【027】訓練の合間
一日がなかなか終わらない...
「オリジン、魔界って確か全体が壁で覆われているんだったよな」
「いかにも。神獣でも近寄りたがる者はいないぞ」
神獣は他の生物よりも魔素量が多いんだよな。それで行きたがらないってことはよっぽど強力なのだろう。
「そんなにか」
「まあ、お前なら大丈夫だろうがな」
「どういうことだ?」
俺は眼光鋭くして聞いた。
「まあ、いずれわかることだ。さきに言っておいて損はないだろう」
全員息を吞んだ。
「ワコガ、貴様は半魔だ」
その一言で気の揺らぐ音すらなくなり静まり返って無音の時間が続いた。
「知ってるよ。俺の母さんが魔族なんだろ。それくらいは...」
「いや、お前の両親が半魔なんだ。現にお前の兄は人間だった」
半魔は人間と魔族の間に生まれた者のことを指す。正確に言うと人間と魔族の血を半分ずつ受け継いだ者のことだ。半魔の子どもは純潔か半分、希に半半分になる。
「えっ、それなのに、、、」
「ワコガ、お前知ってたのか、半魔だって」
俺は少し返事をするのにためらった。
「いや知っていたというか、俺が知ったのも学園卒業してからだけど」
「そっか」
「で、でも、ワコガ君からは全然魔族の気配がしないよ?半魔でも魔族も気配はするものじゃないの」
「擬態状態の魔族や半魔は気配を察知されにくいからな。半魔は生まれえたときから擬態状態になってるから真体に覚醒するまで知らない奴も多いらしいけどな」
「そうなんだ」
俺も自分が半魔だと聞かされるまでは知らなかった。親も魔族の血が混ざっていることを勘づかせなかった。どちらも魔族の血が混ざっていないかのように接していたしな。
「まあ、そんなことはどうでもいいとして、特訓続けようぜ」
俺は静まり帰った気まずい雰囲気を振り払うように言った。
「そうだな。そのためにここに来てたんだし」
少し間が相手からレイが答えた。みんなも少し表情を曇らせながら頷いた。
「伝説の存在か。ようやくこの世界に平和が訪れるのやも知れぬな」
オリジンがぼそりと呟いた。
「『伝説の存在』?何の伝説だ?」
俺はオリジンに何のためらいもなく聞いた。
「聞かされていないのか?『世界平和伝説』を」
俺たちはみんな表情を見合った。誰もわからないといった表情だ。
「その様子だと知らぬようだな。しかたない、『世界平和伝説』について教えてやろう」
オリジンが話し始めようとしたら後ろから声がした。
「ワコガ君少しいいかな」
不意に後ろから声がした。
振り返ると学園長が立っていた。オリジンを見ても何とも思っていないようだ。
「学園長!?どうかされましたか?」
「いやね、明日の授業で臨時教師を頼まれてくれないかい?」
「突然ですね。何かあったんですか?」
特に断る理由もないが特別大変なことはあまりしたくない。仕事内容によっては検討したい。
「ただ、実技のお手本とか指導の手伝いをしてほしいんだ」
「そんなことなら全然付き合いますよ」
「本当かい、ありがとね。それと、もう夕暮れだよ。もうすぐ夕食になると思うからそのつもりでいてね」
「「「「はい!」」」」
俺達は元気の満ちた声で返事をした。学園長は校舎のほうに戻って行った。
授業か。どの学年を担当することになるのかな。
俺はそんな言を考えていた。
「『世界平和伝説』については明日話すことにしようか。話せば長くなるだろう」
「分かった。じゃあ、今日はこの辺で終わらせるか」
「そうだな。初日からギアを上げすぎてもなんだしな」
俺たちは学園長が呼びに来るのを待つことにした。
俺たちは待ってる間、レイたちの昔話を聞いていた。俺の兄、勇者マイトと一緒に戦ってきたことについいてだ。これで少しでも俺の記憶が戻ればいいと微かに思っていたが、悲しくも世の中それほど甘くはない。何も思い出せなかった。
そもそも十年以上も前の話だ。思い出したところで何があるというわけではない。
それでも知っておきたかったのだ。自分自身の失った過去を、忘れてしまった兄という存在を。
「みんな、夕食にしようか」
学園長が呼びに来た。
俺たちはすぐに食堂に向かった。
「今日はもう使わないのかい?」
「はい。これから少しずつ厳しくなっていくと思うので」
「そうか。じゃあ、食事が終わたっらお風呂に入りたまえ。みんなの訓練は学生に比べられないほど大変だろうからな」
学園長も元々は冒険者だったらしい。
後世への教育としてギルドから指導者として引き抜かれたらしい。
俺たちは夕食をとって風呂に入った。風呂は職員寮のほうに入らせてもらった。
学生とは会わないようにされいる。会って困るものではないが、変に好意を持たれると授業のほうに支障が出るからだろう。
寝室も職員寮の空き部屋を借りた。
ここまで待遇良くされると少し申し訳なくなってしまう。その分、訓練に力が入るといったところか。
翌朝、俺達は学生が学校に行ってから朝食をとった。正直に言うとみんなそれまで寝ていた。
俺たちは食事が終わると学園長に呼ばれた。
「みんなには四年生の授業を見てもらいたいんだ」
四年生か。四年生だと剣技の中上級の授業だったはずだ。確かに上級は簡単に使えるものじゃないからな。現役冒険者なら使うことがあるから呼ぶ相手としては正しいのか。
『ん?四年って確か、、、あの子いた気がするけど、わざとなのか?』
「わかりました。学園長はご存じですよね、あの子のこと」
「あの子?ああ、あの子か。もちろんさ。そのことも含めて君に頼んでみたかったんだ」
はめられた。
そんな気がしながらも東広間に向かった。比較的災害の影響が少なったらしく、今の実技授業は全部東広間でやってるらしい。
少し投稿頻度下がるかもです。
少なくとも毎週投稿一話以上は投稿するようにします。