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最強勇者、堕落して世界を救う  作者: 伍煉龍
第1章:帰還編
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【001】最初の一歩

活動頑張っていきます!

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  ~~~~~~~~



「」:セリフ

『』:心の声

“”:能力案内

‘’:能力名

―俺は絶対に勇者になって、悪の根源を討つ―


 物心ついたときにはもう心の底からそんなこと考えていた。そのためにずっと鍛錬してきた。魔術も剣術も筆記も実技もすべて学園一位を取って卒業した。卒業後は冒険者になった。その自他ともに認めざるを負えない天才冒険者が俺〈ワコガ・リュー〉。そして今は一人で旅をしている。


 俺が冒険者になって初めて街を出るときはかなり苦労した。学園を過去最優秀の成績で卒業したせいで、色々な冒険班(パーティー)防壁門(ゲート)のところで俺を引き留めようとしてきたのだ。そんな事気にせずに正面突破して逃げ切って今に至るわけだが、森の中に逃げたせいで変な魔物が大量に出てくる。まあ、この辺りは低レベルの魔物ばかりだから俺には手間でもない。

 そもそも街の近くには結界があるから普通は魔物は近かよらないはずなのだが、最近は魔物の目撃情報が多いらしい。冒険者登録したときに言われたことを今思い出した。

 少し森の奥に進むと強い闘気(けはい)を感じた。俺は闘気(けはい)のするほうに向かった。そこには班集合戦(レイドバトル)で相手取るような竜種と冒険班(パーティー)が一組だけいた。しかもかなり手負いの状態で守護者(タンカー)が何とか立って攻撃を防いでいる状態だ。今にも全滅しそうだ。


「‘魔法障壁(マジックウォール)’...早く下がれ。これじゃ長くはもたない」


 防御魔法で攻撃を防いで守護者(タンカー)に指示を出した。しかし、その守護者(タンカー)は体力の限界を迎えたように倒れた。


『仕方ない、ここは俺一人でどうにかするしかないのか。助けを呼ぶ方法はって、考えてる暇はないよな』


 俺は倒れている冒険者たちを守るのに精一杯になりながらも討伐する方法を考えていた。スキル‘多重思考’を持っていてよかったと思えるのはこういう事態のときしかないだろうな。しかし、一人でいるときは動きが少し鈍ってしまう。動きに集中していると情報の処理が追いつかない。

 スキル‘多重思考’は複数の物事を同時に考えることができるが、その分自身の情報処理能力に精度が委ねられるスキルだ。


“火急の申請を受理、、、スキル‘多重思考’をスキル‘並列意思’に進化しますか?”


 能力案内(アナウンス)だ。当然ここは【YES】を選択する。スキル‘並列意思’になると動きが鈍る弱点がなくなる。その分思考の処理に一瞬の遅れをきたすことがあるが、通常の戦闘で困るほど遅れることはない。


 これなら攻守を同時にできるし、それに作戦も立てられる。でも、いくら考えても一人で竜種に勝つ方法なんて思いつかない。今はこいつを逃がすことが先決だ。倒せないにしても一撃で大ダメージを与えればできるかもしれないが、それには一度動きを完全に止めて、息を整えて踏ん張りを強くしないといけない。一秒だ、一秒あれば奥義でこいつをどかせる。でも、そんな隙は与えられない。与えれば俺も含めてここにいる人全員が死んでしまう。


「う、うぅ、、、君は、あいつを、、倒せるか、い、?」


 さっきの守護者(タンカー)がうっすらと意識を戻したように声を出した。


「一秒、出来るならもう少し欲しいが最低でも一秒時間があれば大技は出せる」


 俺は攻撃を防ぎながら答えた。


「なら、任せるよ。」


 そうって守護者(タンカー)は俺の前に出た。俺は一瞬とどまったが、俺は奥義を使うために腰を落として剣を後ろに構えて強く踏ん張って、高く跳躍した。


『火炎系魔法‘紅獄炎(バイレンヤー)’、清水系魔法‘蒼泉水(ニアケイター)’、統合術式‘対極魔法合算(ミラーレスミックン)’。今の俺の魔力を限界まで使わないと使えない超大技、』


「統合魔法‘獄炎泉水(バーニンウォー)’、頭背中(かぶとはいめん)落とし」


 ‘紅獄炎(バイレンヤー)’は火炎系の魔法の中でも上位の魔法だ。‘蒼泉水(ニアケイター)’は清水系魔法の中でも上位の魔法だ。‘対極魔法合算(ミラーレスミックン)’は高難易度の統合術式の一つだ。完全に別種の魔法を統合させることで通常の統合魔法よりも何倍も、何十倍にも威力が上がる。

 属性がある魔法は本来なら球形にして飛ばしたりするのだが、魔力の制御が複雑にできるなら盾にしたり、武器にまとわせて強化したりできる。今回は剣にまとわせるように使用した。

 俺は竜の頭上から背面に回って頭頂部から背中までを深く、二連撃で切りつけた。竜は雄叫びを上げて倒れた。俺はとどめを刺すかのように脳天と心臓のある場所に剣を突き刺した。


「何とか倒せたな。あとはこの冒険班(パーティー)メンバーを起こすだけだな。さて、唯一苦手な回復魔法の時間だな。えっと確か、対象と自分に魔力が触れるか触れないかぐらいの距離に小型魔法陣を展開して、詠唱すると発動するんだったよな[カノ者ニモウ一度立チアガル力ヲ授ケム‘超回復(オーヒールン)’]」


 俺は試験以来一度もつかってこなかった回復魔法で冒険班(パーティー)メンバー全員を起こして倒れた。どうやら魔力を使いすぎてしまったようだ。


“竜種の死亡を確認、、、ネイムド〈ワコガ・リュー〉は称号‘竜殺’を獲得。称号‘竜殺’の効果によりスキル‘竜力’‘翼飛行(ウィングバード)’‘解析鑑定’を獲得。条件を満たしました。称号‘防人(守り人)’を獲得。スキル‘森羅万象’を獲得。スキル‘多重思考’‘解析鑑定’‘森羅万象’を獲得したことにより、称号‘冒険者’が‘賢者’に進化しました。称号の進化に伴い基礎能力値、並びにステータスノ大幅な上昇を確認しました”


 薄れゆく意識の中、能力案内(アナウンス)が聞こえた。そして俺は三日三晩寝込んでしまったらしい。冒険班(パーティー)メンバーに見守られながら。

新出用語

冒険班(パーティー):冒険者五人以上がギルドにチームメンバーとして認められたグループ。新規メンバーの補充は自由に可能。補充した場合は速やかにギルドに申請が必要になる。経験値等は協力の有無を問わず均等に割り当てられる。

防壁門(ゲート):街や国、集落ごとに相手方の承諾なく自由に境界に検問壁を築くことができる。その壁のこと。

班集(レイド):三班以上が協力して魔物等を討伐すること。経験値等は最低限の協力をしていれば均等に割り当てられる。

守護者(タンカー):戦闘において注目を集め、自身に攻撃を集中させ、全体へのダメージ量を減らす役割を担う。基本的にフルメイト装備をしている。

・魔法:魔力を消費して使うスキル。ただし、自分一人で事象が完結しないものもある。

・スキル:基本的に自分一人で事象が解決する特殊能力。

・能力案内(能力アナウンス):世界が認めた自称等を対象者に伝える。

・称号:世界が認めた時に獲得できる。スキルや魔法をもつ称号もある。

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