表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強勇者、堕落して世界を救う  作者: 伍煉龍
終章:魔界編
61/70

【061】進め

 魔界に入るには今いる草原を抜けた先にある禍々しい色の川を越えなければならないらしい。しかも、それなりに流域幅があるらしい。それはどうでもいい。簡単に飛び越えられるだろうし。


「おい、あれ!」


 レインは正面を指さした。そこには大量の魔族がいる。どれも弱そうだ。だが、尋常なないほどの数がいる。完全に足止め要因だ。


「来たぜ」

「勇者だ」

「他にもいるぞ」

「ここは絶対に通してはならない」

「俺らだけでやっちまおうぜ」


 大量の魔族が一気に突っ込んできた。どうだろ、魔族だけで百ヘクタールくらいは軽く凌駕するほど埋め尽くされてる気がするけど。間違いない。質より量で集められた奴らだ。全員雑魚だともう。


「道を開けろ」


 そういいながらレイは聖剛剣〈巨靭の聖剣(ヘビーブレード)〉を振りかぶった。

 すると、魔族たちが吹き飛んで一本の道ができた。吹き飛ばされなかったものを筆頭に俺たちに迫ってくる。道もだんだんと狭くなる。


「突っ切るぞ」


 レイは先行する。さすがにこういうことは俺にはすぐにできない。やっぱ実戦経験の差ってすごいな。俺も見習おっと。

 何とか俺らは突破したが、大量の魔族が追ってくる。大変面倒だ。


「‘地割(ガンカツ)’」


 魔族たちの足場が割れた。ストームが使った技だ。


「こいつらは俺が全員吹っ飛ばしてやる。みんな先に行け」


 序盤の主人公みたいなセリフだ。それか最初に飛び出してみんなをたきつけるだけのモブキャラか。他にもいろいろあるだろうけど、このセリフを言って生き延びる例はあまりない気がする。


炎獄(ブレイブバーン)


 炎の斬撃が飛び出す。


「何一人で格好つけようとしてんだよ。俺も残るぜ」


 フレアも残るようだ。二人ならどうにかなるだろう。時間はかかってもいい。とりあえず、あの大軍を止めてくれればいい。

 そんなこと思っていると巨大な川が目の前に広がっている。対岸までは数百メートルといったところだろうか。対岸は魔界。ちょうど川と陸の境蔵の場所に壁が張ってある。


「俺とウィンディーが飛んでいって、壁を和らげる。みんなはそのあとで来て」


「絶対に川に落ちるなよ」


 そういいながらマリネは近くに落ちてた石を川に投げ入れた。すると、シュー、っと音とともに医師が消えた。強酸性かよ。強すぎだろ。


「絶対に引っかかるなよ」


 そう言って俺は‘天翼’を使って壁の近くまで飛んで行った。ウィンディーも俺の後ろをついてくる。精霊になって常時飛べるようになったらしい。羨ましいものだ。


「どうやって和らげるの?」


「神聖魔法‘聖なる光(ライオネットライト)’」


 聖光を使って闇の濃度を下げるだけだ。入りやすいくらいまで下げれるといいんだけどな。そこまでは無理でも突破できる濃度にはする必要だある。


「そういうのでやるのね。じゃあ僕は、精霊魔法‘精界光放出(ループライト)’」


 二人係でしていてもかなりの時間がかかる。二、三分でようやく何とか通れるくらいにまでなった。


「行け」


 俺の声と同時にみんな魔界に入っていった。みんな落ちないように‘天羽’を使っている。てか、レイたちは前回どうやって入ったんだよ。

 そんなことはどうでもいいと思いながら俺たちも入っていった。


「これはこれは、盛大なお出迎えだこと」


 集められるだけの戦闘員全員集めたのか?それほどなまでに大量の魔族がうじゃうじゃしている。さっきよりも何段も強いやつばっかりだ。


「ここは我らが引き受ける」


 そういってマリネとセイヤは飛び出した。まあ確かにさっきよりも強くて、さっきよりも数がいる。賢豪二人もここで置いて行っていいものか?まあいいか。どうにかしよう。


「わかった。任せる」


 俺たちはどんどん先へ進んでいく。

 進む先には巨大な建物。おそらくあそこに残りの魔将と魔王がいるはずだ。

 残っているのは俺とレイン、レイ、モペ、ヒエリン、ウィンディーだ。六人で四体を相手にする。人員は割けても二人まで。仕方ないが、どうにかするしかない。


「ストーム君たち大丈夫かな」


 ヒエリンが心配そうに言う。


「あいつらが大丈夫だって言ったんだ。俺たちにはあいつらを信じることしかできない。仲間を信じろ」


 実に熱い一言だ。なかなか粋の良いこと言うじゃないか、レインの奴。俺が勇者なのに俺が脇役みたいな雰囲気にするのだけはやめてくれよ。


「着いたぞ」


 レイの一言でみんなの気が一気に引き締まった。


「こっから先は強敵ばかりだろうけど、気を抜かずに行くぞ」


 そういって俺たちは建物の中に入っていった。


「意外と早かったな。さて、全員死ね」


 入っていきなり殴り殺しに来た。俺らはかわす。その勢いで殴りかかってきた拳は壁も床も破壊した。素晴らしい歓迎の仕方だろう、黄泉の国への。普通にお断りします。


「ウィンディー、ヒエリン、二人に負けせていいか?ここであまり人員を割きたくない」


「分かった」「いいよ」


 二人を残して俺たちは先へ進む。追って来ようとするのはウィンディーが止めてくれる。

 さっきのは魔将三位のハクセンだった。ウィンディーは王位精霊になってフレアたちよりも強くなっているはずだ。ここは任せても問題ないだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