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結婚相手選び

ジェマのお願いは大抵通る。

身分を隠して学校へ通ってみたいと言ったときも最初は反対されたらしいが、結局聞き入れてもらっていたし。


しかし今回の、私の卒業パーティーを開くという案は却下してもらいたい。

領民たちへの増税を控えていて、不作続きの年だ。そんなときに私のためのパーティーだなんて。


領主様の側近に取り次いでもらい、領主様と二人でお話する機会をいただいた。

すでにジェマから話は行っていて、領主様はパーティーを開く気になっていた。

養女の私のためにそこまでして頂くのは勿体無いと申し上げると、領主様は首を横に振った。


「お前のためではない。ジェマと、マテオのためだ。マテオにそろそろ妻を娶ってもらいたいが、あのように妹のことばかりでね。以前婚約者はいたが、結婚まで至らずに駄目になってしまった。マテオの相手を選ぶためのパーティーだといえば反発するだろうから、お前の卒業パーティーとして開催したい」


領主様の真剣なご様子に首を縦に振るしかなかった。

マテオ様は現在二十四歳で、ご婚約者もいない。確かに心配だ。ジェマジェマジェマと妹の事ばかりでは。


「領地外の貴族家のご令嬢を数名招待しようと思うのだ。領土が豊かで、高額の持参金を用意できる家であれば、我が領民にとって願ってもない事であるしな」


そしてまさかの持参金狙い。領主様の狡猾さを知った。

確かに、嫁入りしてくる貴族令嬢の家が経済的に豊かであれば、ボールドウィン家の利益となる。その令嬢家が統治する領土が豊かであれば、尚良しだ。


だけど、と私は思った。

結局そのお金も、ジェマがまた死んだらその蘇生費用に充てられるに違いない。

ジェマが死んで蘇生されるたび、蘇生魔術師の貴重な魔力と多額のお金が消費されるのだから。それと奴隷少女の命が。


しかし領主様に向かって何も言えなかった。

愛する娘さんを生かし続けることは領土を食い潰すことですよなんて、養われている私が言えるはずもない。


そうして私の卒業パーティーという名目での、マテオ様のお嫁さん選びのための舞踏会が開かれることとなった。

その計画を知ったジェマは大はしゃぎで、さらにとんでもないことを言い出した。


「じゃあついでにお姉様のお婿さん選びもしましょうよ。同時にやっちゃえば手間も省けるし、そんな機会はめったにないわ。良い考えでしょう?」

「私のお婿さん?」

「ええ。お姉様も学校を卒業したら、もう良いお歳よ。卒業したらあの男と結婚する予定だったんでしょう? それがあんな事になってしまったんですもの、お労しい。新しい婚約者が必要だわ」


ちょっと待ってと慌てた。事実が曲解されている。


「あんな事になる前に、セシルとはお別れしていたのよ。私はジェマの姉になるためにこの家に入ったのだから、結婚して出ていく気は……」


ジェマが姉妹ごっこに飽きた暁には、養子縁組を切られて追い出される未来は想定していたが。結婚は想定していなかった。


「勿論、お姉様は結婚してもジェマの側にいるのよ。お婿さんにはこの家に来てもらうの。家族が増えて素敵。お姉様とお婿さんに子どもができてほしいわ。ジェマ、すごく可愛がるから。ねえ、お姉様。いいでしょう? 素敵な旦那様、ジェマが選んであげるから。楽しみ~♡」


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