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最強勇者、堕落して世界を救う  作者: 伍煉龍
第1章:帰還編
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【004】神獣と魔剣

[]:詠唱

「貴様、いくら再生能力があってもこの高さでは死んでしまうぞ」


 確かに雲よりも高い位置から地面まで落ちたら普通に死ぬだろうな。そんな考えなしで降りるほど俺も馬鹿ではない。さすがに神の使いの神獣だ、俺が下りたらしっかりと着いて来る。


「なあ、曇って水とか氷みたいな水分が主成分なのは知ってるよな」


「当たり前であろう」


 常識的な質問に龍は即答した。それになぜか切れ気味だ。よっぽど俺の行動に腹を立てているのだろう。闇を集めると思えば急に落ちていったから当然だろう。


「じゃあ、箔氷系魔法も知ってるよな」


 俺は足元まで迫っていた雲に薄氷系魔法を使って凍らせて足場にした。そして疾風魔法で龍よりも高い位置まで跳躍した。


「聖剣に暗黒魔法は意味ないが、闇をまとえば話は違う。闇に残留させせるほどに魔力を流せば暗黒魔法は発動できる」


 聖剣には闇属性系の魔法をまとわすことは本来は出来ない。闇を近づけると浄化しようとする。だが浄化速度はそこまで早くはない。つまり大量に闇をまとわせると浄化に時間がかかる。そしてその闇に魔法を行使するとどんな属性でもまとわせられる。


「詠唱魔法、[深淵ヨリ舞イ上ラン、漆黒之闇之恩恵ヲ授カラム‘深淵暗黒極(ボークダークネス)’]。これが知恵高き人間(いきもの)の戦い方だ」


 龍がガードする前に俺の刃が竜の胴体に届いた。しかし、切り落せるわけもなくそのまま地面まで押し倒すように叩きつけた。切り落とすことはできなかったが傷をつけることはできた。しかし地面に着くなり俺は早々に弾き飛ばされた。そのまま龍は少し飛んだ。


「貴様、童とここまで戦えるとはなかなかな実力があることは認めてやろう。神獣の本気の力見せてやろう」


 さっきまでよりも闘気(けはい)が強くなった。それに紛れて少し感じ取りずらいが後ろのほうからも強い闘気(けはい)を感じる。しかし、龍のほうが闘気(けはい)が強くて後ろのほうの気配がはっきりとは読み取れない。


「神獣様が降ってきたと思って駆けつけてみればお前何したんだよ。ワコガ」


 久しぶりの声が後ろから聞こえた。俺は思わずにやけてしまった。確かに俺が町を出てからもう四日が経過している。本来なら二、三日で着くはずなのに色々あって倒れてたからな。そのせいか親父が来てしまった。


「親父悪い、俺が昼寝してたらこいつが喧嘩吹っ掛けてきやがったからちょっと今手が離せなくてよ」


「お前の悪いとこだな、そういうところ。学園トップが最速で死んだんじゃ笑えないぞ」


 確かにそれは笑えない。でも俺は死ぬような喧嘩に首を突っ込むほど馬鹿じゃない。でもさすがに神獣をなめていたのは確かだ。本来なら今の一撃で行動不能ぐらいにはしたかったけど想像以上に硬かった。


「親父って確か魔剣持ってたよな。貸してくれよ」


 親父は俺のほうを睨み付けた。そして大きなため息をついた。


「お前本気で神獣様を倒すつもりか?」


「親父の魔剣さえあれば、相手が神獣でも関係ないよ」


 親父が驚いたような口調で答えたが、俺は満面の笑みを浮かべて答えた。


「まったく、誰に似たか知んないけどほらよ、お前に使いこなせるかな」


 親父の陰から一本の剣が出てきた。普通の剣よりも少しいびつな形をしており、峰の部分が少しえぐれているような形だ。


「確か親父の魔剣の特性って‘闇放出(ダークネスケイム)’だったよね」


「そうだけど何で覚えてんだよ」


 俺は少し笑って龍の真下まで移動した。聖剣と魔剣を両手に一本ずつ持っているのは傍から見れば異様な光景だろう。しかも聖剣には闇が纏わりついている。


「親父、今の俺の力見せてやるよ。魔法陣型魔法展開‘闇の牢獄(ダークネスゲート)’」


 紫色の魔法陣が展開されそこから闇と魔力でできたような鎖が何本も螺旋状に上空に上って行き壁のようになった。

 龍は鎖を壊そうと攻撃するも全然壊れない。少し綻ぶ箇所もあったがすぐに修復された。


「どうするこの檻の中はどんどん闇で満ちていくぞ。早くしないとお前は弱り果て朽ちるだろうな」


 龍は鎖を壊そうとするのをやめ、俺に頭から突っ込んできた。確かに俺を殺せば必然的に魔力供給が止まり魔法は解除される。


「なあ、俺の聖剣ちゃんと見てるか?」


 俺聖剣にはすでに高密度の闇がためこまれている。檻の中に発生する闇、魔剣の特性で生じささせた闇がかなり聖剣に凝縮されて集められている。

 俺は聖剣の剣先を龍のほうに向けた。


「さてこの量の闇を一気にくらったら神獣はどうなるのかな」


 俺は龍にも親父にも聞こえるほど大きな声で言って剣にたまっていた闇をすべて開放して龍に向かって放出した。

 聖剣にたまっていたほとんどの闇を放出した俺は龍の胴体の真ん中あたりまで跳んだ。


「これで終わりだな。詠唱魔法、[深淵ヨリ舞イ上ラン、漆黒之闇之恩恵ヲ授カラム‘深淵暗黒極(ボークダークネス)’]」


 魔剣で闇を放出しながら龍の胴体を真っ二つに斬った。


 俺は地面に着いて魔法陣を解除した。


「神聖魔法‘聖なる光の仮初(マジネットライト)’」


 闇を浄化する魔法を使って周囲の闇を消した。俺は親父の元に戻って魔剣を返しに行った。


「ありがとう、助かったよ」


「その剣やるよ。聖剣と魔剣を使いこなせる奴なんてそうそういないしな。それにお前は普通の人間とは違うからな」


聖剣と魔剣の説明

・聖剣:聖なる光と魔力が合わさってできた剣。闇を浄化する力を持っている。

・魔剣:闇と魔力が合わさってできた剣。剣ごとに特性が付与されている。

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