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〜バブル景気からスタートした転生ライフ〜

あぁ。あーあーあー。


「あー店長むかつく」


わざわざ嫌味ったらしくインカムで『1分遅刻ですランチタイムで皆忙しいです今度からは気をつけてください』ってそんな全員が聞いてるのにインカムで?もう一度言うインカムで?僕怒られる必要あった?しかも1分遅刻してねえし。むしろ9分早い出勤だし。朝礼をやるので10分前にホール出てこいって決まりもえぇえぇ構いませんけどその分の給料はどこへいったんですかね?これどっか訴えたら僕勝てるんですかね1日10分余分に働いて1ヶ月半で週4でてるからえーとえーと約240分?4時間分?時給1100円だから4400円?

はい訴える場所もよくわからんしそれを調べるのに費やす時間と労力のがおーたーかーいー。


もう辞めたいな。辞めちゃおうかな。でも先輩の紹介で入れてもらったラーメン屋(フランチャイズの大手)だから先輩の顔を立てるためにも3ヶ月は頑張ろうって決めた。決めたけど向いてない。圧倒的に向いてないと思われるのだよ僕だって「いらっしゃいませー」じゃ駄目で「らっしゃっませーーっ!!」てこの精々教室1部屋分しかない室内でそんな大声出す必要性皆無やん?だって「1名さまですね」って言ったら怒られて「お一人さま」って言い直しさせられるってはい?どゆこと?って思うしだって8時間働いてんのに賄いはバイトは有料ですって、え?裏であんだけロス出まくってんのにバイトに食わす分は金取るの?はぁー?


前に軽く先輩に相談したら、社会ってそういうもんだと諭された。もう学生じゃねーんだからって。こんなバイトより理不尽だらけだぞって。


高校の頃に働いていたバイト先は叔父の知り合いの喫茶店だった。お客さんもみんな優しかったし常連ばっかりだったし多少のミスもコラーってマスターの奥さんに優しく怒られて終わりだった。何よりマスターの賄いが滅茶苦茶美味かった。


「あの頃に戻りたい…」


夕方からはキャバクラのボーイのバイト。その更衣室で、誰に聞かせるでもなくそう呟いた。


「なんだー。若いのに、もうそんなジジくさいこと言ってんのか」

「あっ、おはようございます」


入ってきたのは店長の堺さん。昼のバイトの店長より断然話しやすいし、仕事終わりに飲みに連れて行ってくれたりもする。


「じじいな河野はどの頃まで戻りたいんだ?」

「や、はは、高校の頃っすかね…」

「お前まだ20歳だろ?高校なんてついこの前じゃねーか。俺は戻るなら小学生くらいまで戻りたいね!」

「小学生すか。いいですね。あの頃は僕、20歳になったらフェラーリに乗れると思ってたなー」

「いいなそれ!俺はあれだ、芸人になって大金持ちになって美人なモデルと結婚すると思ってた!」


大人になるってのは思い描いてたものより案外残酷に平凡なものだ、と堺さんはあまり似合っていない顎髭をなでた。


「今時は小学生でも、YouTuberとかTikTokとか動画配信で稼げるんだろ?今時のやつは稼ぎ方いろいろあるもんなー。」

「いや、そんなの、堺店長も今からだって出来るじゃないですか。喋り上手いしめっちゃ稼げますって」

「おー?そうかー?店長なんか辞めてそっち転職すっかー?」


ケラケラ笑いながら堺さんは更衣室に張り紙をして出て行く。来週から夏のお楽しみ浴衣デー。期間限定飲み放題30分2000円。僕たちボーイにも友人たちに誘いの声を掛けるようにとのお達しだ。


僕だって、もっとかっこよかったり、何か得意なことがあったり、せめてもっと喋りが上手ならやってみないでもない。けど自分に自信のない陰キャがそんなことやってみたところで誰が見るんだ。万が一誰かがみてくれたとて、知り合いに見られたら恥ずかしぬ。


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