出会い
「こっちへ来い!」
これまでオレは個人部屋で看守にムチを叩かれる日々だった。
これからは2人1組で部屋が与えられる。
「早く入れ!」
部屋に着くと看守が怒鳴り散らしながら部屋への鉄柵は開ける。
オレは大人しく入ると奥に誰かいるようだった。
看守が扉を閉め、どこかへ行く。
「やぁ、君が新しい囚人か。同室同士……いや、同じ囚人同士頑張ろうね!」
奥から歩いてきた男性は気さくに話しかけると手を差し出す。
「………。」
オレは1回男性の顔を見て、再び視線を落とし握手に応じた。
「ああ、自己紹介がまだだったね。ボクはミズキ。君は?」
「オレはレッドだ……。」
「そっか、レッド君ね……。レッドで呼び捨てにするけどさ、なんでここに来たの?」
ミズキと名乗る男性はニコニコしながら聞いてくる。
「……オレはーー。」
レッドはここへ来た経緯をミズキへと話すと少し不思議そうな顔をする。
「んー……そっか。ボクの知ってる勇者とは違うのかな……?うーん、まぁ明日から仕事が始まるからその後時間取っておいて!」
ミズキはそれだけ言うと片方のベッドとも言えない何かに寝っ転がる。
どうやらもう1つはオレの寝床の様だ。
「じゃあ明日はボクの仲間達と同じ班になるようにリーダーに頼んどくからよろしくね。」
ミズキは明るくそう言うとスヤスヤと眠り始めてしまった。
オレは少し目を閉じると流石に疲れていたのか直ぐに眠った。
「この人らがボクの仲間!こちらはボクと同室のレッド。」
「よろしく。」
レッドはぺこりと頭を下げる。
「ああ、よろしくな。僕はルウトだ。」
「うん、俺がソウジ。よろしくね。」
男性2人はオレと同じように頭を下げる。
「多分同じ班になれると思うからよろしくね。じゃあ仕事場へ行こうか!」
ミズキを先頭に廊下を歩き、大広間へと出る。
「んー……いた。リーダー!」
「はい?何ですかミズキ君。」
ミズキは男性へと話しかける。どうやらこの人がリーダーらしい。
「こちらレッド!新しく入ったから色々教えてあげて!」
「あ、今日でしたか。私はレイと申します。以後お見知りおきを。」
レイがあまりにも優雅にお辞儀をしたもので少しだけ見とれるが、はっとして慌ててお辞儀をする。
「でね、レイ仕事の後時間ある?」
「ええ、ある程度はありますよ?」
「そっか!ならちょっとレッドのここに来た経緯を聞いてやってくれないかな?ボクだけじゃ判断出来ないから。」
レイは少し疑問に思ったのか首を傾げる。
「ええ、いいですけど……。私などが力になりますかね?」
「うん、多分これはレイじゃないとダメなやつだ。ボクでもルウトでも、ソウジでもダメだね。」
レイは少し納得いくような顔をすると頷いた。
「ああ……。了解しました。では仕事が終わったらまた話しましょう。」
「うん、お願いね。」
「ええ。……ではレッド君少し着いてきて下さい。仕事場の案内とやり方を教えますので。」
レイはそれだけ言うと歩き始めたので慌ててオレは着いて行った。