「生意気な...」

「生意気でも何でもいい。俺らはお前らみたいなやつから、みんなを守ってるんだ。お前らみたいな心無い、行為を知らないくそ野郎から」


 レインはアゼシャンの首下、心臓のある部分に剣を突き刺した。


「まだそんな力残っていたか」


 アゼシャンは壁から剣を引き抜いた。


「お前の相手は俺なんだろ」


 レイがアゼシャンの後ろから斬りかかる。


「邪魔するな」


 アゼシャンはレイの剣を弾き飛ばした。レイの手から抜け、少し離れたところまで飛んだ。アゼシャンの剣はそのままレイを斬ろうとしている。

 レイはその攻撃を盾で防いだ。しかし、盾は割れ、砕け散った。レイは反対側の壁まで吹き飛ばされた。


「せっかくの最期だ。お間の武器で殺してやろう」


 そういってアゼシャンな地震に突き刺さっているレインの剣を抜きだした。その瞬間、轟音と地鳴りがして、アゼシャンは口から血を吐いた。

 アゼシャンのもう一つの心臓のある位置から光り輝く剣が出てきている。魔化にいるからこそ、さらに輝いて見える。


「真直ぐ飛ぶくらい、造作もないな」


 レイだ。レイが剣を持っている。


「どうして...だって、レイの剣は、、、」


 レインはそう言いながらレイの剣が飛ばされた方を見た。そこには確かにレイの剣があった。


「これは俺に宿ってくれていた精霊だよ。武器の形をした精霊。珍しいかもしれないけど、命がある剣なんだ。だから俺はこの剣をあまり使わないようにしていた。でも、仲間がピンチなのに使わないわけにはいかないだろ」


 レイとレインは笑った。命ある武器、命ある精霊剣、剣の形をした精霊は、レイの体に入っていった。


「大丈夫?さっきすごい音したけど?」


 ヒエリンの声だ。ヒエリンとウィンディーがレイたちに追いついた。


「あ、ああ。俺が勝手に飛んだ時の音か?」


 レイが飛ばされた壁の部分、その部分の床が抜け落ちていた。


「いやー、‘石造り(ストーミング)’使っただけなんだけどな」


 ‘石造り(ストーミング)’は簡単に言うと石や岩を作る魔法だ。あまりつかわれることがないほうなのだが、今回は‘石造り(ストーミング)’を使った応用技みたいなことをした。

 空間よりも大きなものを作ろうとしたとき、その大きさになるように空間にあるモノをどかそうとする。その時にどかされるものは固定の弱いものからどかされていく。箱とかならすべての面が同時に壊れたりするらしい。

 レイは、壁と自分の間のごくわずかな隙間に巨大な岩を作ろうとしたのだ。壁や床は建物繋がっているため、乗っているだけのレイは弾き飛ばされたのだ。その勢いでアゼシャンを殺したのだとか。

 床が落ちてるのは、壊れた床では作り出された岩を支えきれなかったのだろう。


「何でもいいから回復魔法を使ってくれないか?そろそろ足の感覚鳴く理想なんだけど」


 レインは言った。どうやら、壁に背中を打ち付けたときに足の神経伝達期のに傷が張ったようだ。機能停止したものは回復魔法では治らない。少しでも機能していればなおる。

 三人はすぐに回復魔法を使った。ついでにレイも回復してもらっていた。


「何とか無事だったな」


「よかった」


「あれ?そういえばモペは?」


 レイが言った。レイたちとウィンディーたちの間に置いてきたモペだいない。他の道に行った可能性はないだろう。一本道を走るだけだ。


「まさか、負けちゃった?」


 ヒエリンが言った。


「そんなはずはない。あいつがこいつより弱いやつに負けるはずがない」


「とりあえず急ごう。リュー君にもこのこと伝えないといけないし」


「そうだな」


 四人は先へ進んだ。ちゃんとレインの剣とレイの剣を回収してから。

流石にあからさまだったかな?

モペは何してるんだろうか?

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