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最強勇者、堕落して世界を救う  作者: 伍煉龍
第2章:サイトタウン編
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【019】冒険者集会(ムーブメントホール)

「今回は『今回の災害による被害』について話し合います。

 現在の被害状況この場で共有したいと思います。

 死者三千七百四十二名、意識不明または重体五千三百四十六名、重傷者二万五千七百九十八名、軽症者三万二千五百八十四名、無傷で済んだのは一千二百八十九名です」


「それの集計結果は一般市民だけだよな」


「え、ええ。そうですけど」


 俺は壁にもたれかかりながら聞いた。もう歩く気力すら残っていなのだ。


「じゃあ先に集計するか」


「いやでも...」


冒険班(パーティー)〈|共戦の仲《レインインフィニティ―》〉六人のうち三名、魔族との交戦により戦死、重傷者二名。冒険班(パーティー)主要五要素(ナチュラルタイプ)〉魔族との交戦により一名が肋を数本骨折、二名が軽度の頭蓋骨損傷。どちらも少し休めば治るほどのものだ。他に冒険者への被害を知る者は」


 俺が言うと一瞬空気が静まり返った。


「お、おい、〈|共戦の仲《レインインフィニティ―》〉のメンバーの半数が死んだって本当か」


 一人の男が立ち上がって言った。元勇者の冒険班(パーティー)メンバーだと知っているようなはやさで反応した。表情もそれなりに知っているような表情をしている。


「ああ、クロト、カナタ、ハクジの三人だ。三人とも優秀な賢者だったが、十大魔将相手には太刀打ちできなかった。」


 レイが立ち上がって言った。その場にいた全冒険者が静かに声を上げて驚いた。どちらかというと静かに騒いでいるような感じだ。近くにいる他の冒険者と話している。


「静かに、お気持ちはわかりますが冒険者集会(ムーブメントホール)中です」


 クリスチャートは冷静にその場を収めた。さすがは名の広い冒険班(パーティー)のリーダーだ。普通ならできないようなことを簡単に成し遂げる。

 とはいえ実力で言えばレイたちと同等位だ。


「お前は驚かないんだな」


「まさか。俺よりも、十大魔将は今どうなってるんです」


「ここに来た三体の魔将は全員倒したぞ」


「そうですか。それはどなたが」


 当然の疑問を淡々と聞いてくる。台本にでも書かれているかのように怖いほど早く返事をしてくる。おそらくこういうことをすることが多いのだろう。


「魔王直属十大魔将第十位は、冒険班(パーティー)主要五要素(ナチュラルタイプ)〉六名にて討伐。第八位は、冒険班(パーティー)〈|共戦の仲《レインインフィニティ―》〉のレイ、ハクジ二名により討伐。第五位は冒険班(パーティー)〈|共戦の仲《レインインフィニティ―》〉と俺で討伐した。」


「さっきからお前が言ってる〈主要五要素(ナチュラルタイプ)〉って一体何者なんだ」


「メンバー全員が俺と同期で構成されてる冒険班(パーティー)だ。全員学年で上位に入るメンバーばっかりだ。ある程度の実力は俺が保証する」


「ある程度かよ。今の俺らならそこらの魔族ぐらいならとせると思うぜ」


 フレアが出しゃばってきた。学園時代もからみんなの目を集めるようなことばっかりしていたな。


「まあ、今のお前らなら学園卒業時の俺と同等の力を出せるかもしれないな。ちゃんと見てないから知らないけどな。あと、お前は黙って座ってろ」


 俺は軽く流した。フレアは黙って自分の席に戻った。

 いい加減に空気を読むってことを覚えて欲しいものだ。冒険班(パーティー)メンバーも下を向いたまま笑うのをこらえている。


「確認だけど君が噂になってたワコガであってるよね」


「ああ、色々あってすぐ帰ってきたけど、しばらくしたら旅に出るつもりだ。それまではここにいるつもりだ」


 ヤバいな、そろそろ意識を保つのがしんどくなってきた。


「ワコガ君大丈夫?さっきからフラついてるけど」


「さっきの魔族が強すぎたな、、、悪い、少し下で休んできていいか」


「強いとは言ってもまだまだ実戦は初心者だもんな。支えは必要か」


「いや、何とか歩けはするから大丈夫だ」


 そう言いながら俺は大きくふらついて倒れそうになった。


「ダメそうじゃないか。君、彼をしたまで運んでやれ」


 クリスチャートは、俺に声をかけたヒエリンに言った。

 俺はヒエリンに支えてもらいながら三階にいるレイたちのところに行った。


「ワコガ、大丈か」


 レイが駆け寄ってきた。


「ああ、多分な。ヒエリン、もう戻っていいよ。ありがとう」


 俺はヒエリンの支えをなくしてレイたちのほうへ歩いて行った。魔力がもうほとんどないから今は‘天羽’を使えない。

 ヒエリンは冒険者集会(ムーブメントホール)に戻って行った。



「ワコガ大丈夫か。だいぶ呼吸も荒いけど」


「ああ、ちょっと魔力を乱費しすぎただけだ。少し休めばなおる」


 こんなの半分くらいはただの憶測だ。レイたちを心配させないようにするためのな。

 魔力を使いすぎたのは確かだがここまで体に負荷のかかる使い方はしてないはずだ。なんなら基本的に俺は魔法を最低限しか使っていない。最後の魔族が強かったとはいえ消耗戦にはならなかった。


「ワコガ、あの魔族は君でも倒せないほど強かったの」


「あいつとはもう戦いたくないな。勝てる気がしないよ」


「そんなに強かったんだ」


「ああ、そうだな。お前も強いぞ、あばらが折れてるのに平然と救助活動してたもんな」


「いや、そんなことないよ」


 レインが後ろから声をかけてきた。あばらが折れていて休養を取っているはずだが、普通に歩いて普通に話している。これだけで冒険者集会(ムーブメントホール)に参加させてもらえていないのが不思議なくらいだ。

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