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ホープ・トゥ・コミット・スーサイド  作者: 通りすがりの医師
第三章 『P.I.G.E.O.N.S.』問題
174/239

幕間    『白紙』

前回の後書きにも書いたんですが、読んでくれている皆様、どうか!

これまでの印象深い回に「いいね」だけ、一つで良いのでお願いします!作者にしか見えませんから!

何も反応しませんから!


最近、今までよりも文章が雑になってきた気がして…どうかモチベーションをください!








「――きゃあっ!!」



 眼鏡にスーツ姿、黒髪ポニーテールの女性――ジリルテアが悲鳴を上げて地面に倒れ込む。


「しらばっくれんじゃないよ。檻の鍵は、アンタに預けてたんだからね」


「う、うぅ……」


「信頼してたから預けたってのに」


 明け方のバーク大森林。


 戦いが始まる前に町から逃げ出していたジリルテアは、同じく逃げてきたニードヘル・ギアーズにあっさりと見つかり、体罰を受けていた。


「あのホープとかいうガキに、脅されたんだね? そうだと言いな」


「……いいえ、違います! 私自身がホープさんに協力したいと考え――あぅうッ!」


 また蹴られるジリルテア。

 そう。ホープたちと出会い、鍵を渡し、ニック・スタムフォードを地下牢から解き放った犯人はジリルテアとも言えるのだ。


「バカタレが……ニック隊長さえいなきゃ、町もあそこまで滅茶苦茶にはならなかったかもしれないのにね」


「……いいえ! あんな嘘だらけの町、どうせすぐに崩壊していましたよ! 現にシリウスさんたちも反乱を起こしていたでしょう?」


「だからその程度のことはバレバレで、プレストンは対策を立ててたんだよ。ただ、さすがのプレストンもアタシも……アレには敵わなかった」


 あの男にだけは、とニードヘルは歯噛みする。

 普段から『怪物のように強い』と評価されているニードヘルでさえ恐れる、それがニックという本当の『怪物』なのだろう。


 それはともかく、



「アンタ……急にどうしたんだい? 犬みたいに従順だったのにねぇ」


「!」



 ニードヘルが疑問に思ったのは、これまで付き合ってきた秘書の態度の急変。

 ジリルテアは唇から流れる血を手で拭い、無理やり口角を上げた。



「少し……良いことがあっただけです」


「は? ホープってガキに懐柔されちまったかい?」


「話す必要はありません。あなたのような『強い人』には決して、わからないことですので」



 言わなくてもいいだろう。

 ホープという、自分と同じく濃霧の中を漂っている人物に出会えたなんて――それがとても嬉しかったなんて。


 と、



「っ!? 誰だい、出てきな!!」


「えっ」



 すぐ近くの茂みが揺れる。その瞬間、ニードヘルは拳を構えた臨戦態勢に。

 四つん這いのジリルテアが早く立たねばと焦っていると、



「なんだなんだ、やけに騒がしいと思ったら……お前さんかよ、ニードヘル」


「……アンタは!」


「見ろ。俺は銃も抜いてねぇ、とりあえずその物騒な拳をしまってくれ。『武闘』専門の女のパンチはお断りだぜぃ」


「リチャードソン……!」



 現れたのはリチャードソン・アルベルト。


 彼の落ち着いた態度とは対照的に、ニードヘルは落ち着くどころかファイティングポーズを崩さない。

 そして呼吸を整えるのに必死そうだった。


 とはいえ、リチャードソンも世間話とかをしている気分ではなさそうだ。

 死んだ魚のような目で訴えかけてくるのは――




「プレストンが……死んだぞ」




 そんな、たった一言だ。

 予想はできていたのに顔面蒼白を隠せないニードヘルは誤魔化すように、



「そりゃ、残念だね……た、隊長が直々にトドメを?」


「いや。青髪の坊主だ」


「は!? あのガキじゃないか……!」


「ニックがあいつに託したんだ」


「へ、へぇ、そうかい……」



 プレストンを始末したのがまさかの人物であり動揺するニードヘル。

