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最強勇者、堕落して世界を救う  作者: 伍煉龍
第5章:神宮編
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【048】本気の末に

 俺は祝福の聖剣(ハーピーブレード)を鞘にしまった。


「本気の俺がどこまで戦えるのか知らねえけど、やるだけやってみるか。来い造闇漆剣(ダーネックブレード)。目覚めろ魔族体(デーモンフォーム)


 俺は魔剣を取り出し、魔族体になった。今回はしっかりと自我が残っている。だが、造闇漆剣(ダーネックブレード)封魔剣(チェッダーソード)を同時に持つことによる靄は相変わらず体に負荷がかかる。


「お前それどういう状況だ?」


「半魔の真体とよくわからないけどこの二本は一緒に使うといつもこうなる。動きにくいけど威力が桁違いに強くなるんだよ。魔族体ならどうにかなると思ったけど無理だったみたいだな」


 俺は軋むような体を無理やりに動かして間合いを詰めた。俺も予想外の速度に驚いた。少し踏み込んだだけなのに一瞬でルーサーの背後まで移動していた。

 動きは早いが動きにくい。何一つルーサーを傷つけることができなかった。


「それ不安定なんだろ。どうにかできないのか?」


「知らねえよ。これ使うときはいつも後ろにだれかおいてる。しまえば解決するけど、こいつは、倒せなくなるだろうな」


「なら粘ってろ。私がその対策とやらを考えてやる」


 ルーサーの攻撃は簡単に避けられるようになった。少しずつではあるが攻撃も掠めるようになってきた。

 お互いまともに攻撃が当たらないままかなり時間がたっていた。


「ワコガ、お前妖力使えるだろ。妖力でその靄はどうにかなると思うぞ。おそらく光も闇も魔素に反応してるんだ。少しずつ妖力に代えていけばいつか安定するはずだ」


 俺はいったんルーサーと距離をとった。そしても闇妖力を流し込んでいった。すると靄が鎧のようになっていった。闇だった部分は霞がかった紫に、聖光だった部分はほとんど黄色に近いような黄緑色になっている。


「お、一気に軽くなった。これだったら余裕で体動かせるぞ」


「だったらさっさとあいつを倒せ。‘究極化(アルティメット)’の効果がきれるぞ」


「分かったよ」


 俺はルーサーの足元まで移動した。


「少し動けるようになっても私に勝てるわけないだろう」


 俺は思いっきり殴りつぶされそうになった。しかし、俺はその腕を肘あたりまで斬って頭上から背中に回った。

 着地前に殴り飛ばされそうになったが、俺は腕に乗って首の近くまで移動した。


「今までご苦労さん。神聖魔法‘聖光斬撃ライオネットクラッシュ’。暗黒魔法‘闇濃斬撃(ダーノウンブレイク)’。死にな」


 俺はルーサーの首が完全に外れるまで何度も斬った。


「こいつに慈悲はいらんな」


 俺はルーサーの顔を睨みながら言った。


「フッ。やはりお前はノメルエンナだな」


 アルウスが笑い気味に言った。


「そうなのか?俺の様子がおかしいのもそのせいなのかもな」


「確かめてみるか。今から魂の開眼(こんがん)させるか」


「いや、その前にエイジのところに行かねえと。邪神倒したら[神々の祝福]受けさせてくれるらしいし」


「そうか。なら、私も一緒に行こう。どちらもすぐに終わる戯事見た今のもんだ」


 そう言ってアルウスは俺と一緒にエイジの部屋に行くことになった。



「エイジ、元気してるか?」


 エイジの部屋に着くなりアルウスは陽気に言った。


「ア、アルウス様⁉なぜこのようなところに」


 エイジは急いで部屋中を片付けだした。


「片付けなんざ好きな時にすれば良い。それよりさっさとワコガに祝福の加護を与えろ。魂の開眼(こんがん)よりもこっちからだとか言いやがったのでな」


「どっちからでもいいからさっさと終わらせてくれよ。みんなどこかで待ってるんだから」


 エイジが俺にとびかかってきた。


「貴様、アルウス様になんて口の利き方してやがる。消してやろうか」


「エイジ、ワコガはノメルエンナの魂も宿してるんだろう。それを目覚めさせる前にお前が祝福をしろと言っているんだ」


「ならば...」


「魂が起きてなくてもあるだけで作用する。太古の魂とはそういうものだ」


「分かりましたよ」


 エイジは俺の心臓近くに手をかざした。


「この度覚醒しせし勇者に我ら不可説超えしとの神種よりこの者に我らが加護あらむとしこの祝福を受け渡そうぞ、さすればかの者に宿りし信念、思惑、願い全てを導かんと力とならむ」


 エイジの言葉で俺の中に莫大なエネルギーが流れ込んでくる感覚がした。


「終わったようだな」


「はい。祝福はこれで終わりになります。あとは煮るなり焼くなりお好きにしてください」


「おい、俺を殺す気かよ」


「お前が死のうが俺には関係ねえよ」


 エイジはそう言って自分の仕事に戻っていった。


「安心しろ私がするのは魂の開眼(こんがん)だ」


 そういってアルウスは俺の心臓付近に手を当てた。


「眠りにつきしかの根源を再び開放させむ」


 アルウスの言葉で俺の意識は眠りについた。


「アルウス、僕は今まで何してたんだい?」


「よし、起きたな。ずっと魂の中で眠ってた馬鹿勇者。さっさと体の持ち主に変われ」


「そうか。僕は転生したんだ。まさか憑依転生になるとは思いもしなかったよ」


「ノメルエンナ、さっさとしろ。そいつ急いでるみたいだからよ」


「分かったよ」


 俺は息を吹き返したかのように意識が戻った。


「今一瞬意識が、、、」


「どうやらうまくいったみたいだな。待ってるやつがいるならさっさと行ってやれ。‘天界転移(ハピネスレイン)’で帰れるぞ」


「そうなのか。じゃあ俺はもう帰ることにするよ」


「ん。これは相当まずいな」


 仕事をしていたエイジが言った。


「何かあったのか?」


「魔将が精霊の森にいる。何人かの冒険者が戦ってるみたいだけどヤバそうだぞ」


「じゃあ、次はそこに行けばいいんだな」


「疲れてるなら無理するなよ。死ぬくらいなら取り逃がしてもいいから追い払え」


「そんなへまはしねえよ。じゃあな。‘天界転移(ハピネスレイン)’」



 俺はマリネの故郷に戻ってきた。

第5章完結!

次回からは【第6章:精霊の森編】!物語はすでに終章に向かって傾きだしている。



※なんとなく予告っぽくしてみたくなった。



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