幕間 『白紙』
前回の後書きにも書いたんですが、読んでくれている皆様、どうか!
これまでの印象深い回に「いいね」だけ、一つで良いのでお願いします!作者にしか見えませんから!
何も反応しませんから!
最近、今までよりも文章が雑になってきた気がして…どうかモチベーションをください!
「――きゃあっ!!」
眼鏡にスーツ姿、黒髪ポニーテールの女性――ジリルテアが悲鳴を上げて地面に倒れ込む。
「しらばっくれんじゃないよ。檻の鍵は、アンタに預けてたんだからね」
「う、うぅ……」
「信頼してたから預けたってのに」
明け方のバーク大森林。
戦いが始まる前に町から逃げ出していたジリルテアは、同じく逃げてきたニードヘル・ギアーズにあっさりと見つかり、体罰を受けていた。
「あのホープとかいうガキに、脅されたんだね? そうだと言いな」
「……いいえ、違います! 私自身がホープさんに協力したいと考え――あぅうッ!」
また蹴られるジリルテア。
そう。ホープたちと出会い、鍵を渡し、ニック・スタムフォードを地下牢から解き放った犯人はジリルテアとも言えるのだ。
「バカタレが……ニック隊長さえいなきゃ、町もあそこまで滅茶苦茶にはならなかったかもしれないのにね」
「……いいえ! あんな嘘だらけの町、どうせすぐに崩壊していましたよ! 現にシリウスさんたちも反乱を起こしていたでしょう?」
「だからその程度のことはバレバレで、プレストンは対策を立ててたんだよ。ただ、さすがのプレストンもアタシも……アレには敵わなかった」
あの男にだけは、とニードヘルは歯噛みする。
普段から『怪物のように強い』と評価されているニードヘルでさえ恐れる、それがニックという本当の『怪物』なのだろう。
それはともかく、
「アンタ……急にどうしたんだい? 犬みたいに従順だったのにねぇ」
「!」
ニードヘルが疑問に思ったのは、これまで付き合ってきた秘書の態度の急変。
ジリルテアは唇から流れる血を手で拭い、無理やり口角を上げた。
「少し……良いことがあっただけです」
「は? ホープってガキに懐柔されちまったかい?」
「話す必要はありません。あなたのような『強い人』には決して、わからないことですので」
言わなくてもいいだろう。
ホープという、自分と同じく濃霧の中を漂っている人物に出会えたなんて――それがとても嬉しかったなんて。
と、
「っ!? 誰だい、出てきな!!」
「えっ」
すぐ近くの茂みが揺れる。その瞬間、ニードヘルは拳を構えた臨戦態勢に。
四つん這いのジリルテアが早く立たねばと焦っていると、
「なんだなんだ、やけに騒がしいと思ったら……お前さんかよ、ニードヘル」
「……アンタは!」
「見ろ。俺は銃も抜いてねぇ、とりあえずその物騒な拳をしまってくれ。『武闘』専門の女のパンチはお断りだぜぃ」
「リチャードソン……!」
現れたのはリチャードソン・アルベルト。
彼の落ち着いた態度とは対照的に、ニードヘルは落ち着くどころかファイティングポーズを崩さない。
そして呼吸を整えるのに必死そうだった。
とはいえ、リチャードソンも世間話とかをしている気分ではなさそうだ。
死んだ魚のような目で訴えかけてくるのは――
「プレストンが……死んだぞ」
そんな、たった一言だ。
予想はできていたのに顔面蒼白を隠せないニードヘルは誤魔化すように、
「そりゃ、残念だね……た、隊長が直々にトドメを?」
「いや。青髪の坊主だ」
「は!? あのガキじゃないか……!」
「ニックがあいつに託したんだ」
「へ、へぇ、そうかい……」
プレストンを始末したのがまさかの人物であり動揺するニードヘル。
だが、彼女が恐れているのは何よりも、
「……で!? アンタは何なんだい!? 他の仲間は!? ……アタシを始末しに来たんだろ!?」
「…………」
プレストンの部下の兵士も四天王も、遂にはプレストンまで殺害。ほぼ全滅まで追い込んだのだ。
そんなことをした奴らだ。ニードヘルやジリルテアを殺すために探すのは、どちらかといえば自然だろう。
と思い込んでいたのに、
「一人だし、見つけたのも偶然だ。殺すだの殺されるだの、もうウンザリなんでな……」
張り詰めていたニードヘルの緊張の糸も萎えるほど、リチャードソンには覇気が無かった。
「お前さんを見つけちまった今、やりたいのは逆のことだな……俺が口をきいてやるから、ウチのグループに来ないか?」
「っ!」
流れるように、リチャードソンは勧誘。
ニック率いる生存者グループに入れと言うのだ。
――どうにも『P.I.G.E.O.N.S.』にスカウトされた当時のような心境になってしまうが、
「ニックのグループに? 冗談じゃない……加えて、アンタの近くにいるのも嫌だね」
「何?」
気まずい、という理由でニードヘルが勧誘を断るのは誰もが思いつく。
しかし、誰もが理解できないのは『リチャードソンが嫌だ』という唐突な理由だろう。
もちろん、リチャードソンのことが嫌いなわけではない。むしろ尊敬までしているが、
「キナ臭いんだよ……」
「…………」
「アンタの『軍人記録』、見せてもらった」
「……!」
それは大都市アネーロの領域アルファ防衛軍基地に保管してある、防衛軍に所属する者の記録のこと。
一人一人のデータが詰まっている、個人ファイルのようなものだ。
本来、それを見られることは日常茶飯事であり、個人情報の塊とはいえ、軍関係者なら当たり前のように使うものだ。
が、
「スケルトンの世界になってから軍基地を訪問して……ちょっと思い出したんだ。リチャードソン・アルベルトの記録は見たことがない、ってね」
「…………」
「結果としちゃ倉庫から見つけ出したが、随分と大事そうに仕舞ってあったねぇ……苦労したよ」
「……中は見たのか?」
「当然さ」
のっぺら坊のように無表情のリチャードソンの、その目から放たれる殺気のようなモノ。
怖気づくこともなくニードヘルは微笑む。
「『P.I.G.E.O.N.S.』に入隊後の記録は普通だった……が、どうやって軍に入ったのか、その経緯については白紙だったねぇ……」
「…………」
「何も書いてない記録だなんて、あり得ない話だよ。まるで機密事項でも隠してるかのよう……閲覧後アンタのデスクに目立つように置いといたけど、知らなかったかい?」
「……ああ、知らねぇな」
読んだぞ、と宣戦布告でもするかのようにデスクに置いといたというニードヘル。
質問にリチャードソンは目を逸らし、ありきたりな返答しかしなかった。
意味不明な状況の中、立ち場が見つからない一般人のジリルテアが目を泳がしていると、
「……忘れてくれ。ニードヘル」
リチャードソンは逸らした目を動かせないまま、そんなことを言った。
ニードヘルは自身の桃色の唇を舐めて湿らせ、
「忘れられるわけないだろう? 正体不明のリチャードソン・アルベルトさん」
ドギツすぎるジョークのようなものを返し、
「違う……お前さんたちをグループに勧誘したことを、忘れろ……」
リチャードソンは、色々な意味で軽率だったらしい自分の発言を撤回。
森の闇の中へと、消えていった――
乞食なのはわかっています!卑しい作者だと思います!
でも、どうか!
「いいね」だけは!
作者も読者の一人なんです、面白いと思ってくれているなら、その面白さを共有しませんか!?「いいね」という機能がせっかくあるのですから!
ホントすいません!!




