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最強勇者、堕落して世界を救う  作者: 伍煉龍
第1章:帰還編
6/70

【006】償えぬ罪

投稿が遅くなってしまい、申し訳ございません。

作者の私情がなかなかまとまらず、投稿できていませんでした。

これからも頑張りますのでよろしくお願い足します。

 俺が目を覚ますと枕元にはカットフルーツが置かれていた。フルーツを食べていると親母が部屋に入ってきた。


「起きたのね。目が覚めて早々悪いんだけど残念なお知らせがあるの」


 俺は何を言われるかわかっていた。


「あなたの兄さん、〈マイト〉が死んでしまったの」


 やっぱりだ。俺が魔王を相手にするには仕方なかったのだ。


「知ってるよ。俺が殺したようなものだから。魔王と戦うために」


 俺もこの話をされることは分っていた。自分から切り出そうとしたけど口をはさむほど俺には肝が据わってなかった。


「どういう事?」


「世界が俺に言ったんだ。俺が次の、いや、今の‘勇者’だって」


 俺も兄貴が勇者だったって知ってたらこんなことしなかっただろう。知らなかったからこそ、自分がピンチだったから後先考えずにこんなことしてしまったのだろう。

 親母は流していた涙が止まった。それどころか困惑しすぎて口が全く開かなくなってしまった。


「兄貴が勇者だったんだね。魔王に、、、母さん、兄貴の中にある魔王の闇って対処できた?」


 俺は急に冷静になって騒ぎ立てた。親母もハッとしたように口を開いた。


「いや、それが今隔離してる状態でまだどうにもならないの」


「なら俺が対処するから案内して」


 俺は地下で隔離されている兄貴がいる部屋の前まで連れてきてもらった。

 部屋の前には親父もいた。


「ワコガ、起きたのか。兄さんはもう、、、」


 親父が話そうとしてきたが親母が無言で止めた。


「分かってるよ。兄貴の中にあるはずの魔王の闇を消しに来たんだ。そうじゃないと葬儀もままならな

いだろ」


 親父は俺と母親を交互に何度も見てくる。親父もかなり困惑してるのだろう。

 俺は警戒しながらもドアを開けて部屋の中に入った。

 俺が部屋に入ってる間に親母が事情を説明してくれていた。


「兄貴ごめんな。俺が魔王を相手にしたせいで」


 俺は囁くように兄貴に言って、軽く目を閉じた。

 俺は目を開けて兄貴に手をかざした。


「せめて浄化だけはさせてくれ。神聖魔法‘聖なる光(ライオネットライト)’」


 俺が魔法を使うと兄貴の体内から高密度の闇が出てきた。出てきたそばから浄化した。


『思ったよりもかなり魔力消費しすぎてしまったな』


 闇をすべて浄化し終わると俺はそのまま倒れてしまった。結局半日ほど寝込んでしまった。

 最近魔力を消費しすぎてるな。そもそも神聖魔法は魔力の消費が激しい。それを加減なしで何度も使ったたせいで俺の魔力が急激に減っていったのだろう。


 俺が目覚めたのは夜だ。

 俺が目を覚ますと家には大勢の人が来ていた。兄貴の、勇者の葬儀に出るためだろう。


「親父、なんで教えてくれてなかったんだよ、兄貴が勇者だったって」


「いや、言ってしまうとお前の勉学に支障が出るかもしれないと思ったんだ」


「そっか。悪いけど俺はもう出るよ。俺がいるのは間違ってる気がするし」


「なんでだよ。お前も家族だ。何も間違ってないだろ」


「兄貴は俺が殺したようなもんだぞ。もういいだろ、俺は行く。俺の理想を叶えるために」


 俺は淡々と言って家を出た。家の前には親母がいた。

 俺は黙って横を通り過ぎた。お互いに顔を動かさないと見えなくなるくらい離れて親母が振り返るらずに言った。


「ワコガ、あなた兄さんを殺したのは自分だと思ってるのは何で?」


「それは俺が勇者になった経緯が知りたいってことだよな。それなら俺に聞くよりもお前の上司に聞いたほうが分かるんじゃないか。少なくとも今の俺にお前たちを信じて話すってのは無理だ」


 俺は目も動かすことなく答えて歩いた。

 こんなことになるなら帰省なんてしなければよかったな。早いとこ帰還するか。

 まあ、帰還するって言ってもまだ体力に余裕がないから帰還転移の魔法は使えないか。仕方ないので歩いて帰還することにした。



 俺は何をしたらいいのか分からなくなっていた。自分が生きるために勇者を殺した。知らなかったとはいえ家族を殺した。

 夜が明けたころには俺が倒した龍のいる場所まで来た。当然のことだが動かない。

 この龍を倒してすぐに魔王が来たんだったな。いや、本当はもう少し前にもあっていたが今はそんなことはどうでもいい。魔王が来なければ勇者は、俺の兄さんは死ななかった。俺が勇者になることもなかった。


「ありがとう、名前も知らない龍。俺はお前がいたから生き延びれたんだ」


 俺は龍の頭を、抱きかかえるようにやさしく手で包んだ。


「せめて俺の中で安らかに眠ってくれ。‘聖なる吸収(マジネットイーテイン)’」


 ‘聖なる吸収(マジネットイーテイン)’は光属性系統の生命体を取り込み我が力とする魔法系スキルだ。俗に言う捕食スキルの様なものだ。

 俺が‘聖なる吸収(マジネットイーテイン)’を使うと龍は光の粒子のように細かくなって俺の体内に入ってきた。


“ネイムド〈ワコガ・リュー〉が龍の取り込みに成功。基礎能力値の大幅な上昇、並びに新規スキル/魔法を獲得。新規保有スキル‘聖光操作’‘天羽’を獲得。新規保有魔法‘完全治癒’を獲得。ネイムド〈ワコガ・リュー〉が条件を満たしました。称号‘勇者’が真なる勇者として覚醒しました。真なる勇者として覚醒したことにより禁断の禁忌魔法‘天界転移(ハピネスレイン)’を獲得。”


 能力案内だ。

 まさか龍を取り込むだけで真なる勇者に覚醒するとは思わなかった。だが、この程度のことなら勇者の称号を持っていれば容易にできるだろう。

 俺がそんなこと考えていると、空から声が聞こえてきた。


「貴様か、我が子孫を殺したのは!」

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