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最強勇者、堕落して世界を救う  作者: 伍煉龍
第2章:サイトタウン編
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【012】共戦の仲(レイインフィニティ―)

時間軸で言うと、〈レイ〉たちと〈レイン〉たちが別れたところからです。

別れる直前のセリフから始まります。

「よし坊主、そいつは任せたぞ」


 そう言ってレイはファービーに向かって剣を投げつけた。しかし、その剣は普通に避けられた。その間にレイはレインたちから離れた場所に移動した。


「戻って来い、聖剛剣〈巨靭の聖剣(ヘビーブレード)〉」


 レイのその一言で投げた剣はレイの手元に戻ってきた。


「ほう。聖剣に選ばれているとは、なかなか楽しめそうだな」


「六人の賢者か。何人か殺グッ...」


 ファービーは背中を斬られた。


「マリネ、お前いつの間に」


 カナタはマリネが一人で近づいて行ったことに驚いている。


「一人で来るとは馬鹿だな」


 マゼスチャンはマリネを地面に叩き落した。


「マリネ、大丈夫か」


 カナタはマリネが落とされたところに行こうとした。


「カナタ、いつものやつだ。そろそろ分かれよ。マリネならちゃんと俺の後ろにいるだろ」


 レイの後ろからマリネが顔を出した。マリネの一族は代々忍びの家系だ。忍術は一通り使える。冒険者になる忍びはあまりいない。


「マリネいつも急に始めないでくれよ」


「それは君がちゃんと周りを見てないからでしょ」


「その喧嘩は後回しな。とり合いずファービーとマゼスチャンをどうにかしないとだろ」


「そうだね。十大魔将二体相手なんて何か策はあるの?」


「いや、ない。俺らの勝利条件は街の人を全員無事に避難させ、こいつらに対抗できる冒険者が来る時間を稼ぐことだ」


 冒険班(パーティー)メンバー全員の表情が固まった。

 持久戦は本来、周囲への被害はあまり考えたりしないが、今回は最小限に食い止める必要がある。さらに相手は魔王直属の配下だ。簡単にできるようなことではない。


「お前ら、あの時の奴らか。確か勇者と一緒にいたな」


「ああ、勇者の冒険班(パーティー)か。まあ、勇者がいないお前らで我らにかなうと思っているのならおめでたい奴らだな」


 マゼスチャンは余裕の表情を浮かべている。ファービーは少し警戒しているようだがビビっているわけではなさそうだ。


「くノ一もいたな。以前も我が斬られた。我に恨みでもあんのか」


「ただ斬りやすそうなだけ」


 マリネは表情一つ変えず、冷酷そうに言った。

 だが、その一言でファービーの表情が急変した。警戒の眼差しが怒りの眼差しに変わった。


「そうか、そうか、まずは貴様から殺してやるよ。‘青炎球(ブレイズボール)’」


 ファービーが放った青い火の玉はマリネにめがけて飛んでいった。


「‘魔法障壁(マジックウォール)’」


 とっさにレイが防御した。しかし完全には防ぎきれず、周囲には青い炎が広がった。


「俺と、カナタ、セイヤ、マリネで前線で攻撃を仕掛ける。ハクジとクロトは後方サポートを頼む。俺とクロトでファービーを、他のみんなはマゼスチャンンを相手にしてくれ」 


 レイは少し考えてメンバーを二つに分けた。

 マゼスチャンはファービーよりも圧倒的に強い。ファービーに割く人数を最低限にしてマゼスチャンのほうにまわす必要がある。だが、一人で十大魔将と互角以上に戦える人間はここにはいない。なので、冒険班(パーティー)メンバーで一番先頭力の高いレイとサポートとしてクロトの二人で相手にすることにした。

 サポートとしては、クロトよりもハクジのほうが強いが、マゼスチャンを相手にするにはハクジのサポートが必要だと考えたのだ。


「セイヤ、そっちは任せたぞ」


「ああ、任せとけ」


 それだけ言ってレイはファービーを間合いの内側にとらえる距離まで一気に詰めた。


「‘玄動震(マーキネンス)’」


 ファービーが地面に叩き落された。


「レイ、早すぎるって。こっちの準備のことも考えてよね。‘究極強化(アルビルッド)’」


「詠唱魔法、[雄大なる大地の激震よ我が身に宿ラム‘激震絶壁(クイックブレイク)’]」


 レイは地面で倒れていつファービーに剣を落とし込むように斬りつけた。しかし、レイの剣はファービーの首を半分程度斬って止まってしまっている。


「我がそう簡単に死ぬかよ。‘死光線(デスビーム)’」


 ファービーが放った‘死光線(デスビーム)’はクロトの心臓を貫いた。クロトは血を流して倒れてしまった。

 しかし、レイは緩むことなくファービーを押さえつけている。それどころかさらに強く押さえつけている。


「てめえ、よくもクロトを」


「それが今のお前の限界だ。仲間を守れる力なんてなかったんだ」


「黙れ。お前の発言はつくづく嫌気がさす。さっさと死ね、‘殴極(ハイパンチ)’」


 レイは左手に装備している盾で剣を何度も殴り押した。


 レイはファービーの首が完全に切れたことを確認するとクロトの元へ駆け寄った。しかし、既に死んでしまっている。死者を蘇らせる魔法はない。


「すまない。俺が守らないといけなかったのに。すまない」


 レイはクロトを抱きかかえながら言った。

 守護者(タンカー)冒険班(パーティー)の盾になれるほどの防御力がある。レイは自分が守れる場所にいた仲間を殺してしまった。

 しかし、ずっと蹲っているわけにもいかない。吹っ切れたわけではないが、これ以上仲間を失うわけにはいかない。レイはクロトを地面にねかせてセイヤたちの加勢に向かった。


『俺も、クロトも、そしてみんなも冒険者してるんだ。戦死する覚悟なてとうにできていた。仲間を失うことの悲しみも知っていた。それでも、どんな状況であっても仲間を失うことはこらえきれるものではない。頼む、みんな生きていてくれ』

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