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最強勇者、堕落して世界を救う  作者: 伍煉龍
第6章:精霊の森編
55/70

【055】騒がしい日

 レイジーが死んだ。そのことは魔王サイオクにもすぐわかった。自身が分け与えた闇の反応が消えた。生きていれば必ずどこにいてもわかる。しかし、その反応が途切れたということはそのものの『死』を表すことになる。


「レイジー、まさかお前も負けたのか、、、」


 サイオクは目を見開いて呟いた。


「今、なんと仰いました?」


 近くにいた魔性二位のヰレアがサイオクに問いかけた。


「レイジーが死んだ。奴らがここまで来るのも時間の問題だろう」


「では、今のうちに大軍を用意しておきますか?」


「そうだな。皆に知らせて軍をかき集めよ。非戦闘員も奴らが来たら戦で出させるぞ」


「は!」


 ヰレアはスタスタと外に出て行った。


「別に我がしてもよかったのに。あいつがいたら我が暇で仕方ないな」


 ヰレアが出て行ったのを確認してからサイオクは呟いた。今絶賛暇してたところで、たまたま近くにいたヰレアと話していただけだったのだ。できたと思った仕事もすべてヰレアが済ませる。つまり、勝手に暇にされているのだ。


「というか、上位三人は何でずっとここにいるんだよ。自由にしとけと言ったら動かねえし、どこか行けと言っても行って帰ってくるだけだし。少しは雑魚どもみたいに暴れても良いのではないか?」


 そんなことをぶつぶつ言いながらサイオクは暇をもてあそんでいる。



    ~§~§~§~§~§~



「そ、それは、、、」

「さすがに、、、」


 普段通りでいいと言われて、町の精霊は困っている。これまでは格下のエルフだった。つまり完全に見下していたのだ。それが今は格上の精霊之王(キングスピリット)になっている。だれも普段通りでいいはずがないと思っているのだ。


「なあウィンディー、たぶん無理なんだと思うぞ。それは」


「そうだよ。無理言ったらダメだって」


 ストームとヒエリンは町の精霊たちの様子を見ながらウィンディーに言った。

 俺が聞いていたすぐに言ったと思う。だが、俺は今寝ている。ノメルエンナはこのことに関しては全く興味がないようだ。


「じゃ、じゃあせめて、そうゆうのやめてくれない?そういうの性に合わないと思うから」


 みんな周りの様子を見るばかりでだれも立ち上がろうとしない。


「ウィンディー、たまにはあきらめも肝心だぞ」


「いいよ。誰も聞き入れてくれないなら。‘精霊支配(スピリットユー)’僕はみんなと対等になりたい」


 ウィンディーのその一言で全員が立ち上がった。

 世界の理に少し亀裂が入った。絶対的上位に位置するはずの精霊之王が他の精霊と対等でありたいと命じたのだ。‘精霊支配(スピリットユー)’を使った命令は絶対順守される。種族間での上下関係が少しいびつな形になってしまう。精霊之王は、王位精霊の中でも上位に位置する。つまり、大半の王位精霊は普通の精霊と同じ位にまで成り下がったのだ。


「あ、やりやがった。神の権力が下がるぞ」


 ノメルエンナが呟いた。

 天使系神は王位精霊のさらに上の存在だ。下が下がれば上も下がる。悪魔系神の権力が天使系神より強くなってしまう。今は天使系の方が合強いから平穏だったが、悪魔系が強くなると世界そのものが崩壊しかねないのだ。


「無理やりだな」


 レイが言った。


「だって僕、上になんか立ちたくないもん」


「上のものとしての権力使ったけどな」


「それは、そうだけど...僕が対等になるにはこうするしかないし」


 ウィンディーは言い訳をするのようにぶつぶつといった。


「あなたは王位精霊になったのよ。無理に私たちなんかと...」

「違う。僕はみんなと一緒がいいんだ。今までもそうだった。これからもその気持ちは変わらないよ。だから、みんなにもこれまで通りでいてほしいんだ」


 ウィンディーの母、ノイジーの言葉にウィンディはかぶせるように言った。うれしそうな表情だ。それなのになぜか目だけは潤んでいるように見える。


「ところで、さっきからそこにいる方々は一体?」


「みんな僕の仲間だよ。言ったでしょ、友達連れて帰るって」


 問いかけた男、ウィンディーの父、サウンズは何も動かなくなった。多分思考も止まっている。それくらいに微動だにしない。


 俺たちはなぜかみんなの前で自己紹介させられることになった。そしてなぜか俺が最後。いや、俺というより今はノメルエンナだから自己紹介とかどうなるんだよ。


 ついに俺の、ノメルエンナの番になってしまった。


「僕はノメルエンナ。そんでこの体がワコガ。僕が憑依転生したんだけど、今この体の魂気絶してるから僕が勝手にやってるだけだから起きたときにまた聞いて」


 ノメルエンナはあっさりと終らせた。何も間違ったことは言っていないが、シャイなのか、ものすごく陰キャ感がにじみ出ていた。


 ノメルエンナの声は誰にも届いていないのかと思うほどに静まり返った。しかし、みんなはっきりと聞こえていた。誰も何も言えなくなったのだろう。無言の時間が数秒続いた。


「ま、まあ、大丈夫だよ。みんな僕の信用できる仲間だからさ。みんなにも歓迎してほしいし。それに、もうすぐリュー君の誕生日だからみんなで祝ってあげようよ。僕を助けてくれた勇者なんだ」


 ウィンディーが場を和まそうとしていった。


「?リュー君?誰の事?」


 ノイジーがウィンディーに問いかけた。


「え?あ、ごめん、ごめん。ワコガ君のことだよ。普段はリュー君って呼んでたからつい」


 みんなクスリと笑った。

早く終章に入りたいのに、なかなかこの章が終わりを迎えてくれそうにないのですが?

でも、百話かくならもう少し伸ばした方がいいのか?

葛藤してたら長々と書いてしまっている...

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