【021】街の復興
第二章最終話!
いつもより気持ち文字数多めになった。
翌日も、その翌日も、俺達は仮設作業をしていた。
そして一週間後、ようやく仮設作業が終わった。仮設作業が終わった翌日、一般市民はギルド会館から仮設居住区に移動してもらった。
「こっちのほうから一軒ずつ建てていくぞ」
仮設居住区建ててた時に指揮をとっていた男が引き続き指揮をとっていた。
「いや、建てるのは工房とかだけでいい。普通の家なら俺が魔法で作ってやるよ」
「いや、そんな魔法なんてあるわけ...」
「俺が作った。作るのに一週間もかかってしまったけどな」
家なんて造ったことないし、知識もない。作った術式で生成される建造物の状態を解析して、異常がなくなるまで微調整を続けていたら一週間もかかってしまった。
「どこに家を何軒建てればいい」
「とりあえず、この北東エリアは枠で区切ってる。広い場所以外は全部一般の家を建てるつもりだったが、とりあえずここに一つ立ててみろ。確認する」
「わかった。術式構築、創造魔法‘家建築’」
俺は言われた場所に一軒試しに造ってみた。男は外を一周して中を一通り見て戻ってきた。
「よし、申し分ないだろう。それじゃあ、これをこの枠と同じ大きさの枠の場所に建てて気くれ」
「まかせとけ。瓦礫はどうしとけばいいんだ?」
「適当に集めといてくれればいい」
「わかった」
俺は街の角から家を造り始めた。
にしてもこの魔法は発動に少し時間かかる上、消費魔力が多すぎる。一日に五百軒造れたらいいくらいかもしれないな。
まあ、俺が全部立てれたら百日で終わる。それに加えて、途中からは他の建築連中も混ざるだろうからもっと早く終わるはずだ。
月日は流れ、市民全員が家に入れるだけ作ることはできた。
しかし、集めるだけ集めてた瓦礫が山のように積まれている。そのせいで南西の一角に建物が建てられない。市民はすでに新しく作った家のほうに住んでいる。
魂れだけの瓦礫を一気に配にしようとしたら絶対に周りの家に燃え広がりかねない。だからと言ってス故実配にするには手間がかかりすぎる。
「何も考えずに溜めこむとこういうことになるんだな」
「邪魔なら消せばいいじゃん」
みんな瓦礫をどうするか話し合っていたが、別にそれほど騒ぐようなものではないと思う。
俺が口を挟むと全員が静まり返って俺のほうを向いた。俺は前に出て瓦礫の山に手を当てた。
「燃やすなよ」
「腐食もだめだからな」
後ろから当たり前のように罵声を浴びせてきた。まだ瓦礫に右手が触れただけだというのに気の早い奴らだな。
「周囲に影響は与えないから黙ってみてろ」
俺は手から黒い靄のようなものを出した。闇ではないし、人体に影響物でるものでもない。
「お前、それって、、、」
「お前一体何者なんだ」
さっき俺に罵声を浴びせてきた奴らが一番驚いている。他の冒険者たちは周りの冒険者の顔色を見合っている。ぱっと見は闇に似ているので慌てるのは無理もない。
「そろそろ頃合いかな」
俺の手から出ている靄が瓦礫を包み込むように広がっている。
「‘全圧縮’」
半分程度しか包み込めていなかった靄が一気に瓦礫全体を包み込み、ビー玉くらいの大きさまで圧縮された。俺はそのまま拳の中で灰にした。
「よし、これで瓦礫問題も解決だな」
「いや、そんなことどうでもいい。なんで新人が‘全圧縮’なんて使えてんだよ」
確かに‘全圧縮’は行使困難な技の一つだ。だからと言って俺が優者だと明かすともっと反感を買うことになりそうだ。どうやって言い訳するのがいいのだろうか。
「ワコガ、ちょっといいか」
「ああ、すぐ行く」
ちょどよくレインに呼ばれた。俺はその場を後にしてレインのほうに行こうとした。
「待てよ、まだ説明してもらってないぞ」
男は俺の前で両手を広げて道をふさいだ。俺は男の頭上を飛び越えてレインのほうに行った。
男は俺を見ようともせずその場で立ち呆けていた。
「大丈夫なのか、なんか話してたみたいだけど」
「ああ、あいつが一方的に言いがってきただけだ。気にすることはない。それで、何かあったのか」
「いや、これから山菜の採取に行くからワコガにも手伝ってもらおうと思って」
山菜採取は俺が魔力切れぎりぎりになるまで家を建てた後で手伝っていた作業の一つだ。畑作業とか言われなくてよかった。多分今回の作業で一番楽なのが山菜採取だと思う。山や森に行って適当に食べれるものを適当に採取するだけでいい簡単な仕事だ。
まあ、他国から食料を買ったりもしているのでそこまで大量に必要ってわけではない。それでも、不足することがあるので備蓄するに越したことはないわけだ。
俺たちがギルド会館に帰ってきたのは夕暮れだ。集めた山菜はギルドに渡して俺たちの今日の分の仕事は終わった。これだけの仕事でも毎日、一般的な冒険者の初任給よりも高い収益が得られる。多発してもらっては困るが、これほどおいしい仕事はないと言っても過言ではないだろう。
ギルドに帰ってくると俺たちは風呂に入り、食堂で夕食をとった。その後はいつもみんなとホールで話すことが多い。特にこれといった話をするわけでもなく、ただ今日あったことを話すことが多い。とはいえ、それも今日までだ。ギルドが部屋を提供してくれるのが今日までなのだ。
「ワコガ君、久しぶりだね」
「が、学園長、なんでここに」
「ここに君がいると聞いてね、君には助けてもらってばかりだったからね。少しでも役に立てることがないかと聞きに来たんだ」
今欲しいのはやっぱり装備か。いや、でもそんな高価なものをねだるのも失礼か。
「では、学園の中央広間をしばらくの間お借りしてもいいですか?これからレインたちの特訓に付き合うのに場所が無くて」
「そんなので良ければ好きなだけ使って行け。なんなら夜寝る部屋も貸してやるよ」
学園長は満面の笑みで引き受けてくれた。それに宿の確保も不要ときた。こんなありがたい話はない。その日はそのまま学園長は帰ってしまった。またあの学園に足を運べるのか。色々あったけど、やっぱ卒業してから入る学び舎ってのはロマンがありそうだな。
次回から、第三章【王都第一学園編】始動!
しばらく投稿期間が開くかもしれません
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