プロローグ:哀れな聖女
初投稿です。よろしくお願いします。
突如として胸元にトスッと振動あったと思ったら、続いて痺れるような痛みが走った。
「……え?……あぐっ!?」
一瞬、何をされたのか分からなかった。 つい今まで楽しく食事をしていたはずなのに。 けど、すぐにやってきた痛みで自分が刺されたのだと分かった。
身体の中から焼けるような尋常じゃない激しい痛みに、口の奥から込み上げてくる血を吐きながら、私はその場にのたうち回る。
ーーなんで?なんで!?
涙と吐血した血、胸元から流れる血でできた血溜まりの中から、必死に上の方に視線を上げた。
私のすぐ近くには、一緒に魔王を討伐すべく長い時間を共にした四人の仲間達が立っている。
「まだ生きてる、さすが聖女って事かしら?」
すると亜麻色の長い髪を弄りながら露出の多い服装の魔女が薄緑色の瞳で、ゴミでも見るような視線を向け、吐き捨てるように呟いた。
それに続くように他の三人も口を開き出した。
「キャハハ、魔人だって即死する激毒を塗ってたのにすぐに死なないなんて可哀想〜♪」
「ふむ、直ぐに死ねなとは……よほど、罪深いのであろう」
「毒の塗り方が足りなかったのかな?」
女盗賊、聖騎士、勇者の順に口を開き、もがき苦しむ聖女の私を見下ろしている。
ーーげ、どくしなきゃ。
「きゅ……あぐっ!?」
痛みに耐えながら前のめりになり、解毒しようと状態回復を唱えようとした瞬間、背中に新たな激痛が走った。
「危ない危ない、聖女が状態回復を使おうとしていた」
私が解毒しようとしたのに気づいた勇者が、邪魔をするためナイフを背中に突き立てた。
「しぶと〜い♪ほら、早く死ね死ね♪」
勇者が刺したナイフを女盗賊が足で踏みつけ、さらに深く私の身体の奥深くにめり込んでくる。
ーー痛い、痛い。 なんで、なんでなの?
ヒューヒューと音漏れのような呼吸音が辺りに響く。 すでに虫の息の私を見下ろしながら、勇者は鞘から聖剣を抜き、私を足で仰向けにすると、いやらしい笑みを浮かべ両手で聖剣を構えた。
「せめての情けだよ、聖女。死ね」
ーー待って!待って!!私はまだ……。
すでに声を出すことすらできない私は、必死に声を絞り出そうとした。 しかし、勇者は無慈悲にトドメとばかりに私の心臓を目掛けて聖剣を振り下ろし突き刺した。
☆☆☆
聖剣を突き立てられた瞬間、聖女は大きくビクリと動いた。 そして聖女の瞳から光が消え、大量の血が床に広がった。
「さて邪魔者は消えたし、聖女の分を四当分しましょうか」
聖女が完全に死亡したのを確認した魔女は、妖艶に微笑み配当の話を始めた。すると各々が自分の欲しい物を口にし始める。
「我は聖女のペンダントと杖を頂きたい」
「私はお金〜♪あ、あと腕輪も欲しいかも♪」
「ボクは聖女の指輪と聖女の衣を貰うよ」
女盗賊、聖騎士、勇者、魔女は聖女から各々が欲しい物を剥ぎ取り、その後は血濡れた薄着姿になった聖女の遺体を崖から谷へと投げ捨てた。
そして、四人は入念な口裏合わせをした後、魔王討伐の報告をするべく王都へと向かった。
短めに投稿していこうと思います。




