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復讐の身代わり人  作者: 夜猫
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スキル改変の宝玉

「無理じゃな。」


魔王はバッサリと言い切る。


「儂には勇者を殺す気も、人間領を侵略する気もこれっぽちも無いのでな。」


魔王のその一言で全てが合点がいった。


この世界には『魔物』が人間を攻撃する事はあっても『魔族』が攻撃する事はほぼ無い。

あってもいつの間にか行方不明となっていた。

それは魔王に始末されていたのだ。


「ならば魔王様。勇者を……勇者は脅威では無いのですか?」


「儂は魔王という地位にいるが魔王らしく無い。だから儂の事は家臣もイヴ様と呼ぶ。それで良い。」


イヴは少しレイから目を離すと再び目を見る。


「儂にとって勇者、では無く人間領とは不可侵の条約を結んでおる。それを遵守しているうちは別に気にしておらんよ。」


イヴは言葉にはしなかったが存外に『勇者など何時でも殺せる』と言っている気がした。


「ならば……イヴ様に頼み込んだ私が愚かでした。お許しください。」


レイは頭を下げ王の間を出ようと体を回転させる。


「待て。」


「はい、何でしょうか?」


「何も儂は人間領に危害をなさないとは言っておらんし……何よりもそこの者共。」


イヴはレッドとオリバーを指さす。


「そのスキルでは儂も楽しみようがなかろう。この世界を全て見ることしか出来ないやる事が無い儂を少しでも楽しませてくれ。」


イヴが指を鳴らすと手の平に拳大の宝玉が出現する。


「そこの者共。これに祈れ。」


「これは……何でしょう?」


レイが代表して発言する。


「これはスキルを改める宝玉じゃな。人間領にはスキルがその人間に合ってないヤツが多すぎるのじゃよ。」


イヴはため息を吐き、続ける。


「そんなんだから勇者が面白そうな者共をあっさり殺してしまうのだ。実につまらん。女神もな。」


天井へと目を向け、ため息を再び吐く。


「いいから触れ。それで祈れば良い。ああ、『剣聖』お前は触るな。そのスキルがお前には合っている。」


イヴは宝玉をオリバーへと投げ、上手にキャッチする。


「では失礼して……。」


オリバーは目を瞑り集中する。


「ほほう……。オリバーとやら力の使い方を考えよ。さもなくば儂がお前を殺さなければならぬ。」


「………肝に銘じます。」


オリバーの中ではイヴとどの様な意味を成すのか理解したようだ。


「次はお前じゃな。」


「……はい。」


オリバーから宝玉を受け取り、目を瞑り集中する。


真っ暗だった目の前が急に明るくなり、何やら扉が6つある空間へと意識が飛んだ。


「……ここは……?」


当たりを見渡すと6つの扉のうち2つは開いている。

扉のうち3つは白。他3つは黒であった。

黒の扉からはただならない雰囲気が漏れ出ているのを見るとまずは白の扉へと歩みを進めた。


「…………。」


白の扉をくぐるとそこは1面白銀の雪に覆われた大地だった。


「なんだここ……?」


「来ましたか。まずはここに来たことは正解でしょう。」


前から白い外套を着込んだ男性と思しき人物が歩いてくる。


「この世界を説明する事こそが1番最初に入った扉の主人の役目。ではその規則に習うのがスジと言うものですかね。」


背中に大きな銃を背負った人物が更に近づく。


「ここは貴方のスキル〈運命のサイコロ〉の中。貴方に合う人物のスキルを借りることが出来ます。ですがその可能性は6分の1。最後は……ですけどね。」


白い外套を着た人物は扉を指さす。


「最初は2面しかサイコロが無いので2分の1の確率で僕か……あの人が出現するでしょう。人格も借りる人物に近くなる上に戦い方、思考も変化する。それがどう転ぶか……それが〈運命のサイコロ〉たる所以ですが……。」


「それは……どういう?」


「やってみれば分かります。幸いここで死んでも現実世界で死ぬ訳ではありませんので。」


「まってください!死ぬんですか!?」


「……人によっては争い、勝ったら力を貸す……と言う人がいます。人によってそれは違うでしょうし……。ああ、心配しないでください。僕は平和主義……いや、任務遂行者なのでね。条件なしで貸してあげますよ。」


「…………。」


白い外套の人物は黙ると再び扉を指さし、言葉を紡ぐ。


「あちらの黒い扉には気をつけてください。……案外ウマが合うかもしれませんがね。では行ってください。」


白い外套の人物は指をならそうとする。

恐らくあれでこの世界から強制退去させるのだろうと予想を立て、慌ててレッドは1番聞きたかったことを言葉にする。


「まって!貴方の名前は!!」


「………シモ・ヘイヘ。」


ヘイヘは指を鳴らすとオレの目の前が真っ暗になり最初いた場所へと戻された。

白い扉は淡く輝いているが閉まっていた。

黒い扉は以下にも邪悪な気配を撒き散らしながら来る様に誘っている様な感覚をレッドに与える。


「…………よし。」


レッドは決心をして黒い扉を跨いだ。

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