 だが、彼女が恐れているのは何よりも、



「……で!? アンタは何なんだい!? 他の仲間は!? ……アタシを始末しに来たんだろ!?」


「…………」



 プレストンの部下の兵士も四天王も、遂にはプレストンまで殺害。ほぼ全滅まで追い込んだのだ。

 そんなことをした奴らだ。ニードヘルやジリルテアを殺すために探すのは、どちらかといえば自然だろう。


 と思い込んでいたのに、



「一人だし、見つけたのも偶然だ。殺すだの殺されるだの、もうウンザリなんでな……」



 張り詰めていたニードヘルの緊張の糸も萎えるほど、リチャードソンには覇気が無かった。



「お前さんを見つけちまった今、やりたいのは逆のことだな……俺が口をきいてやるから、ウチのグループに来ないか?」


「っ!」



 流れるように、リチャードソンは勧誘。

 ニック率いる生存者グループに入れと言うのだ。


 ――どうにも『P.I.G.E.O.N.S.』にスカウトされた当時のような心境になってしまうが、



「ニックのグループに? 冗談じゃない……加えて、アンタの近くにいるのも嫌だね」


「何?」



 気まずい、という理由でニードヘルが勧誘を断るのは誰もが思いつく。

 しかし、誰もが理解できないのは『リチャードソンが嫌だ』という唐突な理由だろう。


 もちろん、リチャードソンのことが嫌いなわけではない。むしろ尊敬までしているが、



「キナ臭いんだよ……」


「…………」


「アンタの『軍人記録』、見せてもらった」


「……!」



 それは大都市アネーロの領域アルファ防衛軍基地に保管してある、防衛軍に所属する者の記録のこと。

 一人一人のデータが詰まっている、個人ファイルのようなものだ。


 本来、それを見られることは日常茶飯事であり、個人情報の塊とはいえ、軍関係者なら当たり前のように使うものだ。


 が、



「スケルトンの世界になってから軍基地を訪問して……ちょっと思い出したんだ。リチャードソン・アルベルトの記録は見たことがない、ってね」


「…………」


「結果としちゃ倉庫から見つけ出したが、随分と大事そうに仕舞ってあったねぇ……苦労したよ」


「……中は見たのか?」


「当然さ」



 のっぺら坊のように無表情のリチャードソンの、その目から放たれる殺気のようなモノ。

 怖気づくこともなくニードヘルは微笑む。



「『P.I.G.E.O.N.S.』に入隊後の記録は普通だった……が、どうやって軍に入ったのか、その経緯については()()だったねぇ……」


「…………」


「何も書いてない記録だなんて、あり得ない話だよ。まるで機密事項でも隠してるかのよう……閲覧後アンタのデスクに目立つように置いといたけど、知らなかったかい?」


「……ああ、知らねぇな」



 読んだぞ、と宣戦布告でもするかのようにデスクに置いといたというニードヘル。

 質問にリチャードソンは目を逸らし、ありきたりな返答しかしなかった。


 意味不明な状況の中、立ち場が見つからない一般人のジリルテアが目を泳がしていると、



「……忘れてくれ。ニードヘル」



 リチャードソンは逸らした目を動かせないまま、そんなことを言った。

 ニードヘルは自身の桃色の唇を舐めて湿らせ、



「忘れられるわけないだろう? 正体不明のリチャードソン・アルベルトさん」



 ドギツすぎるジョークのようなものを返し、



「違う……お前さんたちをグループに勧誘したことを、忘れろ……」



 リチャードソンは、色々な意味で軽率だったらしい自分の発言を撤回。

 森の闇の中へと、消えていった――








乞食なのはわかっています!卑しい作者だと思います!

でも、どうか!

「いいね」だけは!

作者も読者の一人なんです、面白いと思ってくれているなら、その面白さを共有しませんか!?「いいね」という機能がせっかくあるのですから!


ホントすいません!!

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