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最強勇者、堕落して世界を救う  作者: 伍煉龍
第3章:王都第一学園編
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【022】特訓開始

第三章開幕!


 王都第一学園。サイトタウンの南西部に位置する。俺が卒業した〈サイト学園〉は王都第一学園の管理下にある。サイト学園に通うのは街に住んでいない人が通う場所だ。学習内容は同じだが、通いたい人が国内外から多いのでそのように分けられているらしい。成績順位は両方総合して数えられる。学園長は両方一人数ついて、総学長が両方の学園を総括している。



 俺達は朝食をとると自分の荷物をまとめて王都第一学園に移動した。メンバーは、俺とレイ、セイヤ、マリネ、〈主要五要素(ナチュラルタイプ)〉の五人に加えモペもついてきて合計十人だ。


 学園の前まで行くと学園長が俺たちを出迎えてくれていた。


「来たみたいだね。それで全員かい?」


「はい、この十人だけです」


「それじゃあ行こうか」


 俺たちは学園長に連れられて学園内に入った。俺たちは北広場に連れていかれた。

 北広場には障害物や沼地などもある。だが、最初に目に留まるのは大きな闘技場だろう。ここで学生が剣技大家や魔術大会などにを催してる。まあ、俺は両方優勝経験があるがな。


「ここを好きに使ってもらって構わない。この前のことで地面を張り替えたからまだ固まっていないかもしれないが、君らの特訓で使う分には問題ないだろう」


「いいんですか。北広間って授業で使うこと多くないんですか」


「そうなんだけど地面が固まらないと授業では使えないんだよ。生徒が怪我をするかもしれないからね」


 確かに足場が悪いほうが危険なことは多いが、実戦では安定した足場に当たらないことも多々ある。まあ、教育上安全な場所でするべきなのだろう。


「なるほど。確かに俺たちが使えば固まるかもしれませんが、地形が不安定になるかもしれませんよ」


「それくらいなら大丈夫だよ。完全な平地何てあまりないかね」


 不安定な地形はよくて緩い地面はダメなのか。教育機構ってなかなか大変なんだな。


「まあ、抉れない程度には気をつけますね」


「ああ、頼むよ。それと闘技場とそこの沼地も使ってもらっても構わないよ」


 そう言って学園長は校舎のほうに行った。



「よし、じゃあとりあえず走り込みから行くか。このコロシアムは周回約一キロだから、十周くらいしてみるか」


「十キロなんて走ったことないよ」


「ヒエリン、お前は近接じゃなくて中遠距離型魔術師だろ。素早く距離を取れるようにしないといけないだろ。最初は辛いかもしれないけど慣れるまで走りこむぞ」


 近距離型魔術師であっても素早い行動がとれないと以前のような災害に遭遇したときに助けられる命を助けられなくなってしまうかもしれない。冒険者の使命は戦えない一般市民を助けることが最優先である。災害の際には身動きの取れない一般市民を避難所まで運ぶことも担う必要がある。

 何をするにしても体力が必要なことだ。魔術師であっても足を引っ張るだけだ。


「もう、分かったよ」


「それじゃあ行くか」



 大体一時間くらいだろうか、俺達は十周走り終えた。最初嫌がってたヒエリンも俺達にしがみついてきた。さすがにこの後すぐに動かすのは酷だな。


「レイ、レイン二人とも剣を抜け」


「え?」「いいの?」


「ああ、早くしろ」


 二人は剣を抜いた。俺も封魔剣(チェッダーソード)祝福の聖剣(ハーピーブレード)を取り出した。


「よし、二人とも相手してやる。好きなところから攻撃してこい」


 一気にその場が凍り付いた。二人も剣を持ったまま硬直した。


「一人ずつが良かったら一人ずつつでもいいが、それだと時間かからないか」


「じゃ、じゃあ、一人でやろうかな」


 レイが大見えきって言った。


「じゃあやるか、お前はそろそろ進化できそうだもんな。加減は常識の範囲でしろよ」


「それはこっちのセリフだよ」


 そう言いながらレイは俺に剣を振り下ろした。俺はギリギリのところで剣をかわした。


「あのな、実戦形式だとお前に分があるんだよ。俺は対人型の経験はお前より劣るんだよ」


「そうは言っても加減したら負けちゃうじゃん」


 訓練に勝ち負けを持ってきたらそれは訓練と言えるのか。いくら俺が勇者だからって中堅冒険者、ましてや賢者の攻撃をもろに受けたら死にかねない。レイが本気で俺を殺そうと思えば殺せるだろう。実戦経験に勝る訓練法はない。


「そんなに勝ち負けにこだわりたいなら手っ取り早く終わらせるか」


 そう言って俺はレイと距離を詰めた。俺は剣の持ち手部分でレイの鳩尾辺りを殴った。だがさすがは守護者(タンカー)だ。少し後ろに飛ばされたぐらいでびくともしない。これだと俺の勝ち目はあまりないかもしれないな。


「今の攻撃で勝つつもりだったのか」


「お前もお前でタフだな。結構本気で殴ったつもりだったんだけどな」


「俺は物理攻撃には耐性があるからな。そう簡単には倒れないぜ」


 物理攻撃耐性か。それなら物理攻撃よりも魔道攻撃のほうが有効打をつけるのか。そもそも魔法のコントロールは俺の苦手分野の一つだ。魔術大会で大技を使おうとしたらちょっと魔力を流しすぎて観客全員が避難したのは今となってはいい思い出だ。


「よし、分かった。レイはもういい。次はだれが俺と遊ぶ」


 俺はみんなのほうに振りかえて言った。

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