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最強勇者、堕落して世界を救う  作者: 伍煉龍
第2章:サイトタウン編
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【015】賢者と勇者の違い

 純聖剣でどうにかできるかどうかはともかく、闇を吸収できるのはありがたいかもしれない。そろそろ魔剣〈造闇漆剣(ダーネックブレード)〉の闇が重くなってきている。少しは緩和できるかもしれない。

 俺はマゼスチャンを追いかけるのをやめた。俺はスキル‘天羽’を使って飛んでいる。

 下を見るとレイの横に剣を抱えている男がいた。その剣を俺はどこかで見たことがあるような気がした。しかし今はそんなこと思い出している余裕なんてない。


「なかなか面白そうじゃねぇか。その剣使わせてもらうぜ。こい純聖剣」


 俺がそう言うと男が持っていた剣は俺のほうに飛んできた。俺が左手でつかむと、〈封魔剣(チェッダーソード)〉から聖なる光が紐のようになって俺の左腕にまとわりついた。

 純聖剣か。普通の聖剣よりも聖なる光を多く含んでいる武器だ。浄化速度も聖剣よりも早く、何より聖剣よりもよく切れる。


「ちょっと、なんで。聖剣は持ち主の呼びかけに応えるはず。なんで彼に」


「あの時の剣か。マイト、お前の弟はなかなか面白い奴だな」


 下で何か言っているが俺には聞こえなかった。


「純聖剣がなんだ。聖剣の類だろ。それじゃ我を斬るのは到底不可能ではないか」


「それはどうかな。お前は純聖剣とただの聖剣の違いを理解していないようだな。純聖剣の本当の力ってやつを見せてやるよ」


 聖剣は普通の剣に闇の浄化能力が加算されたようなものだが、純聖剣は違う。純聖剣には持ち主の移動速度や攻撃力などの基礎能力値を上げてくれたりもする。


「ほう、では少しばかり本気を出すとしようか。来い、魔剣〈神速之魔剣(ファストブレード)〉」


 マゼスチャンの陰から魔剣が出てきた。

 マゼスチャンは魔剣を持つと一気に俺の懐に入ってきた。マゼスチャンの剣を俺は〈造闇漆剣(ダーネックブレード)〉で防いだ。俺はその隙に〈封魔剣(チェッダーソード)〉でマゼスチャンの首を斬ろうとした。闇の壁を張ってきたが勢いは減ることなくマゼスチャンの首を半分以上斬った。


「両手が塞がってこの攻撃を防ぎきれるかな。‘死光線(デスビーム)’」


 マゼスチャンは左手で俺の頭を狙ってきた。

 俺は左手の剣の衝突している場所を支点にしてマゼスチャンの手を蹴り上げた。ギリギリ俺の上を‘死光線(デスビーム)’が通った。


「これで終わらせてやるよ‘蹴極(ハイキック)’」


 俺は足で〈封魔剣(チェッダーソード)〉を蹴った。すると、〈封魔剣(チェッダーソード)〉はマゼスチャンの首を切り落とした。


“魔族の絶命を確認。ネイムド〈ワコガ・リュー〉が称号‘魔将殺’を獲得。各種ステータスが大幅に上昇しました。”


 俺は〈造闇漆剣(ダーネックブレード)〉をしまった。すると、俺の腕にまわりついていた闇も消えた。それと同時に〈封魔剣(チェッダーソード)〉から出ていた聖なる光も消えた。

 俺はレイたちのところに降りた。


「この剣のおかげで助かったよ。ありがとう」


 俺は〈封魔剣(チェッダーソード)〉を持ってきた男に返そうとした。しかしレイが口をはさんできた。


「その剣はお前のだろ」


「そうだよ。持ち主以外の呼びかけには応えないはず。君の呼びかけに応じたんだ。これは君だよ」


 純聖剣はそう簡単に手に入るものではない。いくら俺の言うことを聞いたからとはいえ、そうやすやすと貰っていようなものでないだろう。


「ギルドには俺から言っておくから」


「いや、ギルドの物ならちゃんと返さないと」


 俺は男に無理矢理剣を押し付けた。


「早く返さないとレンタル代がどんどん増えるぞ」


 男は諦めたようにギルド会館のほうに行った。


「二人とも歩けるか?無理そうなら避難所まで肩貸すけど」


「いや、大丈、夫、、、」


 そう言いつつもレイは座りこけた。


「無理するな。お前の体も結構限界らしいな」


 レインたちも避難誘導に回れとは言ったが、おそらく動けてないだろう。あとで戻って確認してみるか。


「セイヤも、二人ともよく耐えきったな」


「それよりワコガ、お前のその強さなんだよ。俺たちが寄ってたかって耐えしのいでたやつを一人で、それもこんな短時間で倒すなんて」


 当然の疑問だろう。さすがにこの場所から避難所までごまかしながら行くのは厳しいか。仕方ない。こいつらには言っておこう。


「さすがにすっと隠し通すのも無理がありそうだしお前らには早めに言っておくか。俺は今の勇者なんだ。兄貴の後継ぎみたいなもんだ」


「ならもうマイトは、、、」


 セイヤの表情が少し暗くなった。


「ああ、死んじまったよ」


「そっか、マイトも死んだんだ」


 俺は二人を起こしてギルド会館まで連れて行った。道中俺たちは話をしていた。


「二人は兄貴のこと知ってるっぽい感じだけどどういう関係なんだ」


 俺が素朴な疑問を二人の表情が固まった。何か聞いてはいけないようなことを聞いてしまったような感じだ。


「そっか、お前は覚えてないのか。俺たちがマイトの冒険班(パーティー)メンバーだったって。昔は結構遊んだんだぞ、お前とも。その時お前が創り出しのが、さっきお前が使ってた純聖剣〈封魔剣(チェッダーソード)〉だったんだ」


「俺のってそういうことだったのか。でも何でそれがギルドに?」


 俺は自分が聖剣を創り出したことよりも俺の武器がなぜギルドにあるのかのほうが気になってしまった。普通の剣とかならまだしも聖剣、ましてや準聖剣を創り出すのは困難なものだ。それも子供ならなおのこと不可能だ。


「お前が剣を振り回して危なっかしいってマイトがギルドに売ったんだ」

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